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飛躍の章
はいはい、涼ちゃん! ご挨拶は?
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こうやって俺をブースに座らせた徹は、自分のブースに座った。こういうことを想定してたのか、ブースは向き合う形で二人分用意されてたんだ。ちょうどラジオのスタジオって感じか。お互いの声が直接届かないようにするためかアクリル板で仕切られてたけど。てか、この準備の良さ、完全にずっと前からこうするつもりだったな……!?
ようやく徹の狙いを察しても、
「はい! 本番いきま~す! 3、2、1…! はいは~い! こんばんは! トールでぇ~す♡」
って始めてしまって、俺はもう逃げることもできなかった。
「で、早速なんですけど、今日は、驚きのゲストをお呼びしてま~す!」
俺のブースにも用意されてたタブレットに、画面が二分割されて片方に例の変な仮面を着けて声も変えた徹、もう片方に明らかに挙動不審な俺が映ってた。大丈夫なのかよ、これ!?
なのに徹は平然と、
「は~い! イケメン高校生モデルの梁川涼介くんで~す! イエ~ッ! ドンドンパフパフ~!!」
一人で勝手に盛り上がってた。
「はいはい、涼ちゃん! ご挨拶は?」
徹にそう言われると、俺もなんか急にスイッチが入ったみたいな感じで、
「あ…どうも、梁川涼介です…」
って応えられた。目の前にあるスマホがカメラだって実感できると、撮影の時のモードに切り替わったみたいだ。
ここでようやく俺も少し冷静になれて、タブレットの画面に、視聴者からのコメントがずらっと並んでそれがどんどん流れてて、
『誰?』
『知らな~い』
ってコメントがほとんどだけど、その中にいくつか、
『え~っ!?』
『マジ!?』
『涼ちゃん!?』
『マジで涼ちゃんなの!?』
『ぎゃあああああ~っ! 涼ちゃ~ん♡♡♡』
みたいなのも見える。何人かは知ってくれてるんだ……しかも、
『なにこの可愛い生き物♡』
『きれ~っ♡』
『イケメンきたーっ!』
って感じのも。結構な勢いでコメントが。そこに徹が、
「あ~、やっぱ知ってくれてる人もいるみたいだね~。最近、じわじわ人気上がってきてるモデルだからね~! 涼ちゃんは」
とかなんとか。さらに、
「涼ちゃんとはね~、ネトゲ仲間だったんだけど、最近、モデルしてるって知ってさ~。しかもなんか悩んでるって言うから、相談にのっちゃおうってことで、来てもらいました~♡」
とまで。
「え…ああ……はい……」
そういう設定なのか……確かに徹とはネトゲもよくやってるけど……戸惑う俺に、徹は、
「で? 涼ちゃんは、自分が彼女にふさわしい奴かどうかってことで悩んでたんだっけ?」
って振ってきて。するとコメントが、
『え~っ!?』
『彼女いんの~っ!?』
『ショックぅ!!』
とかいうのに混じって。
『え? 彼女さんと上手くいってないの?』
『あら~』
って感じのもあったんだ。
ようやく徹の狙いを察しても、
「はい! 本番いきま~す! 3、2、1…! はいは~い! こんばんは! トールでぇ~す♡」
って始めてしまって、俺はもう逃げることもできなかった。
「で、早速なんですけど、今日は、驚きのゲストをお呼びしてま~す!」
俺のブースにも用意されてたタブレットに、画面が二分割されて片方に例の変な仮面を着けて声も変えた徹、もう片方に明らかに挙動不審な俺が映ってた。大丈夫なのかよ、これ!?
なのに徹は平然と、
「は~い! イケメン高校生モデルの梁川涼介くんで~す! イエ~ッ! ドンドンパフパフ~!!」
一人で勝手に盛り上がってた。
「はいはい、涼ちゃん! ご挨拶は?」
徹にそう言われると、俺もなんか急にスイッチが入ったみたいな感じで、
「あ…どうも、梁川涼介です…」
って応えられた。目の前にあるスマホがカメラだって実感できると、撮影の時のモードに切り替わったみたいだ。
ここでようやく俺も少し冷静になれて、タブレットの画面に、視聴者からのコメントがずらっと並んでそれがどんどん流れてて、
『誰?』
『知らな~い』
ってコメントがほとんどだけど、その中にいくつか、
『え~っ!?』
『マジ!?』
『涼ちゃん!?』
『マジで涼ちゃんなの!?』
『ぎゃあああああ~っ! 涼ちゃ~ん♡♡♡』
みたいなのも見える。何人かは知ってくれてるんだ……しかも、
『なにこの可愛い生き物♡』
『きれ~っ♡』
『イケメンきたーっ!』
って感じのも。結構な勢いでコメントが。そこに徹が、
「あ~、やっぱ知ってくれてる人もいるみたいだね~。最近、じわじわ人気上がってきてるモデルだからね~! 涼ちゃんは」
とかなんとか。さらに、
「涼ちゃんとはね~、ネトゲ仲間だったんだけど、最近、モデルしてるって知ってさ~。しかもなんか悩んでるって言うから、相談にのっちゃおうってことで、来てもらいました~♡」
とまで。
「え…ああ……はい……」
そういう設定なのか……確かに徹とはネトゲもよくやってるけど……戸惑う俺に、徹は、
「で? 涼ちゃんは、自分が彼女にふさわしい奴かどうかってことで悩んでたんだっけ?」
って振ってきて。するとコメントが、
『え~っ!?』
『彼女いんの~っ!?』
『ショックぅ!!』
とかいうのに混じって。
『え? 彼女さんと上手くいってないの?』
『あら~』
って感じのもあったんだ。
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