137 / 195
第二幕
以前はスパルタだったらしいけど
しおりを挟む
<千葉アクションスタジオ>でのトレーニングは、一日二時間だけ。そこからは俺も撮影があったし。
ただ、その二時間がメチャクチャ濃密で。今までの人生で一番きついものだったと思う。
記憶にある限りでは。
そうして二時間たっぷり絞られて、それからシャワーを浴びて着替えて一時間ほどしっかり休憩して。
最初の二日間は撮影が休みだったから助かった。何しろ芙美のバイト終わりの直前まで家で休んでてもかなりつらかったし。
けど、三日目になると、撮影の時間までにはかなり回復できるようになった。
すると聖護院センセイが、
「あら、涼ちゃん。顔がまた引き締まってきたわね。しかも体つき、って言うか、体のシルエットがかっちりしてきたかも」
って言ってきた。そこで俺は、
「<千葉アクションスタジオ>ってとこで、アクションのトレーニング受けてて。それでかも」
と正直に応えたんだ。そしてらセンセイが、
「あら! 千葉ちゃんとこで!? それは素敵! 千葉ちゃんは張り切り過ぎて腰を痛めちゃって療養中らしいけど、娘ちゃんがばっちりやってくれてるから安泰だって」
嬉しそうに。
「へえ、そうなんですね」
そうか。あのインストラクターの女性はそうだったんだ。きっと子供の頃から厳しいトレーニングを積んできたからあの動きができるんだろうなと納得してしまった。にしても、センセイ、本当に顔が広いな。
「インストラクターの千葉ちゃん自身が張り切り過ぎて腰を痛めちゃったくらい、以前はスパルタだったらしいけど、娘ちゃんはそれを反省して、体を壊さずサマになる動きってのを追及してるらしいわね。いくら頑張ったって体壊してそれで動けなくなっちゃったんじゃ、本末転倒だもんね」
「確かに」
そういうところに行けたのは、本当に運が良かった。だけどもしかすると、芙美自身が、いろいろ調べてそこを選んでくれたのかもしれないな。
しかし、あれで『以前はスパルタだった』っていうのなら、前はどんなだったんだろう……?
今でもあんだけキツいのに。
それを思うと、俺は背筋が寒くなってきてしまった。
努力は大事だけど、だからって聖護院センセイが言うみたいにそれで体を壊しちゃ意味ないよな。そんなことになったらみんなに迷惑が掛かる。
俺も、やれるだけはやってみるけど、無理はしないでおこう。
そう思って気を付けるようにはしたけど、でもちゃんと無事に、PV撮影当日を迎えることができた。
「あら~、涼ちゃん、仕上げてきたじゃない。これは期待できそう」
一緒に現場に向かうことになった社長が嬉しそうにそう言ってくれたんだ。
ただ、その二時間がメチャクチャ濃密で。今までの人生で一番きついものだったと思う。
記憶にある限りでは。
そうして二時間たっぷり絞られて、それからシャワーを浴びて着替えて一時間ほどしっかり休憩して。
最初の二日間は撮影が休みだったから助かった。何しろ芙美のバイト終わりの直前まで家で休んでてもかなりつらかったし。
けど、三日目になると、撮影の時間までにはかなり回復できるようになった。
すると聖護院センセイが、
「あら、涼ちゃん。顔がまた引き締まってきたわね。しかも体つき、って言うか、体のシルエットがかっちりしてきたかも」
って言ってきた。そこで俺は、
「<千葉アクションスタジオ>ってとこで、アクションのトレーニング受けてて。それでかも」
と正直に応えたんだ。そしてらセンセイが、
「あら! 千葉ちゃんとこで!? それは素敵! 千葉ちゃんは張り切り過ぎて腰を痛めちゃって療養中らしいけど、娘ちゃんがばっちりやってくれてるから安泰だって」
嬉しそうに。
「へえ、そうなんですね」
そうか。あのインストラクターの女性はそうだったんだ。きっと子供の頃から厳しいトレーニングを積んできたからあの動きができるんだろうなと納得してしまった。にしても、センセイ、本当に顔が広いな。
「インストラクターの千葉ちゃん自身が張り切り過ぎて腰を痛めちゃったくらい、以前はスパルタだったらしいけど、娘ちゃんはそれを反省して、体を壊さずサマになる動きってのを追及してるらしいわね。いくら頑張ったって体壊してそれで動けなくなっちゃったんじゃ、本末転倒だもんね」
「確かに」
そういうところに行けたのは、本当に運が良かった。だけどもしかすると、芙美自身が、いろいろ調べてそこを選んでくれたのかもしれないな。
しかし、あれで『以前はスパルタだった』っていうのなら、前はどんなだったんだろう……?
今でもあんだけキツいのに。
それを思うと、俺は背筋が寒くなってきてしまった。
努力は大事だけど、だからって聖護院センセイが言うみたいにそれで体を壊しちゃ意味ないよな。そんなことになったらみんなに迷惑が掛かる。
俺も、やれるだけはやってみるけど、無理はしないでおこう。
そう思って気を付けるようにはしたけど、でもちゃんと無事に、PV撮影当日を迎えることができた。
「あら~、涼ちゃん、仕上げてきたじゃない。これは期待できそう」
一緒に現場に向かうことになった社長が嬉しそうにそう言ってくれたんだ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる