65 / 195
飛躍の章
怖くなかった!?
しおりを挟む
氷山のそれは、お説教や警告と言うよりは、あくまでアドバイスって感じだったように思う。
ネット配信をするにあたっての心得とかについての。
「分かりました」
俺が応えると、
「よろしい。私が今言ったことをゆめゆめ忘れないように」
そう念押しはされたけど、思った以上にすんなりと解放された。元々、十分しかない休憩時間中に呼び出したんだから長々と話をするつもりはなかったんだと終わってから気付いた。
「あ、涼くん! 大丈夫だった!? 怖くなかった!?」
「って、小学生かっ!!」
まるで俺を小さい子扱いするような芙美に思わずツッコミながら、でも、
「心配してくれてありがと。うん、別に大丈夫だったよ。今後もネット配信する場合の注意点とかを言われただけだったから」
芙美と一緒に教室に戻りながら、俺は笑顔でそう応えた。そんな俺の様子に、野次馬達も解散していく。別に大したことじゃなかったと察したんだろう。
チャイムも鳴り始めたしな。
「急ごう!」
「うん!」
そう言って俺と芙美は速足で教室に向かったんだ。
でも、そんな感じで俺のことはまあ軽く終わったんだが、
「二年D組、北条拓馬。至急、生徒指導室に来るように」
昼休みに突然、そう放送が。しかも、生徒指導の教師のガチトーンの声。
「おいおい、北条の奴、なにやらかしたんだ?」
「今の声の調子、やべーじゃん」
これまで芙美と一緒に昼休みを過ごしてた場所は結局は他のカップル達に占領されてしまったから教室で一緒に弁当にしてたんだけど、クラスの奴らがどよめいている。
まあそうは言っても俺には関係ないことだし、取り敢えず机に突っ伏して寝ることにした。そんな俺を、芙美が優しく撫でてくれる。教室でもずっとその調子だから、他の奴らはもう俺と芙美のことをあれこれ言ったりもしない。基本は放置だ。女子の一部からは、
「いいな~、芙美は」
「幼馴染って言ったら普通は負けフラグなのにね~」
とか言う声も聞こえるけど、気にしない。俺と芙美は普通に仲がいいだけだ。世間じゃそれを『付き合ってる』って言うんだろうけど、俺も芙美のことを彼女だと思ってるけど、それ以上に俺にとっては、
大切にしたい人。
なんだ。だから彼氏彼女とかそういうの以上の関係だと思ってる。血塗れになりながらカラスから助け出した……いや、実際は大人達に芙美と一緒に助けられたんだけど……あの日から、とにかく俺にとっては特別な存在なんだよ。
俺自身、それを自覚するのに時間もかかったけどな。
ネット配信をするにあたっての心得とかについての。
「分かりました」
俺が応えると、
「よろしい。私が今言ったことをゆめゆめ忘れないように」
そう念押しはされたけど、思った以上にすんなりと解放された。元々、十分しかない休憩時間中に呼び出したんだから長々と話をするつもりはなかったんだと終わってから気付いた。
「あ、涼くん! 大丈夫だった!? 怖くなかった!?」
「って、小学生かっ!!」
まるで俺を小さい子扱いするような芙美に思わずツッコミながら、でも、
「心配してくれてありがと。うん、別に大丈夫だったよ。今後もネット配信する場合の注意点とかを言われただけだったから」
芙美と一緒に教室に戻りながら、俺は笑顔でそう応えた。そんな俺の様子に、野次馬達も解散していく。別に大したことじゃなかったと察したんだろう。
チャイムも鳴り始めたしな。
「急ごう!」
「うん!」
そう言って俺と芙美は速足で教室に向かったんだ。
でも、そんな感じで俺のことはまあ軽く終わったんだが、
「二年D組、北条拓馬。至急、生徒指導室に来るように」
昼休みに突然、そう放送が。しかも、生徒指導の教師のガチトーンの声。
「おいおい、北条の奴、なにやらかしたんだ?」
「今の声の調子、やべーじゃん」
これまで芙美と一緒に昼休みを過ごしてた場所は結局は他のカップル達に占領されてしまったから教室で一緒に弁当にしてたんだけど、クラスの奴らがどよめいている。
まあそうは言っても俺には関係ないことだし、取り敢えず机に突っ伏して寝ることにした。そんな俺を、芙美が優しく撫でてくれる。教室でもずっとその調子だから、他の奴らはもう俺と芙美のことをあれこれ言ったりもしない。基本は放置だ。女子の一部からは、
「いいな~、芙美は」
「幼馴染って言ったら普通は負けフラグなのにね~」
とか言う声も聞こえるけど、気にしない。俺と芙美は普通に仲がいいだけだ。世間じゃそれを『付き合ってる』って言うんだろうけど、俺も芙美のことを彼女だと思ってるけど、それ以上に俺にとっては、
大切にしたい人。
なんだ。だから彼氏彼女とかそういうの以上の関係だと思ってる。血塗れになりながらカラスから助け出した……いや、実際は大人達に芙美と一緒に助けられたんだけど……あの日から、とにかく俺にとっては特別な存在なんだよ。
俺自身、それを自覚するのに時間もかかったけどな。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる