16 / 837
しばらく見とこうよ
しおりを挟む
「かーっ!」
「シャーッ!!
屋根の上で、オウは羽を広げ、フカは大きな口をさらに大きく開けて牙を光らせ、お互いを威嚇します。
「あいつら、ミコナちゃんの友達が来てるのに……!」
ウルが厳しい表情で言うけれど、ミコナはやっぱり、
「大丈夫、大丈夫。しばらく見とこうよ」
ニッコリと笑顔で言うのです。
それを受けてティーさんも、
「まあ、ミコナはんがこう言ってるんや。ワイらも高みの見物といきまひょ。って、<高み>やのうて下からでっけど」
尻尾をふりふり、ちょっと呆れたような様子も見せながら言いました。
その上で、
「ああいう奴らは、結局、自分でぶつかってみて肌で実感せんと納得できまへんのや」
とも付け加えます。
「むむむ、確かにそうかもしれないが……」
ウルとしては、子供の前でああやって暴力的な様子を見せるというのがそもそも問題だと思っていたのです。事実、ルイネとエンファは怯えたような困ったような様子を見せています。
ただ、ミコナだけはぜんぜん平気そうでした。それこそ、子供同士の<ケンカごっこ>でも見てるかのように。
ミコナがそうやって落ち着いてるから、ルイネとエンファもまだ怖がらずにいられてるというのもあるのかもしれません。
それでも、せっかく<かくれんぼ>で遊んでいい感じに親しくなれたのに、同じ<かぷせるあにまる>がそうやって険悪なのは、仮にもリーダーを買って出た者としては申し訳ないとも思ってしまうのです。
けれど、ミコナが『大丈夫』と言うのであれば、今のところは彼女の言うとおりにしてみてもいいのかもとも思いました。
こうしてみんなが見守る中、オウとフカが、お互いにビシッと跳ねて、空中で交錯します。そして場所を入れ替えてまた屋根の上に降り立ち、再び睨み合ったのでした。
「シャーッ!!
屋根の上で、オウは羽を広げ、フカは大きな口をさらに大きく開けて牙を光らせ、お互いを威嚇します。
「あいつら、ミコナちゃんの友達が来てるのに……!」
ウルが厳しい表情で言うけれど、ミコナはやっぱり、
「大丈夫、大丈夫。しばらく見とこうよ」
ニッコリと笑顔で言うのです。
それを受けてティーさんも、
「まあ、ミコナはんがこう言ってるんや。ワイらも高みの見物といきまひょ。って、<高み>やのうて下からでっけど」
尻尾をふりふり、ちょっと呆れたような様子も見せながら言いました。
その上で、
「ああいう奴らは、結局、自分でぶつかってみて肌で実感せんと納得できまへんのや」
とも付け加えます。
「むむむ、確かにそうかもしれないが……」
ウルとしては、子供の前でああやって暴力的な様子を見せるというのがそもそも問題だと思っていたのです。事実、ルイネとエンファは怯えたような困ったような様子を見せています。
ただ、ミコナだけはぜんぜん平気そうでした。それこそ、子供同士の<ケンカごっこ>でも見てるかのように。
ミコナがそうやって落ち着いてるから、ルイネとエンファもまだ怖がらずにいられてるというのもあるのかもしれません。
それでも、せっかく<かくれんぼ>で遊んでいい感じに親しくなれたのに、同じ<かぷせるあにまる>がそうやって険悪なのは、仮にもリーダーを買って出た者としては申し訳ないとも思ってしまうのです。
けれど、ミコナが『大丈夫』と言うのであれば、今のところは彼女の言うとおりにしてみてもいいのかもとも思いました。
こうしてみんなが見守る中、オウとフカが、お互いにビシッと跳ねて、空中で交錯します。そして場所を入れ替えてまた屋根の上に降り立ち、再び睨み合ったのでした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる