YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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虚構の章

晩ゴハンだよ~♡

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「りょ~うく~ん、晩ゴハンだよ~♡」

 徹が帰った後にベッドで考え事してたらいつの間にか眠ってしまってて、芙美が俺を呼ぶ声にハッとなった。時間はもう九時過ぎ。芙美は今日、バイトがあったからこんな時間になってた。俺もモデルのバイトがある時には帰りも遅いけど。

 あと、両親とも仕事で遅くなるからってことで、芙美が俺の夕食を用意してくれることになってたんだ。もっとも、オフクロがいる時だって自分にバイトがなければ芙美はやってきて、夕食を作るけどな。

「もう夜も遅いからさっぱり目のメニューにしてみました~♡ チキンサラダにキノコの和風パスタで~す♡」

『さっぱり目』とは言いつつ、確かに味としてはさっぱり目かもしれなくても、パスタの量は結構多い気が……まあでも、以前の<地獄のハイカロリー弁当>に比べたら全然マシなのか。

 しかも、

「もし食べきれなかったら、小父さんと小母さんのってことにしたらいいし」

 と言ってくれた。以前はあんなカロリーのバケモノみたいなのを食べさせようとしていたクセに、今ではそんなことを言う。

『まったく……勝手なヤツだな……』

 とか思いながらも、俺は自分がちょっと笑顔になってるのを感じてた。でも、悪くない……

 そうして二人して夕食にしながら、話し合ってみる。

「なあ…芙美……」

「なに? 涼くん」

「お前、俺のこと好きなんだよな…?」

「なに…! そんな急に改まって…!」

「好きなんだよな……?」

「う……うん、好きだよ……大好き……♡」

「俺も、お前のこと、好きだ……!」

「! うん……うん……嬉しい……!」

「俺もお前とずっと一緒にいたい…! だから勉強も頑張ろうと思う…!」

「もちろんだよ…! 私も手伝う。一緒の大学に行こ…!」

「でも、芙美が行く大学で、一緒のキャンパスにってことは、俺も薬学部じゃないとだめだよな?」

「え…あ…うん、そう、なるかな…」

「だとしたら、俺、薬学部に行ってなにしたらいいんだ? 俺は別に薬学部に行って勉強したいことなんてないんだ。なあ? 俺はなにをしたらいい?」

「あ……え……えっと……ごめん、私もそこまで考えてなかった……だって私、涼くんと一緒にいたいだけだから……」

 そうなんだ。芙美が目指してる大学は、医学部と薬学部は同じキャンパス内にあるけど、医学部も薬学部も、俺にとってはまったく未知の世界だ。ぜんぜん、どんな勉強するのかさえ分からない。

 ギリ行けそうな文学部があるキャンパスは、それこそ隣の区だし。それじゃ、大学そのものは一緒でも、同じキャンパスに通ってることにはならないよな。

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