ＹＯＵ ＢＥＣＡＭＥ ＳＯ…

飛躍の章

スミに置けないね～！

『理不尽な敵に対しては家族で一丸となって立ち向かえばいい。私もお父さんも、仕事でいろんなことがあった。だけどお互いとあんたのことが励みになってここまで頑張れたんだよ。だから涼介、今度はあんたの番』

　オフクロにそこまで言われたら、なんか、『そういうものなんだ？』って気になってきて……

「わ…分かったよ……でも、炎上とかしても知らねーぞ。誰かをバカにしたりみたいなことは言わねーつもりだけど、どんな理由で炎上するかなんて分かんないし……」

　って応えてしまった。するとオフクロは、

「よ～し！　それでこそ私とお父さんの子だよ！　炎上上等！　リスクを負わなきゃリターンは得られないんだよ！」

　とか言いながらバンバンと肩を叩いてきて。

　うう……プレッシャーが……

　だけど確かに、モデルとしてもっと名前と顔が売れてきたりしたら、いずれは今よりもメディアに取り上げられることも増えるかもしれない。俺自身としちゃ今くらいでちょうどいいと思ってたんだけど、それだと仕事としちゃぜんぜん足りねーからな。とても胸張って、

『モデルの仕事をやってます！』

　とは言えないし……だとしたらやっぱ、仕事って言えるくらいに稼げるようにならないとダメなんだろうな……

『見た目だけが取り得』みたいな言われようはちょっと引っかかるけど……

　それから芙美まで、

「聞いたよ聞いたよ！　涼くん！　トールのチャンネルに出たんだって！？」

　って迫ってきた。芙美自身は、徹のチャンネルは基本見てないそうだ。普段の徹を知ってるだけに、配信内の徹の姿が『いたたまれない……』ってのがあるそうで。まあ、何となく俺も分かる気するけど。

「涼くんが出てる時だけは私も見ようかな……」

　とか言い出した。

　で、翌日、学校ガッコに行くと、

「梁川くん！　トールのチャンネルに出てたよね！？」

「見た見た！　可愛かった～♡」

「また出演予定はあるの！？」

　通学路でも学校についてからでも女子にそんな風に声を掛けられた。さらに相田にも、

「おやおや梁川く～ん、スミに置けないね～！　これはいよいよ飛躍の時ですか～？」

　みたいに絡まれて。

　それどころか、川崎先生にまで、

「見たよ、梁川くん！　トールと友達だったの！？」

　って。しかも先生は、

「それにしてもどうやってトールと知り合ったの？　ネットのゲームで知り合った相手と実際に会うとか、危なくない？　今回はトールが相手だったからよかったけど、次からはもっと慎重になってね」

　お説教までくれた。さらに、

「梁川、後で生徒指導室にきたまえ……」

　氷山ひやまから呼び出しまで。

　これ、どうなってしまうんだ……？