YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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虚構の章

興味もないのに

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『俺、薬学部に行ってなにしたらいいんだ?』

 今の正直な疑問を口にしても、芙美からははっきりした答えがなかった。芙美と一緒のキャンパスライフを送りたいのは俺も同じだけど、でも、それだけで進路を決めてしまって大丈夫なのかな? 興味もないのに薬学部に行って、俺、ついて行けるのか? 何か身に付くのか?

 翌日、学校にいても、俺の頭からはそういうあれこれが離れなかった。体育の授業が終わって昼休憩になって、ロッカー室で着替えて教室に戻るのも、ぼんやりと考え事をしながら歩いてた。

 でもそこに、

「暗いぞ少年。悩みがあるなら先生に相談してちょうだい」

 って声を掛けられて、ハッと振り返ったら穏やかに笑みを浮かべた川崎先生が。

「先生……」



 廊下で川崎先生に声を掛けられて、俺は、

「別に興味もない学部に、ツレが行くからって自分も行くっていうのって、どうなんでしょう……?」

 つい尋ねてしまってた。すると先生もハッとなって、真面目な表情に。

「ごめんなさい。予想してたより真面目な悩みだったから、驚いちゃって」

「……俺、普段はどんなことで悩んでそうに見えます……?」

「え…と、『今回の衣装は恥ずかしかったな』…とか……?」

「いや、確かにたまに『こんな服、ホントに着る奴いんのか?』って思うような衣装着せられることもありますけど……!」

「あ、やっぱりあるんだ……!?」

 真面目にそんな風に言われると、正直凹む。川崎先生の目には、俺ってそんな風に見えてたんだって。

「って、そうじゃなくて! 俺、マジで悩んでんですよ……!」

 話を戻そうと真面目な表情を作る。

「あ…そ、そうね。そうだったんだね。ホントにごめんなさい…!」

 川崎先生も焦った様子で、両手を振って取り繕う。その上で、

「そうね。先生としては、友達と同じ大学に行きたいというだけの理由で選ぶのも、別に悪いことじゃないと思う。だって、今は興味がなくたって、実際に行ってみたら何か興味のあることに出会えることだってあると思うの。人生なんてそういうことの連続。意外なところで意外な出会いがあったりするものなのよ。今、自分に何か具体的な目標がないのなら、それこそ友達と一緒の大学に行くって形で進路を決めるのもアリなんじゃないかな」

 って言ってきた。

「それは……そうかもしれないですけど……」

 そんな風に川崎先生に言われたら、そんな気もしてくる。俺がこれまで知らなかったものに出会えるというのは確かにあるかもしれない。でも……

「でもそれも、勉強についていけたらの話ですよね……?」

 正直な気持ちを口にしたのだった。

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