上 下
212 / 837
ミコナ

私も会いたいんだ

しおりを挟む
ところで、レムライ一世の魂が神像から消えてしまったことは、当然かもしれませんが当時としては大変な騒ぎになったそうです。その原因になったとされるマナ変換炉の原型となった装置を持ち込んだ人とその仲間達を『死刑にしろ!』って言う人が出るくらいには。

それを、当時の教皇が、

「レムライ一世もそのようなことは望んでおられません。彼らを責めることは、レムライ一世の御心に反するものなのです」

と、何度も何度も世界に向けて語り掛けることで、何年かをかけてようやく沈静化したとか。

マナ変換炉について研究する人達の間では有名すぎる話なので、だからこそ、『マナ変換炉を依代に』なんていう発想が生まれなかったのでしょうね。ある種の心理的なタブーと言うか。

別に、罰せられるとかそういうのはないんですけど。無意識に考えるのを避けてしまうというのはあったみたいです。



なんてことについてまではミコナ達は知りませんけど、とりあえず、ハカセが研究中の<動く依代>についてはまあこれで一段落として、

「なあ、今度の休みに、ミコナの家に行ってもいいかな? 私も会いたいんだ」

エティトがそう言い出しました。<かぷせるあにまる>達に会いたいと言っているんです。

するとルプスも、

「会えるの? だったら私も会いたい!」

身を乗り出してきます。

それに対して、ミコナは、

「いいよ~」

と二つ返事でOKを。

だけどそこにまた、

「私もお邪魔してよろしいでしょうか?」

と声を掛けてきた人が。

「セイラさん……?」

思いがけないそれに、ミコナが呟きます。

そう、声を掛けてきたのはセイラだったのです。

そうして、次の週末に、エティトとルプスとセイラが、ミコナの家に来ることになったのでした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...