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第二幕

仕事ってそのためにする

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 なんだか、<仕事をする意味>っていうのまで分かってしまった気がする。

 結局は、自分の大切な人と一緒に生きていくため、なんだって。ちゃんと仕事しなきゃ、誰かに頼り切ることになるだろ? それって、自分の大切な人を守れないじゃん。自分の大切な人と幸せに暮らしていくための環境が作れないじゃん。作れないことはないかもしれなくても、すごく難しくならないかな?

 仕事ってそのためにするんだなって分かってしまった。

 でもそうすると、守りたい大切な人が周りにいないと働く意味を掴みにくい気がするな。俺の場合、芙美がいなかったら、たぶん、仕事をするモチベーションの半分以上が失われる気がして仕方ない。

 仕事が頑張れない人って、そうなのかな。ああでも、ブラック企業とかで勤めてる場合は。その大切な人との幸せな暮らしを人質に取られる感じになったりもするのか? それはつらいよな。

 それで言うと、いろいろ思うところもあるけど、今の事務所に所属できたのも本当に幸運だった。今回のことだって、社長もいろいろ動いてくれたし。ここまでやってくれるなんて、本当に助かる。

 今の事務所でなら、モデルの仕事も頑張れる気がする。

 なんか、モデルの仕事をやってけるかどうか不安になってたりしたのが嘘のようだ。俺がモデルとして大成できるかどうかは別にしても、仕事としてモデルを続けることについては、モチベーションを保てそうだな。

 だけどやっぱり、今回のことみたいなのは、あってほしくはないかな。



 こうして俺はまたモデルの仕事に専念できるようにはなった。あの、写真をアップした女の子のことでなにか別の動きがあったら知らせてほしいと、事務所を通じてセンチネルHOHJOに頼んでおいたけど、続報はない。続報がないというのは問題が起こってないってことだろうから、それでいいと思う。

 なんてことで平穏が戻ってきたと思ったら、

「そう言えば、涼くん、モデルの仕事してるから日焼けとかNGになっちゃったんだよね。海とかは行けないよね」

 芙美がそんなことを言ってきた。

「あ……」

 言われてみたら、確かにその通りだ。俺は海とか別に興味ないから気にしなかったけど、

「ちょっと残念かな……」

 芙美が少し寂しそうに笑ったから、それが刺さってしまった。

 俺としては別にどうでもいいんだけど、芙美が海に行きたいってんなら、一緒に行ってやりたかったな。

 でも、ディークの仕事は、日焼け完全NGなんだよ。キャラのイメージに合わなくなるから。

 なんてこった~っ!!

 と思ってたら、

「総合体育館の屋内プールなら大丈夫じゃね?」

 昼飯食ってたところでたまたま鈴木と一緒に合流した相田が、そう言ったのだった。

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