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第二幕

おじさんおとうさん

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 私の名前は、藤宮ふじのみや舞美まみ。十七歳。高三。高校卒業後は、お父さんの友達の喫茶店に就職が決まってる。大学は、別にいいかな。お金かけてまでやりたい勉強はないし、必要なことはその時に勉強すればいいしね。

 学校内での模試の結果だと一部の難関大以外ならどこでも選び放題ってことだったからか先生は、

「もったいない! 藤宮ならその気になったら難関国立大だって目指せるぞ! お前の成績なら給付型の奨学金も受けられる! 経済的なことは心配しなくていい!」

 とか言ってくれたけど、やる気もないのに給付型の奨学金受けて大学行くのもなんだかな~って思うからさ。そういうのは、やっぱ、頑張って勉強したいって思ってる人のためにあるもんじゃないのかなって気がする。

「いいんじゃない? 舞美の人生なんだもん。やりたいようにすればいいよ。パパとママだってやりたいようにやってるし」

 お母さんもそう言ってくれてる。私も、お父さんやお母さんみたいな結婚して、たくさん子供を生みたいと思ってるんだ。

 今はそういうの流行らないかもしれないけど、責任取るつもりもないクセに他人の人生の選択に口出ししてくるような人の言うことなんて、聞く必要ないでしょ?

 私は私らしく生きるだけだよ。

 そんな私のお父さんは、大学の教授。なんか物理学方面ですごい権威を持ってるらしいけど、興味ないから詳しくは知らない。ただ、お父さんが分かりやすく説明してくれるから、私も理系は割と得意かな。パズルみたいで面白いよね♡

 お父さんは仕事で忙しくて世界中飛び回ってて滅多に家に帰ってこられないのに、帰ってきたらいっぱい相手してくれるし、私の分からないことを何でも応えてくれるから、好き。

 それで、お父さんが家にいない間は、うるみ姉さんがお父さんの代わりをしてくれてる。潤姉さんは、お父さんの妹。だからホントは叔母なんだけど、髪が短くて背が高くて凛々しくてよく男の人に間違われるイケメンでありつつまだ二十代半ばだからお姉さんみたいな感じ。男性同士の恋愛ものでちょっとエッチなラノベを書いてる作家さん。これまでにもいくつも本を出してるっていう、売れっ子らしい。私は一冊読ませてもらっただけでおなかいっぱいになったからそれ以来読んでないけど。

 ほとんど家に帰ってこれないお父さんと違って潤姉さんはいつも家にいるから、寂しくなかった。小さい頃は本当に潤姉さんのことを『おとうさん』って呼んでたらしい。で、お父さんのことは『おじさんおとうさん』って呼んでたって、お母さんが言ってたな。

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