YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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第二幕

そんな風に思ってもらえる

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 芙美の家もあったかいけど、まあ、俺の家もあったかいんだろうな。

 デリカシーねえけど。

 あと、両親揃って家を空けがちだし。それもあって、芙美のオヤジさんとオフクロさんは俺にとってはもう一組の両親みたいなものだ。俺の両親の足りないところを芙美のオヤジさんとオフクロさんが補ってくれてたわけで。

 その一方、俺のオヤジとオフクロも、芙美のことは昔から大事にしてたと思う。

 実の息子の俺以上に。

 親としてそれはどうなんだ?と思わなくはないけどよ、芙美をイビるようなのじゃないのはすげー助かってる。ありがたい。世の中にゃ、自分の子供の結婚相手をイビるようなのがいるらしいな。それって、間接的に自分の子供を痛め付けてることにならないか?って感じるんだ。

 もし俺の両親が芙美をイビってたりしたらそれこそ『親ガチャ外れた!』って思うぞ。誰かの大切な人を痛め付けようなんて奴、ロクなもんじゃないだろ。そういう意味でも俺は本当に恵まれてるって感じる。

 夕食を終えて片付けを手伝いながらそんなことを思ってると、

「涼く~ん♡ 一緒におフロ入ってく~?」

 芙美がいきなり言い出して、

「あら羨ましい」

「む…っ?」

 芙美のオフクロさんとオヤジさんが反応する。

「い、いや、俺は自分ちで入りますから……!」

 そう言って慌てて自分の家に逃げ帰った。芙美のことだからたぶん冗談なんかじゃない。本気だ。それを『羨ましい』と言っちゃうオフクロさんはもちろん、俺を睨みながら『む…っ?』と反応するオヤジさんも別に本気で怒ってるわけじゃないのは感じられた。そういうポーズを取ってるだけなんだって。

 間違いなく俺の両親も芙美の両親も、俺達の関係を祝福してくれてる。こんな恵まれた環境、そうはないだろ。

 と、誰もいない自宅に戻って俺は自分に言い聞かせる。オヤジとオフクロが頑張ってくれてるから俺は今の暮らしができてるんだってのは分かってる。分かってるけど、小さい頃はそれが少し寂しかったりもしたな。

 でも、親だって人間だもんな。完璧じゃいられない。それを芙美のオヤジさんとオフクロさんがカバーしてくれたんだし、芙美のオヤジさんとオフクロさんにそれをしたいと思わせる俺のオヤジとオフクロもすごいと思うんだ。今時、他所の家の子をこんなに面倒見てくれるのって、珍しいだろうしさ。

 俺も、芙美とだけじゃなくていろんな人とそういう関係を築けるような人間になりたいと思う。

 自分の子供にそんな風に思ってもらえる親ってどんだけいるんだろ。

 なんてことを、一人で風呂に入りながら思ってたりもするんだよな。

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