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ミコナ
役のイメージだけで
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「<石になった宇宙人>かあ。あったな、そういうの」
「せやせや、隣のクラスがやっとったやつや」
「ルリアとハカセがやったのは、<人魚姫>だったな。ルリアとハカセはどっちもモブの魚役だったぞ」
「そうそう、それや!」
家に帰ってみんなに話すと、ウルとティーさんとオウが盛り上がります。そこで思いがけず、ミコナのママとハカセが人魚姫でモブの魚をやっていたという過去も明らかに。
「……」
ガーはなんだか複雑そうな表情ですけど。
無理もありません。十歳の頃のママは、まだ、その後の男前な彼女になっていく途中だったので、むしろガーの方が近い感じだったですから。なので、モブで当然だったんでしょう。
けれど、今ではそれも笑い話。ウル達にとっては。
「そうだったんだ?」
ミコナも笑顔ながら、ガーを手に乗せて、頬を寄せます。ガーにとってはあまり楽しい記憶ではなかったことを察したからでした。
ガーも、そうやってミコナに優しくされると気持ちが落ち着きます。
それを確認したウルが、
「でも、女の子の母親役と言ったら、嫌な役だろう? 大丈夫なのか?」
ミコナに問い掛けます。対して、オウは、
「たかが学校の学芸会だ。何を臆することがある!」
また翼を広げて胸を張って言いました。するとティーさんも、
「そうやな。オウの言うことももっともや。役の中では嫌な人やったとしても、本当のミコナはんはそうやないってみんな知っとるしな」
そう頷きます。その上で、
「もし、役のイメージだけでなんやかんや言うてくる奴がおったって、ワイらはミコナはんの味方や。それだけは間違いあらへん!」
きっぱりと断言したのでした。
「せやせや、隣のクラスがやっとったやつや」
「ルリアとハカセがやったのは、<人魚姫>だったな。ルリアとハカセはどっちもモブの魚役だったぞ」
「そうそう、それや!」
家に帰ってみんなに話すと、ウルとティーさんとオウが盛り上がります。そこで思いがけず、ミコナのママとハカセが人魚姫でモブの魚をやっていたという過去も明らかに。
「……」
ガーはなんだか複雑そうな表情ですけど。
無理もありません。十歳の頃のママは、まだ、その後の男前な彼女になっていく途中だったので、むしろガーの方が近い感じだったですから。なので、モブで当然だったんでしょう。
けれど、今ではそれも笑い話。ウル達にとっては。
「そうだったんだ?」
ミコナも笑顔ながら、ガーを手に乗せて、頬を寄せます。ガーにとってはあまり楽しい記憶ではなかったことを察したからでした。
ガーも、そうやってミコナに優しくされると気持ちが落ち着きます。
それを確認したウルが、
「でも、女の子の母親役と言ったら、嫌な役だろう? 大丈夫なのか?」
ミコナに問い掛けます。対して、オウは、
「たかが学校の学芸会だ。何を臆することがある!」
また翼を広げて胸を張って言いました。するとティーさんも、
「そうやな。オウの言うことももっともや。役の中では嫌な人やったとしても、本当のミコナはんはそうやないってみんな知っとるしな」
そう頷きます。その上で、
「もし、役のイメージだけでなんやかんや言うてくる奴がおったって、ワイらはミコナはんの味方や。それだけは間違いあらへん!」
きっぱりと断言したのでした。
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