ＹＯＵ ＢＥＣＡＭＥ ＳＯ…

第二幕

ネットで流れてるよ！

　俺が自宅で風呂に入ってたら、

『ねえねえ、涼くんのこと、ネットで流れてるよ！』

　って言いながら芙美が飛び込んできた。

「うひゃあ！　なんだよ！！」

　思わず女の子みたいな悲鳴を上げてしまった俺に構わず芙美は、

「涼くんの裸なんてちっちゃい頃から見慣れてるんだからどうでもいいの！　それよりこれ見て！」

　言われて芙美が差し出したスマホを見ると、俺がタマキって女の子と話してる時の写真と、

『ぎゃーっ！　涼くん、神スギーーーーー！！』

　的なコメントが。それを見た瞬間、アングル的にあの時の中学生らしい女の子達のどっちかだと思った。

　でも、芙美が画面を送ると、

『涼くんのプライベートを勝手に撮ってアップするのはヤメて！！』

『肖像権の侵害！！』

『通報しました』

『何考えてんの！　今すぐ消して！！』

『こういうことするのまだいたんだ。ガガイのガイだよね』

『頭悪スギ』

『〇ね！　ゴミムシ！！』

『事案だ～！』

『女の子カワイイじゃん』

『保存しました』

　とか、ひどいコメントのオンパレードで……

　でも、再読み込みしたら、

『このアカウントは一般に公開されていません』

　って表示が出て、読めなくなった。

「あ、鍵かけちゃった。無理もないか。可哀想に。でも、この子も迂闊だよね。こういう感じで炎上した話、いくつもあったはずなのに。涼くんを見掛けて浮かれちゃったのは分かるけどさ」

　芙美もこれはさすがにシャレにならないと思ったのか、困ったような表情で言うだけだった。

　確かに。俺はともかく、タマキって子の顔まではっきり分かる写真をそのままアップしたのはマズいと思う。こんなことで写真が拡散してしまうとか、ひどい話だよな。

　でも、だからって、写真をアップした方をこんなに罵るのも、俺は違うと思うんだ。ついやらかしてしまうっていうのは誰にでもあることだろうし。

　少なくとも、俺は汚い言葉で罵ろうとは思わない。タマキって子のために写真の削除くらいは申し入れるかもしれないけど……

　そうして風呂から上がって俺のスマホを見ると、社長から着信が入ってた。そこにまた社長からの着信があって、

「あ、涼ちゃん！？　ちょっと知らせておきたいことがあるんだけど……！」

　いつもよりも険しい感じの口調に俺はピンときて、

「もしかして、ネットにアップされてた写真の件ですか？」

　言うと、社長も、

「あ、涼ちゃんも気付いた？　あれ、うちの方からダイレクトメッセージで削除を申し入れたんだけど、涼ちゃんの方からは下手にアクション起こさないように言っとこうと思って」

　って。