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第二幕

ここが正念場だよ!!

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 PVを作る時の契約では、三十秒のPVの分の契約だったそうだ。五分撮ったけど実際に使うかどうかは分からなかったから、いろいろコストを抑えるためにも三十秒って形の契約になってて。

 でもなんだかんだで五分丸ごと流すってことになって、改めてその分のギャラが発生することに。

 そういうところ割となあなあの契約してるところも多いとは聞くけど、さすがは大手ゲーム会社ってことなのかな。

 まあ、聞くところによると以前はなんだかんだいい加減なところもあったのが、それで大変なことになったってのがあって、今はちゃんとするようになったらしいとも。

 俺には正直よく分からない。

 ただ、

「ぎゃーっ!! ディークぅ! カッコイイ~っ!!」

 五分フルバージョンが公式HPにアップされると芙美もさっそくそれをチェックして。大興奮。ネットでも、

『これよ! これを待ってた!!』

『アニメは要らない子』

『アニメなんか最初からなかった。いいね?』

 みたいなコメントが溢れたらしい。しかも、それだけに実写映画の方の期待が高まってしまって。

 公開予定は半年先らしいけど、かなりスケジュール的には厳しいものになるっていうのは今の時点で聞かされてた。

 ただし、厳しいのは映画製作会社側の話で、それに出演する俺達については、特に学生組についてはスケジュール管理はちゃんとしてくれるという話だった。

 PV撮影の時みたいのがまたあってそれが表沙汰になったらそれこそヤバいらしいから。ただし、土日と祝祭日についてはガッツリ抑えられて、向こう四ヶ月、実質休みなしってことに。

 いや、休み自体はあるんだけど、その休みの日も管理されることになるから、好き勝手出来ないって意味で『休みなし』なんだ。

 しかも、<千葉アクションスタジオ>でのトレーニングを改めて事務所で組まれて。

「涼ちゃん、厳しいけど、頑張ろう! ここが正念場だよ!!」

 社長に前のめりに言われて、

「は……はい……」

 俺もそう応えるしかなかった。

 さらには、家でも、

「映画の撮影を乗り切るために。体調管理は私に任せて!!」

 芙美が大張り切り。俺をデブらせようとした時のデータが役に立つらしい。しっかり食事をとってしっかり体を休ませることで、今度は筋肉と健康の維持を図るとかなんとか。

「薬学ってのはね。薬品だけ見てればいいわけじゃないんだよ。人間の体の機能もちゃんと理解して初めてちゃんとした効果を発揮できるんだ……!」

 とか言ってた。

 そういう形で芙美の勉強に活かせるなら、まあ、アリかもしれない。

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