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困難に立ち向かえる人間

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「~♡」

本当に久しぶりに全然怖くないお風呂に入れて、ミコナはすごく上機嫌でした。

「お前らはミコナに甘い! そんなんじゃ困難に立ち向かえる人間にはなれないぞ!」

ミコナ達が浴室から出ると、洗面台でお風呂にしていたオウが指(羽?)を指しながら言いました。

でも、それに対しては、ウルが、

「オウ、そんな風に人を指さすのは失礼だぞ。品格を備えた者がすることじゃない」

すると、オウも、

「む…? そうか。それは失敬」

バツが悪そうに羽で頭を掻きます。

そんな風に『自分が間違ってた』と思えば素直に改められるところもあるんですが、でも、『自分は間違ってない』と思ってる時は実に頑固。

そして、オウにティーさんが言います。

「何言うてまんのや、オウはん。<困難>やったら、ミコナはんはめっちゃ立ち向かってたやおまへんか。ママを亡くしてハカセと二人になってって、それが<困難>やなかったら何が困難やって言いまんのや?」

尻尾をぐるんぐるん回してのティーさんの抗議。

確かに、ティーさんの言うことももっともでしょう。今よりもっと小さかった時にママを亡くして、いくら亡くなった人の魂が戻ってこれるからと言っても、完全に元通りになるわけじゃありません。現に今、ママの魂は五つに分割されて<
<かぷせるあにまる>達の中。

ウルもティーさんもガーもオウもフカも、ママの魂と記憶は持ってても、<元のママ>じゃない。

それだって見方によっては<困難>と言えるのではないでしょうか?

なのに、オウは、

「親が先に亡くなるのは自明の理! そんなものが<困難>のうちに入るか!」

と。

「!?」

瞬間、ミコナの目からポロポロと溢れる涙。

「オウ! お前、本気でそんなことを思ってるのか!?」

「オウはん! それはあんまりにも<人の心>ってもんがなさすぎやおまへんか!?」

ウルとティーさんが反発し、ガーは、ミコナの頬に体を寄せて、彼女を慰めようとしていたのでした。

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