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ラリー

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ガーとティーさんのラリーは続きます。バシッ、バシッ、と激しい音がしてシャトルがまるでミサイルのように行き交う光景に、

「は~……」

「すご……」

「シャトルが見えない……」

ミコナもルイネもエンファも呆然と呟くだけです。

それと同時に、ガーとティーさんの激しいラリーを見て、ルイネの頭によみがえるものがありました。

それは幼い頃に見た彼女の記憶。

『パパ…ママ…』

両親が同じように激しくラリーを続ける光景でした。ルイネの両親は、若い頃はバドミントンの選手だったのです。

本人達はとても真剣で、バドミントンのプロとして身を立てるつもりでした。だけど本人達の真っ直ぐな想いとは裏腹に、二人の才能は残念ながら、それを実現するに足るものではなかった。

二人はバドミントン選手仲間として結婚し、ルイネが生まれてからもお互いに練習に打ち込みました。幼いルイネのことはシッターに任せて。

ルイネが思い出したのは、お互いを練習相手として激しくシャトルを打ち返し合う両親の姿だったのです。自分達の可能性を信じてバドミントンに打ち込むその姿は、幼心にもとても格好良く見えた。

なのに現実はとても残酷で、両親は、自分達を歯牙にもかけない超一流選手達の前に手も足も出ず、満足のいく結果も出せないまま、年齢的な限界もあり、選手を引退、母親の実家の家業である八百屋を継ぐことに。

両親は共に、悔いの残る結果に終わったことを恥じていて、娘には同じ轍を踏んで欲しくないと強く願っていました。なので、ルイネにも才能と呼べるものはないと考え、幼い彼女がスポーツに興味を持っても、それを伸ばそうとは考えなかったのです。少なくともスポーツの面ではいくら頑張っても無駄だと感じていて。なのでルイネ自身も、スポーツに意味を持つものの、危ないからと本格的にはやらせようとしなかったのでした。

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