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第二幕
いざ参らん! 戦いの地へ!!
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そんなこんなで映画の撮影が始まることになった。
その初日。事務所のワゴンが俺を迎えに家の前まで来た。社長も一緒に。今日は現場に挨拶に行くということで。
「さあ、涼ちゃん! いざ参らん! 戦いの地へ!!」
ワゴンの中から妙なテンションの社長が声を掛けてきて、しかも、
「ディーク! 負けないで…! 私も待ってるから……!」
芙美が、ヒロインの一人のセリフを口にして手を差し伸べてて、
『なんだこりゃ……』
もう訳が分からない。
「ははは……」
苦笑いで見送ってくれる徹だけが救いだ。なにしろ、小父さんと小母さんまで、祈るように手を合わせて見てるし。戦場に向かう息子を見るような目って、こんな感じなのかな。
こうしてとにかくワゴンに乗せられて、映画撮影のためのスタジオに。
そこで、今回の総監督っていう人と、以前のPVの時の監督さんはアクション監督として、顔を合わせることになった。そして今日は、他にも、リンネ役の千裕さんや、さらにゲームのキャラクター達を演じることになる俳優さん達まで集まるって。
で、スタジオに到着すると、千裕さんが先に来てて、俺が乗ったワゴンに気付いて駆け寄ってきてくれた。
「おはようございます!」
PV撮影の時にはかなり凹んでたみたいだけど、さすがに気を取り直したみたいで、むしろ前より元気に挨拶してくれた。
「おはようございます」
俺も笑顔で応える。
そして、社長や、正式に俺のマネージャーさんってことになったスタイリストの女性と一緒にスタジオの中へ。
「おはようございます!」
改めて千裕さんと声を揃えて挨拶すると、
「おはようございます」
集まってたスタッフの人達も応えてくれた。その中に、アクション監督さんと並んだ、なんかすっごいニコニコした人が。
「こちらが今回の総監督の御手洗さん。特撮ヒーロー界隈じゃ知らない人がいないすごい方よ」
社長がそう紹介してくれた。するとその総監督さんは、
「君達がディーク役の梁川くんと、リンネ役の真通さんだね? これは思ったよりいい面魂だ」
なんだか嬉しそうに言って、
「でしょう? だから僕もつい張り切り過ぎちゃって」
アクション監督さんが頭を掻きながら。そしたら総監督さんが、
「だめだよ~、シンちゃん。今はコンプライアンスの時代なんだから~。僕らの若い頃を同じに考えちゃ、ダ・メ…!」
なんかちょっと微妙に誰かを思い出しかける仕草を。
と、そこにまた、
「おはようございます!」
後ろから挨拶されて思わず振り返ると、<オーラ>をまとった人達が入ってきたんだ。
その初日。事務所のワゴンが俺を迎えに家の前まで来た。社長も一緒に。今日は現場に挨拶に行くということで。
「さあ、涼ちゃん! いざ参らん! 戦いの地へ!!」
ワゴンの中から妙なテンションの社長が声を掛けてきて、しかも、
「ディーク! 負けないで…! 私も待ってるから……!」
芙美が、ヒロインの一人のセリフを口にして手を差し伸べてて、
『なんだこりゃ……』
もう訳が分からない。
「ははは……」
苦笑いで見送ってくれる徹だけが救いだ。なにしろ、小父さんと小母さんまで、祈るように手を合わせて見てるし。戦場に向かう息子を見るような目って、こんな感じなのかな。
こうしてとにかくワゴンに乗せられて、映画撮影のためのスタジオに。
そこで、今回の総監督っていう人と、以前のPVの時の監督さんはアクション監督として、顔を合わせることになった。そして今日は、他にも、リンネ役の千裕さんや、さらにゲームのキャラクター達を演じることになる俳優さん達まで集まるって。
で、スタジオに到着すると、千裕さんが先に来てて、俺が乗ったワゴンに気付いて駆け寄ってきてくれた。
「おはようございます!」
PV撮影の時にはかなり凹んでたみたいだけど、さすがに気を取り直したみたいで、むしろ前より元気に挨拶してくれた。
「おはようございます」
俺も笑顔で応える。
そして、社長や、正式に俺のマネージャーさんってことになったスタイリストの女性と一緒にスタジオの中へ。
「おはようございます!」
改めて千裕さんと声を揃えて挨拶すると、
「おはようございます」
集まってたスタッフの人達も応えてくれた。その中に、アクション監督さんと並んだ、なんかすっごいニコニコした人が。
「こちらが今回の総監督の御手洗さん。特撮ヒーロー界隈じゃ知らない人がいないすごい方よ」
社長がそう紹介してくれた。するとその総監督さんは、
「君達がディーク役の梁川くんと、リンネ役の真通さんだね? これは思ったよりいい面魂だ」
なんだか嬉しそうに言って、
「でしょう? だから僕もつい張り切り過ぎちゃって」
アクション監督さんが頭を掻きながら。そしたら総監督さんが、
「だめだよ~、シンちゃん。今はコンプライアンスの時代なんだから~。僕らの若い頃を同じに考えちゃ、ダ・メ…!」
なんかちょっと微妙に誰かを思い出しかける仕草を。
と、そこにまた、
「おはようございます!」
後ろから挨拶されて思わず振り返ると、<オーラ>をまとった人達が入ってきたんだ。
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