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ミコナ

家庭内別居

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一方、サンギータの父親は、いくつもの会社を経営する企業家で、仕事が忙しいからと滅多に家に帰ってこない人でした。しかも家に帰るとまるで王様のように振る舞い家族を支配するんです。

なるほど企業人としては優秀なのかもしれないですけど、家庭人としてはどうでしょう……

人間は完璧にはなれないでしょうから、企業人としても家庭人としても素晴らしい人になれとは言いません。ただ、それならそれで家庭のことは完全にスルーするべきだったかもしれません。むしろ、結婚する必要もなかったかも。

サンギータの母親が男の子を生んでいればまだ違っていたのかもしれませんが、サンギータしか生まれなかったことで、父親は家庭に関心を持てなくなってしまったというのもあるようですね。

だからいっそ、この家庭は母子家庭と見做して対処するべきなのかもしれません。父親の存在はある種の<外圧>でしかない。むしろ切り離してしまった方が話が早いくらいに家庭に関わろうとしていないんです。

たまに帰ってきてサンギータとサンギータの母親に対して高圧的に接して、サンギータからは反感を、サンギータの母親からは恐怖を、一方的に抱かれているだけですから。ただの<怖い親戚>みたいなものでしょう。

家に帰るとサンギータは、冷蔵庫からレトルト食品を出してきて自分で勝手にレンジで温めて食べるだけです。母親の料理は食べたくない。洗濯も自分の分だけ自分でするし、自分の部屋だけは自分で掃除する。

それはまるで、

『自宅の中で母親とは別居し一人暮らしをしている』

かのような状態でした。

家庭内別居の親子版というところでしょうか。

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