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第二幕

こんなこと配信中に口にしたら

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「涼ちゃん! 大手ゲーム会社のイメージキャラクターに決まったって?」

 いつもの通りトールのチャンネルに出演してたら、いきなり言われた。これはたぶん、社長からの指示だと思う。ゲーム会社との打ち合わせの上での、公式発表に向けての前フリと言うか、話題作りと言うか。かな。

「ああ、うん。もうあっちこっちで噂になってるみたいだから今さらだけど」

 俺はこういうのあんまり得意じゃないから、苦笑いで応えておいた。するとコメント欄が、

『うわーっ! やっぱりー!!』

『マジだったんだ、アレ!』

『涼ちゃん、すごーい♡』

 みたいに盛り上がってる。もちろん批判的なそれもあるけど、7:3くらいで好意的なのが多いと思う。

 いろんな意見があるのは当たり前だから批判されるのは別にいい。気にしなきゃいいだけだ。俺のことをロクに知りもしない、事情をロクに知りもしないのが何言ってたって、関係ないしな。

 だいたい、トールのチャンネル自体が、半ば<梁川涼介の公式チャンネル>化してるし。

 実はトールも、結局、俺と同じ事務所に所属することになったんだ。でもやってることは別に変ってない。うちの事務所に所属してるタレント<トール>としてこの先も活動するってだけで。

 そのことに対する批判ももちろんある。

『牙が抜かれた!』

『結局は金かよ!』

 的な意見も多い。だけど自分が持ってる<才能>を活かすことがそんなにダメなことか? 俺は<見た目という才能>を活かしてそれを仕事にするし、トールは<トーク力という才能>を活かしてこれからの自分の人生を作っていこうとしてるだけだ。あるものを活かすという努力をしてるだけだ。

 それに対するやっかみや嫉妬なんて、そんなことをしてる時間も惜しいだろ。

 北条も、俺はあいつのことは嫌いだけど、マジで好きになれないタイプだけど、あいつはあいつで自分の才能を活かそうとしてると思う。

 俺達は<親ガチャ>に当たった。それは事実だ。俺をこんなイケメンに生んでくれて、トールはしゃべりが上手くなって、しかもそれを活かすことを後押ししてくれる親の下に生まれられたのは俺達自身の努力じゃないし本当にラッキーだったと思うんだ。

 だから、自分の境遇を『恵まれていない』って感じてるヤツをバカにするつもりはない。それをバカにする奴も俺は嫌いだ。他人をバカにしてる暇があるんなら、自分がどう生きていけばいいかを真剣に考えろって感じる。

 結局、図星突かれた自覚があるから相手をバカにすることでしか誤魔化せないんだろ。

 って、こんなこと配信中に口にしたら、大炎上だろうな。

 だから言わない。

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