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第二幕
モデルの仕事も休むって……
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だけどその後、千裕さんはすべてのイベントのスケジュールをキャンセルすることになったらしい。それどころか、モデルの仕事も休むって……
どういうことだよ? おかしいだろ。まったく無実の罪で社会的制裁加えるとか、まともじゃねーじゃん!
そう言えば昔にもまったく事実無根な濡れ衣で滅茶苦茶に叩かれたっていう芸能人がいたっていうよな。その時から何も変わってないのかよ。
「俺、何もできないのかな……? 仲間がこんな目に遭ってるのに……」
「涼くん……」
仕事用のスマホは、いつもは事務所に置いてきてるけど、千裕さんに連絡とりたいと思って自宅に持ち帰ったけど、千裕さんとの連絡もつかなかった。メッセージも既読にならない。
社長に頼んで千裕さんが所属してる事務所に連絡を取ってもらっても、
「申し訳ありません。真通は現在、誰とも会話できるような状態じゃありませんので……」
ってことだった。
こんなの……狂ってる……!
『事実無根なら堂々としてればいい』
『このくらいで病むようなのは向いてないからさっさと辞めろ』
そんなことを言ってる奴もいるらしい。
千裕さんは、他の誰かに八つ当たりしてストレス解消するようなタイプじゃないんだよ。お前らはそうやって誰かを痛め付けることで発散してるから耐えられるだけじゃないのかよ? そんなのが『耐えられてる』って言うのかよ!?
あの俳優さんの方は、メディアへの露出は控えてるけど、必要な仕事はこなしてるみたいだ。
さすがに慣れてるってことなのかな……
でも、こんなことに『慣れなきゃいけない』ってやっぱまともじゃないだろ。要するにこれって、『やったもん勝ち』ってことだよな? 無実の罪で私刑を加えても咎められもしないって、そんなのがまともな社会なのかよ……!?
ちくしょう……!
悔しくて悔しくて、既読にならないメッセージが並んだスマホの画面を見詰めたまま頭を起こすこともできない俺を、芙美が抱き締めてくれた。
「それって、ホントは涼くんが気にしなきゃならないことじゃないよね……だって涼くんは今回のことに何の責任もないしさ……なのに仲間のことでそんな風に悔しがれる涼くんって立派だと思う……だからさ、私も涼くんを支えたい……涼くん、負けないで……卑怯な人達に……」
「……ありがとう……芙美……」
春。そんなこともありながらも公開された映画は、すごい爆発的に売れたってわけじゃないけど、ヒーローものの映画としては十分に成功と言えるいい滑り出しをしたって。事実無根なんだから、千裕さんのやあの俳優さんの出演シーンも別にカットとかせずにそのままだったって。総監督さんやプロデューサーさんの意地だったそうだ。
それでも、公開記念イベントに、千裕さんの姿はなかったけどな……
どういうことだよ? おかしいだろ。まったく無実の罪で社会的制裁加えるとか、まともじゃねーじゃん!
そう言えば昔にもまったく事実無根な濡れ衣で滅茶苦茶に叩かれたっていう芸能人がいたっていうよな。その時から何も変わってないのかよ。
「俺、何もできないのかな……? 仲間がこんな目に遭ってるのに……」
「涼くん……」
仕事用のスマホは、いつもは事務所に置いてきてるけど、千裕さんに連絡とりたいと思って自宅に持ち帰ったけど、千裕さんとの連絡もつかなかった。メッセージも既読にならない。
社長に頼んで千裕さんが所属してる事務所に連絡を取ってもらっても、
「申し訳ありません。真通は現在、誰とも会話できるような状態じゃありませんので……」
ってことだった。
こんなの……狂ってる……!
『事実無根なら堂々としてればいい』
『このくらいで病むようなのは向いてないからさっさと辞めろ』
そんなことを言ってる奴もいるらしい。
千裕さんは、他の誰かに八つ当たりしてストレス解消するようなタイプじゃないんだよ。お前らはそうやって誰かを痛め付けることで発散してるから耐えられるだけじゃないのかよ? そんなのが『耐えられてる』って言うのかよ!?
あの俳優さんの方は、メディアへの露出は控えてるけど、必要な仕事はこなしてるみたいだ。
さすがに慣れてるってことなのかな……
でも、こんなことに『慣れなきゃいけない』ってやっぱまともじゃないだろ。要するにこれって、『やったもん勝ち』ってことだよな? 無実の罪で私刑を加えても咎められもしないって、そんなのがまともな社会なのかよ……!?
ちくしょう……!
悔しくて悔しくて、既読にならないメッセージが並んだスマホの画面を見詰めたまま頭を起こすこともできない俺を、芙美が抱き締めてくれた。
「それって、ホントは涼くんが気にしなきゃならないことじゃないよね……だって涼くんは今回のことに何の責任もないしさ……なのに仲間のことでそんな風に悔しがれる涼くんって立派だと思う……だからさ、私も涼くんを支えたい……涼くん、負けないで……卑怯な人達に……」
「……ありがとう……芙美……」
春。そんなこともありながらも公開された映画は、すごい爆発的に売れたってわけじゃないけど、ヒーローものの映画としては十分に成功と言えるいい滑り出しをしたって。事実無根なんだから、千裕さんのやあの俳優さんの出演シーンも別にカットとかせずにそのままだったって。総監督さんやプロデューサーさんの意地だったそうだ。
それでも、公開記念イベントに、千裕さんの姿はなかったけどな……
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