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第二幕

俺はそう覚悟を決めて

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 戦うしか、ないんだ……

 俺はそう覚悟を決めて、銃を構えた。すると、

「はい、オッケー!!」

 って声を掛けられて、

「!!」

 ハッと我に返る、梁川涼介に。気付いたら、総監督さんに思いっ切り銃を向けていた。と言うか、総監督さんがモンスターに見えていたんだ。

「いや! すごいね! 君、本当にモデル!? 今、完全に入り込んでたでしょ? マジで撃たれるかと思ったもん!」

 総監督さんが興奮した様子でそう言った。

「あ、いや、お…僕、モデルだから、ディークという衣装を着てるって自分に言い聞かせて、それでディークが一番カッコよく見えるようにって思って……」

 思わず答えると、

「なるほど! モデルとして『役に入り込む』んじゃなくて、『役を着てそれを格好よく見せる』ってことか! 以前にも君と同じようなことを言ったコもいたけど、うん、そういうことか!!」

 なんか一人で納得してる総監督さんの横で、アクション監督さんが「うんうん」と満足げに頷いていた。なんだかなあ。

「うん! PVも見せてもらったけど、君、すごいよ! この業界でもやってけると思う!」

 とまで総監督さんに言われたけど、まあ、今はお世辞の類と受け取っておこう。正直、俺はモデルの仕事だけで手一杯だから。映画の仕事とか、これっきりにしたいから。



 続いて、千裕さんも軽くポーズを決めてみせた。

「あ……」

 その姿に、つい声が漏れる。以前のPV撮影の時も結構しっかりしてたと思うんだけど、それがさらに決まってきてる気がした。きっと、<千葉アクションスタジオ>にしっかり通って、もっともっと仕上げてきたんだ。あの時の悔しさを彼女なりに活かしてきたんだって思った。

 そうだよな。あんだけ泣いてたりしたんだもんな。それで今回も同じだったら、自分が情けないもんな。

 さっき、スタジオに着いた時に平気そうな様子だったのは、たぶん、ここまでの間に仕上げてこれた自信の表れなんだろうなって気がした。

 何も手にしてないはずの千裕さんが、鞭を構えているように見えた。

 千裕さん、ひょっとしたら俺より努力してきてる?

「いい! 君もすごくいいよ!!」

「ええ! しっかりとブラッシュアップしてきてる! 正直驚いた!」

 総監督さんとアクション監督さんが二人揃って興奮状態だ。

「いやいや! PV見た時も『これはイケる!』と思ったけど、それ以上だよ! 燃えてきた! これはいい映画になるぞ! いや、これだけの役者が揃ってていい映画にしないとか、恥ずかしいレベルだ! マジでヤバイ!!」

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