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第二幕

ゲーム会社主催のイベント

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 そんな感じでゲーム会社のイメージキャラクターとしての仕事が決まってすぐ、夏休みに入った。すると、芙美と俺は、塾にも通うことになった。と言っても、午前中だけだったけど。

 午前だけ塾で勉強して、塾の近くのハンバーガー屋で昼メシにして、午後からはそれぞれモデルとしての仕事にバイトと、ちょっと忙しくなった。なんか、夏休みって感じじゃないかもしれない。

 高校二年の夏休みとか、もっとこう、キラキラした青春、みたいなのを想像してたけど、具体的にすること決まってたらこんなもんかな。でも……

『なんか、悪くない……』

 芙美と一緒に塾に行って勉強して、それから、

「じゃ、また後で、フォルテに行くからよ」

「うん、待ってる♡」

 そう言ってお互いに手を振って別れるこの感じ、悪くないよな。これはこれで『青春してる』って気がする。

 こうして俺は、モデルとしての仕事に向かう。今日は、事務所の方に行って、そこからゲーム会社主催のイベントに向かうことになってた。

 ゲームのキャラデザイナーやプロデューサーや、キャラの声をあててる声優とかも来る、本格的なものらしい。俺はあくまで<イメージ>だから、その人らの後ろに突っ立ってりゃいいだけって話だけどな。

「おはようございます」

 事務所に着くと、

「おはよう、涼ちゃん」

 社長とスタッフがイベントに向かう準備をしてた。イベント自体は夕方からの二時間。それが終わってすぐに帰れば、芙美のバイトが終わるギリギリに間に合うだろ。

「さー、急いで急いで!」

 社長に促されてみんなでワゴン車に乗る。そうして現場に着いて控室に入ると、

「おはようございます!」

 いきなりテンション高く挨拶された。そこにいたのは、高校生くらいの女の子だった。

「は、初めまして! 私、真通まさみち千裕ちひろって言います! 十五歳! 高1です! 今日はリンネ役で一緒にお仕事させていただくことになりました!」

 リンネっていうのは、最初の撮影の時には芙美が演じてたゲームのヒロインで、あん時は急遽『ヒロインも一緒に』って決まったこともあってモデルの手配が間に合わなくて、芙美を臨時で使ったんだ。

「面白そう! 私やりたい!!」

 社長から「誰かよさげなコ、いない?」ってメッセージが届いてたのを見た芙美がそう言ったから。最悪、スタッフを代理に立てるつもりだったところに芙美が名乗りを上げたからあの時はそうなったけど、その後で正式にこの真通まさみちってコに決まったってことだった。

 しかし、『真通まさみち』じゃ、男みたいだな。名前みたいな名字ってたまにあるけど、ややこしいな。

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