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第二幕
アクションの時の見栄え
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以前のイベントの時の衣装は、ただ突っ立った状態の時に一番見栄えがするように作ってるんだと思う。飾りも多くて革っぽい素材のロングコートだったからか、重いんだ。重いからこそじっと立ってる時には落ち着いた重量感のある見た目になるんだろうけど、正直、あれでアクションをしろと言われたら、
『無理!』
って感じる。なのに今着てるのは、明らかにあの時のよりも軽くて柔らかくて動きやすいんだ。それでいて、コートの裾とか袖口とかには錘でも入っているのかしっかりとした感じがあって、変にひらひらしない。柔らかいんだけど柔らかすぎないし。
その辺りも、アクションの時の見栄えを重視してるんだろうなって感じる。ちゃんと考えられてるんだよ。
リンネの衣装もそうだ。イベントの時のはちょっと動いてもひらひらしなくて重そうに見えた。でも今のは動きをそんなに邪魔しない感じなんだ。
こういう、小道具までしっかりと考えられて作られてる辺りに、本気さがにじみ出てる気がする。本気でいいものを作ろうとしてるんだって伝わってくる。ならディークとリンネを演じてる俺達が台無しにしたらダメじゃん。
そう考えるとさらに気合いがこもってくるのが自分でも分かった。だから俺は、<千葉アクションスタジオ>で教わったことを全部出して一発で決めるつもりでやってみせた。すると、
「カーット! オッケー!! 梁川くんだっけ!? 君、すごいよ!! 僕のイメージ通りの動きだった! 本当にアクションの経験ないの!? 正直、20テイクくらいいく覚悟で来たんだけど、直すところないじゃん!」
半分はまあお世辞だと思うんだけど、監督さんはすごくハイテンションで俺を褒めちぎってくれた。なんか照れくさいけど、気分は悪くなかった。
ただ、千裕さんのシーンを撮影になると、
「カーット! 千裕ちゃん、目線が違うんだ! そっちにモンスターはいない。それじゃモンスターのお尻を見てる!」
とかダメ出しが。
「は、はい。ごめんなさい……!」
モンスターは後でCGで合成することになるんだけど、一応、目線とか向けやすいように目印は用意されてる。俺はそれを当てにして視線を向けてたんだけど、千裕さんが思ってる位置と監督さんが思ってる位置とにズレが生じてるみたいだな。
すると、
「ちょっと真通さん! もっとしっかりやってよね。私のデザインしたリンネの魅力が全然出てないじゃない!」
スタジオの端で椅子にふんぞり返った状態で、緑川さんがそんな風に声を上げたんだ。
『無理!』
って感じる。なのに今着てるのは、明らかにあの時のよりも軽くて柔らかくて動きやすいんだ。それでいて、コートの裾とか袖口とかには錘でも入っているのかしっかりとした感じがあって、変にひらひらしない。柔らかいんだけど柔らかすぎないし。
その辺りも、アクションの時の見栄えを重視してるんだろうなって感じる。ちゃんと考えられてるんだよ。
リンネの衣装もそうだ。イベントの時のはちょっと動いてもひらひらしなくて重そうに見えた。でも今のは動きをそんなに邪魔しない感じなんだ。
こういう、小道具までしっかりと考えられて作られてる辺りに、本気さがにじみ出てる気がする。本気でいいものを作ろうとしてるんだって伝わってくる。ならディークとリンネを演じてる俺達が台無しにしたらダメじゃん。
そう考えるとさらに気合いがこもってくるのが自分でも分かった。だから俺は、<千葉アクションスタジオ>で教わったことを全部出して一発で決めるつもりでやってみせた。すると、
「カーット! オッケー!! 梁川くんだっけ!? 君、すごいよ!! 僕のイメージ通りの動きだった! 本当にアクションの経験ないの!? 正直、20テイクくらいいく覚悟で来たんだけど、直すところないじゃん!」
半分はまあお世辞だと思うんだけど、監督さんはすごくハイテンションで俺を褒めちぎってくれた。なんか照れくさいけど、気分は悪くなかった。
ただ、千裕さんのシーンを撮影になると、
「カーット! 千裕ちゃん、目線が違うんだ! そっちにモンスターはいない。それじゃモンスターのお尻を見てる!」
とかダメ出しが。
「は、はい。ごめんなさい……!」
モンスターは後でCGで合成することになるんだけど、一応、目線とか向けやすいように目印は用意されてる。俺はそれを当てにして視線を向けてたんだけど、千裕さんが思ってる位置と監督さんが思ってる位置とにズレが生じてるみたいだな。
すると、
「ちょっと真通さん! もっとしっかりやってよね。私のデザインしたリンネの魅力が全然出てないじゃない!」
スタジオの端で椅子にふんぞり返った状態で、緑川さんがそんな風に声を上げたんだ。
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