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ミコナ

本来は一人の人間だったのに

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フカも最初は、ウル達に反発していました。ルリアだったものが五つに分裂した時にそれぞれに<個>としての意識が生じて、ルリアとしての記憶も十分に戻ってなかったこともあって、一種の嫌悪感が生じたみたいです。それは一種の同族嫌悪だったのかもしれません。

『本来は一人の人間だったのにこんなにも考え方が違う』ということが許せなかったのかもしれません。けれど、お互いが存在するという現実に向き合ううちに折り合いが付けられてきて、仲良くまではできませんけど、でも同じ家にいるのが嫌というわけでもなくなった。

慣れ合うのは嫌だけれど、家に帰ればホッとできるようになった。

それはなぜでしょう?

結局のところ、自分の存在が否定されなかったからでしょうね。自分がここにいることを否定されなかったし、ウル達に合わせることを強要もされなかった。フカはフカのままでここにいることを許された。だからここにいられる。

フカは、悪人は許せませんけど、だからと言ってこちらから出向いてまで成敗していく必要もなかった。そんな風にせずにいられないほど精神的に追い詰められてもいなかった。

一方、タムテルはどうでしょう? 別に何の罪もない、自分の家に住み着いたわけでもないただの公園のアリを虐げて踏みにじってからでないと家に帰れない精神状態にあるということなんじゃないでしょうか?

そしてそんな精神状態にある原因はなんでしょう?

学校では、すごく仲のいい友達がいるというわけではないですけどだからと言って別にイジメられてるわけじゃありません。

だとすれば学校以外にストレスの原因があるとしか考えられませんね。

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