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第二幕

何これカッコいいじゃん!!

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 でも、そうやって苦労して出来上がったPVがなんかすごく評判良かったらしくて、ゲーム会社の方はウハウハだったらしい。おかげで利用者も増えたって。

 しかも、ゲーム会社の公式HPにアップされたPVを見た芙美が、

「ぎゃあ~っ!! 何これカッコいいじゃん!! ディークぅ♡」

 とか言い出して、ゲームを始めてしまった。

「なんだこれ……」

 さらには、徹まで、

「いや、でもマジでこの手のPVの中じゃ異色の出来だと思うよ。映画の予告編みたいじゃん。実際には五分撮ったんだろ? そのフルバージョンも見たいよな」

 だって。

 で、夏休みが終わる頃には、芙美がディークにはまっちゃって、なんかグッズまで集め始めて、新学期の登校初日、カバンにディークのストラップ?が。

「えへへ~♡ スーパーのガチャコーナーにディークのがあったから三千円突っ込んじゃった。おかげで今月のお小遣い大ピンチだよ」

『大ピンチ』と言いながらその顔は満面の笑顔で。



 さらにはそれだけじゃ収まらなくて、元々決まってたアニメだけじゃなく、実写映画の企画まで持ち上がって。

「え……まさかそれって……俺がディーク役やるんじゃないですよね……?」

 事務所に呼び出されて社長から話を聞かされた時、俺は恐る恐るそう聞いた。なのに、社長は、嬉しそうに。

「もちろん、涼くんがディーク役だよ!!」

 って。
 
 げーーーーーっっ!!

「ちょっと待って、俺、ただのモデルですよ!?」

 慌てる俺に、社長は、

「いいじゃんいいじゃん! 可能性だよ!! 可能性が広がったってことだよ!!」

「ええ……?」



 で、詳しい説明を聞くと、実写映画と言っても、総監督がなんか特撮ヒーローものの劇場版を多く手掛けてる人で、アクション監督はPV撮影の時の監督さんで、映画のコンセプト的には、特撮ヒーローものの劇場版のノリらしい。ゲームのキャラ自体、フォーマットってのが<変身特撮ヒーロー>のそれだそうだから、変にアクション超大作って感じにするよりも、そっちのノリでいった方が相性がいいだろうって判断で。

「まあ、この前のPV撮影の時の反省を活かして、学業に支障が出ないようにスケジュールは組んでくれるそうだから、せっかくだし挑戦してみない?」

「……持ち帰って検討します……」

 と、どっかで聞いたセリフで返しておいたんだけど、家に帰ったら帰ったで、

「やろう! ぜひやろう!! やるべき!! やらなきゃダメ!! これを蹴ったら地獄に落ちる!!」

 芙美が目の色を変えてそんなことを言い出したんだ。

 その目は、俺をデブらせようとしてた時のそれのような気がした。

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