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第二幕

もし涼くんがピンチの時は

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 そんなこんながあって、今日、遂にゲームメーカーのイメージキャラクターとしての俺が正式に発表された。で、その写真は、そのゲームメーカーが社運を賭けて、と言ったらさすがに大げさかもだけど、でも確実にかなり力を入れて作った、スマホ用のアプリのゲームのメインキャラで、ボロボロのロングコートにでっかい銃を構えたクールな<魔銃使い>だって。

 正直、設定とかは割と面白そうかなとは思うんだけど、ゲームのシステムがちょっと俺にはピンとこないものだったから、そんなにハマるってほどじゃなかった。でも、仕事は仕事。

「梁川さんは雑誌のモデルさんだそうですが、ゲームキャラクターのコスはどうですか?」

 撮影の時のインタビューでそう聞かれて、

「任務以外についてはノーコメントだ。任務についてもノーコメントだ……」

 ゲームのキャラになりきってそう応えた。それ自体がまあ台本通りだったんだけど、変にあれこれしゃべってボロ出したら困るし、クールな無口キャラって設定で本当に良かった。

 で、ギャラは、俺がこれまでモデルのバイトで稼いだ分をはるかに上回る額で、最初に提示された時にはギョッてなってしまった。まあ、期間は一年ってことだったのもあるけど。

 それでも、世間的にはまだまだ知名度が高くなかったこともあって、有名なタレントを使うよりははるかに安く済んだらしい。

 しかもこの時、俺がやってたキャラのパートナーの女の子として、芙美も一緒に写真撮ったんだよな。と言っても、その女の子は、顔の傷を隠すためにいつもフードを目深に被ってるって設定だったから、顔は出してないけど。

 撮影ん時は、その女の子を演じてる芙美を抱きかかえつつでっかい銃を構えたり、逆に俺がダメージ受けて膝を着いてるのを芙美が演じるその女の子が、自動小銃を両手持ちして庇いつつ敵を攻撃してるってイメージのシーンも撮ったりして、実は芙美もノリノリだった。

 ただし、芙美の出番はそれだけで、ギャラもまあ、<モデルのバイト>のそれだったけどな。

「あはは! すっごく楽しかった♡」

 撮影が終わって帰る時、芙美のテンションがすっごく高くて。

「もし涼くんがピンチの時は、私が守ってあげるね!」

 言いながら、自動小銃を両手に構えたポーズを取って、

「ババババババババッッ!! ってさ!」

 だって。

「はは……それじゃなんか俺が情けない感じだろ? 俺、王子様じゃないのかよ?」

「そうだよ! 涼くんは私の王子様なんだよ! でも、お姫様だってただ守られてるだけじゃ、なんかカッコ悪いじゃん!」

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