YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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第二幕

演技とかが上手くできなくても別に

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 俺はモデルだから、演技とかが上手くできなくても別に気にならない。もちろん上手くできた方がいいんだろうけど、俳優じゃない奴に俳優の仕事やらせようって考える人らの問題だから、俺は、

『演技が下手!』

 とか言われたって平気だよ。<千葉アクションスタジオ>に通ってアクションのトレーニング受けたのだって、あくまで、

『ディークという衣装がカッコよく見えるようにしたい』

 ってだけだから。ディークがどんな気持ちで戦ってるかってのを理解しようとしたのも、『ディークがカッコよく見えるように』ってだけだから。演技そのものができるようになることは別に考えてない。

 だけど、それと、

『芸能人だからって何を言われても仕方ない』

 なんてのを受け入れろっていうのは違うと思う。俺は平気でも、千裕さんはたぶん俺みたいにスルーできるタイプじゃないと思うんだ。しかも千裕さんもモデルで、女優じゃない。女優としての演技力を求めるのは違うと思うし、実際、総監督さんは別にそんなことを指示してきてない。今の千裕さんの演技で十分だから言わないだけなのかもしれないけど、ヴァールの人に対しては、いろいろ言ってたりするんだ。それはきっと、本業の俳優だからなんだろうな。

 ちゃんと、本当はモデルの千裕さんと本業の俳優のヴァールの人とは区別してくれてると思うんだ。

 ホントに、映画の撮影そのものはすごく順調なんだよ。なのに、それ以外のところで悩まされてる状態なんだ。



 で、今日も撮影を終えて家に帰ると、芙美にあたたかく迎えてもらえて、疲れも吹っ飛ぶ感じがした。俺にとって芙美は本当に欠かせない人だと思う。それなのに、芙美がかつてやったことで、今はもう俺は気にしてないやらかしを理由に攻撃を受けたら、本当に許せない。実際にやられた俺がもう気にもしてないことを、俺の気持ちを勝手に斟酌して攻撃するのとか、マジ意味が分からない。そんなことをして俺が喜ぶとでも思ってんのか? 俺の何が分かるってんだ。俺のことが分かってるんならそんなことしないだろ。

 俺は、どこ誰かも分からない奴が芙美を責めるとか、許せない。

 ああでも、だからこそ、北条の会社みたいのが成立するのか。俺も、芙美がそんな目に遭ったら、間違いなく北条の会社に依頼するだろうな。あの、俺の写真を勝手にアップした中学生の子の件の対応、見事だったしな。

 あれ以降、続報がない。続報がないということは、落ち着いてるってことだろうな。

 だけどあの中学生の子は、SNSが怖くなってやめてしまったらしいんだ……

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