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第二幕

以前はスパルタだったらしいけど

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 <千葉アクションスタジオ>でのトレーニングは、一日二時間だけ。そこからは俺も撮影があったし。

 ただ、その二時間がメチャクチャ濃密で。今までの人生で一番きついものだったと思う。

 記憶にある限りでは。

 そうして二時間たっぷり絞られて、それからシャワーを浴びて着替えて一時間ほどしっかり休憩して。

 最初の二日間は撮影が休みだったから助かった。何しろ芙美のバイト終わりの直前まで家で休んでてもかなりつらかったし。

 けど、三日目になると、撮影の時間までにはかなり回復できるようになった。

 すると聖護院センセイが、

「あら、涼ちゃん。顔がまた引き締まってきたわね。しかも体つき、って言うか、体のシルエットがかっちりしてきたかも」

 って言ってきた。そこで俺は、

「<千葉アクションスタジオ>ってとこで、アクションのトレーニング受けてて。それでかも」

 と正直に応えたんだ。そしてらセンセイが、

「あら! 千葉ちゃんとこで!? それは素敵! 千葉ちゃんは張り切り過ぎて腰を痛めちゃって療養中らしいけど、娘ちゃんがばっちりやってくれてるから安泰だって」

 嬉しそうに。

「へえ、そうなんですね」

 そうか。あのインストラクターの女性はそうだったんだ。きっと子供の頃から厳しいトレーニングを積んできたからあの動きができるんだろうなと納得してしまった。にしても、センセイ、本当に顔が広いな。

「インストラクターの千葉ちゃん自身が張り切り過ぎて腰を痛めちゃったくらい、以前はスパルタだったらしいけど、娘ちゃんはそれを反省して、体を壊さずサマになる動きってのを追及してるらしいわね。いくら頑張ったって体壊してそれで動けなくなっちゃったんじゃ、本末転倒だもんね」

「確かに」

 そういうところに行けたのは、本当に運が良かった。だけどもしかすると、芙美自身が、いろいろ調べてそこを選んでくれたのかもしれないな。

 しかし、あれで『以前はスパルタだった』っていうのなら、前はどんなだったんだろう……?

 今でもあんだけキツいのに。

 それを思うと、俺は背筋が寒くなってきてしまった。

 努力は大事だけど、だからって聖護院センセイが言うみたいにそれで体を壊しちゃ意味ないよな。そんなことになったらみんなに迷惑が掛かる。

 俺も、やれるだけはやってみるけど、無理はしないでおこう。



 そう思って気を付けるようにはしたけど、でもちゃんと無事に、PV撮影当日を迎えることができた。

「あら~、涼ちゃん、仕上げてきたじゃない。これは期待できそう」

 一緒に現場に向かうことになった社長が嬉しそうにそう言ってくれたんだ。

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