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ミコナ

お前は自分にできることをしろ

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こうして、放課後はフカと一緒に時間を過ごしてそれから家に帰るようになったタムテルは、少しだけ表情が明るくなりました。しかも、学芸会の練習でも、ちょっとだけ気持ちを乗せた演技をするようになって。

もちろん、それでもまだまだ拙いそれでしたけど、今までよりはマシになったんです。だけどすぐに本番が来てしまって。

「僕…ちゃんとできるかな……」

いつものように公園の隅でフカと過ごすタムテルが、そんなことを口にします。でもフカは、

「あ? なんでたかが学芸会ごときで完璧目指さなきゃならねーんだよ。そんなもん、適当にやっときゃいいんだ。失敗したって気にすんな。それで笑う奴がいたら俺が噛み付いてやる」

牙をガシガシ鳴らしながら言ったんです。するとタムテルも、

「あはは……」

少し困ったような様子だけど確かに笑顔で。それを見たフカも、

「オレは学校には入れねーからちゃんと見ることはできねーけどよ。体育館の近くまでは来てやる。それでお前の失敗を馬鹿にする奴は噛み付いてやる。お前は自分にできることをしろ。それ以外はどうでもいい。ほっとけ」

今度はヒレをパタパタさせながら言いました。



そして学芸会当日。フカは、タムテルに言ったとおり、体育館から一番近くて、窓から中が覗ける場所の木に陣取っていました。

しかもそこには、ウルとティーさんとガーの姿も。オウは、

「ミコナのすることだ。何も心配しとらん!」

とか言って来なかったんです。だけどハカセは保護者なので堂々と観客席に、ビデオカメラ持参で。

そんな風にみんなが見守る中、ミコナのクラスの出番がやってきたのでした。

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