45 / 837
おやすみ
しおりを挟む
ミコナもハカセも、自分が期待してる通りに世の中は動いてくれないのを分かってるから、オウやフカの態度も平気でした。
ママの魂が五つに分かれてしまったことも。
こうやって分かれてしまっても、でもやっぱり<ママ>だということが分かるのもあって。
人にはいろんな面があります。優しい人だって、いつでもどんな時でも優しいだけとは限らない。でも、そういう自分を知った上で優しくあろうと努力できる人が、本当に優しい人なのかもしれません。
だからミコナのママは<優しい人>だったのでしょう。
そしてママがハカセを愛せたのも、不器用だけど、発明に集中してしまうと他のことがすっ飛んでしまう人だけど、ちゃんとそういう自分を理解してて、それでママのことを想える人だったからでしょう。
ママは、ハカセの<才能>だけを愛したわけじゃない。
そういう形で愛してもらえたから、ハカセも、ママの全部を愛せた。
フカだって、そのママの一部。
だったら愛せます。
「ありがとう。無理しないで休んでくれたらいいよ」
ハカセは、フカにそう声を掛けて部屋に戻っていきました。
「ふん…! 大きな世話だ……!」
フカはそう毒吐きますけど、機嫌はそこまで悪くなさそうでした。
それからしばらくハカセは作業をして、窓の外のフカの姿を見て、
「今日はこのくらいにしておこうか……」
呟いて部屋を出て、お風呂に入り、
「じゃあ、先に休ませてもらうね」
リビングにいたウル達と、やっぱり家の外にいたフカにそう声を掛けて、寝室へと行きました。
「おやすみ」
「おやすみ~」
ウルとティーさんは愛想よく、
「うむ」
オウはやっぱり偉そうな感じで、
「……」
フカは何も応えず、それぞれの形でハカセを見送ります。
ところで、<かぷせるあにまる>は、その体は生き物じゃないので睡眠も必要ないんですが、
「あんまり遅くまで話をしててもあれだし、僕達も寝ようか」
「そうでんな」
ウルとティーさんはリビングの灯りを消し、寝室でミコナのベッドに入りました。
オウはそのままリビングで休み、フカは屋根の見晴らしのいい場所に陣取ってやっぱり周囲を警戒していたのでした。
ママの魂が五つに分かれてしまったことも。
こうやって分かれてしまっても、でもやっぱり<ママ>だということが分かるのもあって。
人にはいろんな面があります。優しい人だって、いつでもどんな時でも優しいだけとは限らない。でも、そういう自分を知った上で優しくあろうと努力できる人が、本当に優しい人なのかもしれません。
だからミコナのママは<優しい人>だったのでしょう。
そしてママがハカセを愛せたのも、不器用だけど、発明に集中してしまうと他のことがすっ飛んでしまう人だけど、ちゃんとそういう自分を理解してて、それでママのことを想える人だったからでしょう。
ママは、ハカセの<才能>だけを愛したわけじゃない。
そういう形で愛してもらえたから、ハカセも、ママの全部を愛せた。
フカだって、そのママの一部。
だったら愛せます。
「ありがとう。無理しないで休んでくれたらいいよ」
ハカセは、フカにそう声を掛けて部屋に戻っていきました。
「ふん…! 大きな世話だ……!」
フカはそう毒吐きますけど、機嫌はそこまで悪くなさそうでした。
それからしばらくハカセは作業をして、窓の外のフカの姿を見て、
「今日はこのくらいにしておこうか……」
呟いて部屋を出て、お風呂に入り、
「じゃあ、先に休ませてもらうね」
リビングにいたウル達と、やっぱり家の外にいたフカにそう声を掛けて、寝室へと行きました。
「おやすみ」
「おやすみ~」
ウルとティーさんは愛想よく、
「うむ」
オウはやっぱり偉そうな感じで、
「……」
フカは何も応えず、それぞれの形でハカセを見送ります。
ところで、<かぷせるあにまる>は、その体は生き物じゃないので睡眠も必要ないんですが、
「あんまり遅くまで話をしててもあれだし、僕達も寝ようか」
「そうでんな」
ウルとティーさんはリビングの灯りを消し、寝室でミコナのベッドに入りました。
オウはそのままリビングで休み、フカは屋根の見晴らしのいい場所に陣取ってやっぱり周囲を警戒していたのでした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
姉(勇者)の威光を借りてニート生活を送るつもりだったのに、姉より強いのがバレて英雄になったんだが!?~穀潰しのための奮闘が賞賛される流れに~
果 一
ファンタジー
リクスには、最強の姉がいる。
王国最強と唄われる勇者で、英雄学校の生徒会長。
類い希なる才能と美貌を持つ姉の威光を笠に着て、リクスはとある野望を遂行していた。
『ビバ☆姉さんのスネをかじって生きよう計画!』
何を隠そうリクスは、引きこもりのタダ飯喰らいを人生の目標とする、極めて怠惰な少年だったのだ。
そんな弟に嫌気がさした姉エルザは、ある日リクスに告げる。
「私の通う英雄学校の編入試験、リクスちゃんの名前で登録しておいたからぁ」
その時を境に、リクスの人生は大きく変化する。
英雄学校で様々な事件に巻き込まれ、誰もが舌を巻くほどの強さが露わになって――?
これは、怠惰でろくでなしで、でもちょっぴり心優しい少年が、姉を越える英雄へと駆け上がっていく物語。
※本作はカクヨムでも公開しています。カクヨムでのタイトルは『姉(勇者)の威光を借りてニート生活を送るつもりだったのに、姉より強いのがバレて英雄になったんだが!?~穀潰し生活のための奮闘が、なぜか賞賛される流れになった件~』となります。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい
斑目 ごたく
ファンタジー
「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。
さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。
失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。
彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。
そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。
彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。
そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。
やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。
これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。
火・木・土曜日20:10、定期更新中。
この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる