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第二幕

こういうこともあるっていうのは

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 北条が運営してる<センチネルHOHJO>は、普通に有能な会社だったみたいだ。

 一週間後、社長が、

「どうやらイジメは終息に向かってるって。だから涼ちゃんも安心していいよ。ただ、今後も気を付けること。っても、今回は完全に涼ちゃんは巻き込まれた側だから、気を付けようもないけどね。だけどこういうこともあるっていうのは忘れないで」

 って言ってきた。『忘れろ』と言われたって忘れるもんか。あのタマキって女の子も写真をアップした女の子も、そして俺も、みんな嫌な思いしただけで誰も幸せになってないからな。

 まあ、他人を罵って憂さを晴らすような奴らにはちょうどいいサンドバッグだったのかもしれないけど。

 でもそんなことで憂さを晴らさなきゃいけないってのがそもそもおかしいし。

 そうだよ。そんな形で憂さを晴らさなきゃいけないってのがおかしいんだ。俺はそんなことやらないし、芙美も徹もそんなことしない。俺の両親や芙美と徹の両親だってそんなことしてない。

 今、なんか、最近になってネットを始めたいい歳をした大人が、芸能人とか政治家とかの有名人を無茶苦茶に罵って憂さ晴らししてるってのが横行してるらしいな。それもあって、センチネルHOHJOへの依頼もひっきりなしらしい。

 今はまだ芸能人とかの依頼は受け付けてないけど、今回のことも、あくまで写真をアップした女の子の親が依頼してきたらしいけど、有名人とかの依頼を受けなくてもそれだけ依頼が来るってことは、そっちまで引き受けられるだけの体制にしたら、それこそとんでもない大企業になったりしないか?

 そんくらいの勢いで問題が起こってる気がする。

 なのに、俺や俺の両親や、芙美や徹や二人の両親がそんなことをせずに済んでるってのがすごく重要な気がするんだ。なんでそんなことをせずに済んでるか?ってのがさ。

 そうだよな。そんなことしなきゃいけない理由がないんだよ。俺達には。そこまでの不満がないんだ。俺は芙美や徹だけじゃなくて、小父さんや小母さんにもなんだかんだと話を聞いてもらってる気がする。

 仕事が忙しい上にエキセントリックな人達だからいろいろアレな俺の両親も、キレなきゃいけないほどムカつく人達じゃない。考えてみたら、俺が反発しても、なんか言っても、ちゃんと話だけは聞いてくれてた。

 うん、こっちの話にもまったく耳を貸さないような人達じゃないんだ。まあ、一見しただけだと俺の話を聞いてなさそうにも思えるけど、実はちゃんと聞いてはいて、話を聞いた上でスルーしたり逆にイジってくるような人達だけどさ。

 でも、なんかその辺がヒントになりそうな気がする。

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