87 / 195
第二幕
ゲーム会社主催のイベント
しおりを挟む
そんな感じでゲーム会社のイメージキャラクターとしての仕事が決まってすぐ、夏休みに入った。すると、芙美と俺は、塾にも通うことになった。と言っても、午前中だけだったけど。
午前だけ塾で勉強して、塾の近くのハンバーガー屋で昼メシにして、午後からはそれぞれモデルとしての仕事にバイトと、ちょっと忙しくなった。なんか、夏休みって感じじゃないかもしれない。
高校二年の夏休みとか、もっとこう、キラキラした青春、みたいなのを想像してたけど、具体的にすること決まってたらこんなもんかな。でも……
『なんか、悪くない……』
芙美と一緒に塾に行って勉強して、それから、
「じゃ、また後で、フォルテに行くからよ」
「うん、待ってる♡」
そう言ってお互いに手を振って別れるこの感じ、悪くないよな。これはこれで『青春してる』って気がする。
こうして俺は、モデルとしての仕事に向かう。今日は、事務所の方に行って、そこからゲーム会社主催のイベントに向かうことになってた。
ゲームのキャラデザイナーやプロデューサーや、キャラの声をあててる声優とかも来る、本格的なものらしい。俺はあくまで<イメージ>だから、その人らの後ろに突っ立ってりゃいいだけって話だけどな。
「おはようございます」
事務所に着くと、
「おはよう、涼ちゃん」
社長とスタッフがイベントに向かう準備をしてた。イベント自体は夕方からの二時間。それが終わってすぐに帰れば、芙美のバイトが終わるギリギリに間に合うだろ。
「さー、急いで急いで!」
社長に促されてみんなでワゴン車に乗る。そうして現場に着いて控室に入ると、
「おはようございます!」
いきなりテンション高く挨拶された。そこにいたのは、高校生くらいの女の子だった。
「は、初めまして! 私、真通千裕って言います! 十五歳! 高1です! 今日はリンネ役で一緒にお仕事させていただくことになりました!」
リンネっていうのは、最初の撮影の時には芙美が演じてたゲームのヒロインで、あん時は急遽『ヒロインも一緒に』って決まったこともあってモデルの手配が間に合わなくて、芙美を臨時で使ったんだ。
「面白そう! 私やりたい!!」
社長から「誰かよさげなコ、いない?」ってメッセージが届いてたのを見た芙美がそう言ったから。最悪、スタッフを代理に立てるつもりだったところに芙美が名乗りを上げたからあの時はそうなったけど、その後で正式にこの真通ってコに決まったってことだった。
しかし、『真通』じゃ、男みたいだな。名前みたいな名字ってたまにあるけど、ややこしいな。
午前だけ塾で勉強して、塾の近くのハンバーガー屋で昼メシにして、午後からはそれぞれモデルとしての仕事にバイトと、ちょっと忙しくなった。なんか、夏休みって感じじゃないかもしれない。
高校二年の夏休みとか、もっとこう、キラキラした青春、みたいなのを想像してたけど、具体的にすること決まってたらこんなもんかな。でも……
『なんか、悪くない……』
芙美と一緒に塾に行って勉強して、それから、
「じゃ、また後で、フォルテに行くからよ」
「うん、待ってる♡」
そう言ってお互いに手を振って別れるこの感じ、悪くないよな。これはこれで『青春してる』って気がする。
こうして俺は、モデルとしての仕事に向かう。今日は、事務所の方に行って、そこからゲーム会社主催のイベントに向かうことになってた。
ゲームのキャラデザイナーやプロデューサーや、キャラの声をあててる声優とかも来る、本格的なものらしい。俺はあくまで<イメージ>だから、その人らの後ろに突っ立ってりゃいいだけって話だけどな。
「おはようございます」
事務所に着くと、
「おはよう、涼ちゃん」
社長とスタッフがイベントに向かう準備をしてた。イベント自体は夕方からの二時間。それが終わってすぐに帰れば、芙美のバイトが終わるギリギリに間に合うだろ。
「さー、急いで急いで!」
社長に促されてみんなでワゴン車に乗る。そうして現場に着いて控室に入ると、
「おはようございます!」
いきなりテンション高く挨拶された。そこにいたのは、高校生くらいの女の子だった。
「は、初めまして! 私、真通千裕って言います! 十五歳! 高1です! 今日はリンネ役で一緒にお仕事させていただくことになりました!」
リンネっていうのは、最初の撮影の時には芙美が演じてたゲームのヒロインで、あん時は急遽『ヒロインも一緒に』って決まったこともあってモデルの手配が間に合わなくて、芙美を臨時で使ったんだ。
「面白そう! 私やりたい!!」
社長から「誰かよさげなコ、いない?」ってメッセージが届いてたのを見た芙美がそう言ったから。最悪、スタッフを代理に立てるつもりだったところに芙美が名乗りを上げたからあの時はそうなったけど、その後で正式にこの真通ってコに決まったってことだった。
しかし、『真通』じゃ、男みたいだな。名前みたいな名字ってたまにあるけど、ややこしいな。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる