226 / 837
ミコナ
二周目の人生
しおりを挟む
『あなたにお願いしたいと思います』
セイラは少しもためらうことなくそう言いました。しかも大変な金額を提示して。
それどころか実際にハカセの目の前で端末を操作して、
「はい、これで、後は承認ボタンを押すだけで、この家に小切手が届けられます」
ハカセに、端末の画面を見せました。
するとハカセは、彼女がいかに本気かということを思い知り、
「分かりました。ご依頼をお引き受けします」
引き受けることにしたのです。とはいえ、小切手を送ってもらうのは何かと心配なので、その場でハカセも自分の端末を操作し、仕事用の口座に、前金を振り込んでもらうことにしました。
これで正式に依頼が成立。今日から一年までの間に<かぷせるあにまるの完成品>を用意することを目指す形になったというわけです。
一方、そんな話になっているとは全く知らないミコナ達は、なんだかんだと楽しげに食事にしていました。
「エティトは本当強引なんだよ。セイラとマジでケンカになったりしたらどうするつもりだったん? 彼女のお父さんはすっごい偉い人なんだよね?」
ルイネが困ったように笑顔を浮かべながら尋ねます。けれど、エティトは、
「ああ、それなら大丈夫だろ。セイラはそんなことを根に持つタイプじゃないよ。彼女は、でっかいやつだ。それこそ人生二周目って言われるくらいにね」
にっかりと笑いながら答えたんです。
確かにセイラは、とても十歳とは思えない聡明さ、豪胆さ、気品から、『二周目の人生を送っている』とまで言われるくらいの女の子でした。
もっとも、十歳らしくないと言えば、エティト自身もそうだし、ミコナだってそうかもしれないですけど。
セイラは少しもためらうことなくそう言いました。しかも大変な金額を提示して。
それどころか実際にハカセの目の前で端末を操作して、
「はい、これで、後は承認ボタンを押すだけで、この家に小切手が届けられます」
ハカセに、端末の画面を見せました。
するとハカセは、彼女がいかに本気かということを思い知り、
「分かりました。ご依頼をお引き受けします」
引き受けることにしたのです。とはいえ、小切手を送ってもらうのは何かと心配なので、その場でハカセも自分の端末を操作し、仕事用の口座に、前金を振り込んでもらうことにしました。
これで正式に依頼が成立。今日から一年までの間に<かぷせるあにまるの完成品>を用意することを目指す形になったというわけです。
一方、そんな話になっているとは全く知らないミコナ達は、なんだかんだと楽しげに食事にしていました。
「エティトは本当強引なんだよ。セイラとマジでケンカになったりしたらどうするつもりだったん? 彼女のお父さんはすっごい偉い人なんだよね?」
ルイネが困ったように笑顔を浮かべながら尋ねます。けれど、エティトは、
「ああ、それなら大丈夫だろ。セイラはそんなことを根に持つタイプじゃないよ。彼女は、でっかいやつだ。それこそ人生二周目って言われるくらいにね」
にっかりと笑いながら答えたんです。
確かにセイラは、とても十歳とは思えない聡明さ、豪胆さ、気品から、『二周目の人生を送っている』とまで言われるくらいの女の子でした。
もっとも、十歳らしくないと言えば、エティト自身もそうだし、ミコナだってそうかもしれないですけど。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる