YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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第二幕

どうするのが正解だ……!?

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 こうしてイベントは始まったけど、それ自体は、滞りなく進行した。

 それに、メインはあくまでゲームのプロデューサーさんやキャラクターの声をあててる声優さん達のインタビューやトークなので、俺や千裕さんは、セットの一部になり切るように言われてる。

 プロデューサーさんも、俺はよく知らないけど有名な人だそうでこういう舞台にも慣れているのか堂々としてるし、声優さんも俺が知ってるくらい有名な人だったから、こちらも堂々としたものだった。

 俺なんかがそういう人達と一緒にここにいていいのかな?という気もしたりする。

 ただ、客席からの視線はすごく感じるし、時々、

「涼く~ん♡」

 みたいな声も聞こえてくる。俺を目当てに来てくれたお客さんも結構いるんだってことがそれで分かる。

 本当にありがたい。

 だからそういうお客さんのためにも、モデル梁川涼介として、ディークを演じないといけないとは思った。

 なのに、司会の女性が、

「ディークからも意気込みをお聞かせくださいますか?」

 いきなり俺にマイクを向けてきた。

「!?」

 聞かされていなかったそれに、思わず内心ギョッとする。かろうじて表情は崩さずに済んだとは思うけど、頭の中はフリーズ状態だった。

『え…と。どう応えればいい? どうするのが正解だ……!?』

 ってなってると、ディーク役の声優の人が、

「ノーコメントだ」

 イケボで応えてくれた。すると客席からは、

「キャーッッ♡」

 と歓声が。

 そうだよな。<ディーク>はあっちなんだ。俺はただのアバターみたいなものだ。実際の声が載るわけじゃない雑誌のインタビューとは違う。ディークの姿で出てるのにディークじゃない声で応えてどうすんだ?

 さすが、声優さんは鍛えられてるな。

 表情は崩さないようにしつつも、俺はホッとしていた。

 そんなピンチもありつつ、

「ありがとうございました!」

 司会の女性の締めの挨拶でイベントは無事終了。心の中じゃ冷や汗ダラダラかきながら俺は舞台袖にはけていった。

 そうして控室へと戻る途中、ゲームのプロデューサーさんが、

「ちょっと、そこのディークの人!」

 振り返って手招きしてくる。

『え…? 俺、なんかヘマした……?』

 俺のディークでどこか気に入らないところがあって怒られるのかと思って、

「はい…っ!」

 つい声が裏返りながら近付いていくと、

「あはは! 声はさすがにまだまだだな」

 プロデューサーさんはそう笑って、

「でも、見た目の雰囲気はすごくよかったと思う、僕のディークのイメージそのままだ。これからもよろしくね」

 って言ってくれたんだ。

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