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女とか男とか

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ティーさんは思い出します。ルリアは、明るくて気風がよくていかにも<姐御肌>な女性でしたけど、同時に、小学校高学年の頃から高校に掛けての間には、男子からは、

『ガサツで色気がなくてかわいげのない女』

という評価も決して少なくなかったんです。彼女を好きな男子も少なからずいつつ、嫌ってる男子も多かった。

『女のクセに!』

と言われたことも一度や二度じゃありません。

そして、ルリア自身、周りには『平気だよ。気にしてない』と口にしながらも、内心では傷付いてないわけでもなかった。

『女とか男とか、メンドクサイな……』

そんな風に思うことも少なくなかった。

だからこそ、男とか女とか、そういうことに拘らないハカセが魅力的だった。なによりハカセは、他人を傷付けようとかしない人だったから。

『陰気な真面目くんを好きになる女とかいない』

なんて言い方をする人もいますけど、それは根本的に間違ってるとルリアは思っていました。

<真面目を装いつつ陰では誰かを傷付けようとしてるタイプ>とかは確かにルリアも嫌いでした。でも、他人と争うことが嫌いで、そして<自分の世界>を確立しているから必要以上に他人と馴れ合おうとしないだけの人を、<真面目を装いつつ陰では誰かを傷付けようとしてるタイプ>と混同するような人とも、話が合わないと感じていたんです。

だってそうでしょう? 他人のことを『陰で誰かを傷付けようとしてるタイプだと決め付ける』のは、それを言ってる本人が、他人を傷付けるのが当たり前だと思ってるということでしょうから。自分がそうだから他人もそのはずだと思い込んでいるということでしょうから。

『ホンマ、自分と他人が違うってことを理解できんのがおるっちゅうのがナゾやわ。ハカセやカリナみたいな人も現におるっちゅうのにな』

ティーさんは、しみじみとそんなことを思っていたのでした。

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