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飛躍の章

肝に銘じておいてほしい

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 氷山ひやまに生徒指導室へ呼び出された俺は、さすがに緊張していた。出演しただけで、別に炎上もしてないのにこれだから、炎上なんかしたらそれこそどうなるんだ?って思ってしまう。

「涼くん! 大丈夫! 私が守るから!」

 芙美はそんなことを言ってるけど、いや、ここで芙美に守られてたらそれこそ情けないと思うんだ……

 だから、一緒に生徒指導室に入ろうとする芙美には、

「取り敢えず外で待ってて。いよいよヤバイってなったら呼ぶから」

 そう言って何とか待っててもらった。他にも野次馬が遠巻きに見てるのが分かる。

 気は重いけど、徹に唆されたとは言っても出演を決めたのは俺自身だ。だからこれは俺が受け止めなきゃいけないことなんだ……!

 覚悟を決めて、

「失礼します……」

 氷山ひやまが待つ生徒指導室へと入る。そこには、眼鏡を光らせいつものように氷みたいな気配を放ってる氷山ひやまの姿が……

 でも、開口一番、

「そんなに緊張しなくていい。私は別に君を咎めるために呼んだんじゃない」

 って。

「……はあ……」

 俺は正直ビビりながらも氷山ひやまの前に座って、

「それで、何でしょうか……?」

 と切り出す。すると氷山ひやまは、

「……学校としては、本音を言わせてもらえばネット配信などはしないでほしいというのが正直なところではある……」

 そう告げた上で、ごくりと唾を飲み込んだ俺に向かって、

「私も、今回の配信は確認させてもらった。徹のしていることだから普段から確認させてもらっているんだ。梁川が出てきたことには驚かされたが、話している内容そのものに大きな問題はなかったと思う」

 とも。さらに、

「モデルの仕事をしている以上は、いずれはこうやってメディアへの露出が増えていく可能性が高いことは十分に予測できた。その上で、デザイナーの方や所属事務所の代表とも、我が校生徒の保護を優先してもらうようには告げてある。それを守ってもらえるのであれば、モデルとしての梁川の活動に強い制限を設けるつもりはない。

 モデルというのも立派な職業だと私は考えている。ゆえに、自覚と責任感を持って節度をわきまえて活動してもらえるなら、ネット配信をはじめとしたメディアへの露出にも現時点では制限は設けない。ただし、親の脛をかじっている立場であることをわきまえないような振る舞いが出てくるようであれば、それについては当然看過できないので、しっかりと肝に銘じておいてほしい」

 やっぱり淡々と、冷静に、でも毅然とした態度で、言ってきたのだった。

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