33 / 195
焦燥の章
ボンボンキャラを演じてる
しおりを挟む
「……」
俺は、絡んでくる北条を無視して素通りした。そんな俺に対しても、北条は、
「やれやれ、ここまで言われて歯向かってもこないとか、君にはほんとに覇気というものが感じられないね。とんだ腰抜けだよ」
とさらに煽ってくる。けど俺は、もう北条のことなんか気にしてる余裕もなかった。氷山に比べればこいつなんてほんとに雑魚だと思う。実際、こいつは、取り巻きは多いが友達はそんなにいないのが丸分かりだった。いつも取り巻きに囲まれてるから本人は気付いてないかもしれないけど、学校のほとんどの生徒が実はこいつのことはコメディアンみたいに思ってるらしいんだ。
ボンボンキャラを演じてるコメディアン。って感じで。
「北条ってさ、典型的な中身がないイケメンなんだよ。見た目はイケてても、成績だってトップレベルってわけじゃないし、人間性もアレだし、金持ちってもそれは親の金で本人が稼いだわけじゃないじゃん。将来は社長っても、どんなもんなんだか……」
相田がそう言ってた。自分でも『惚れっぽい』って言うくらいの相田がそこまで言うくらいなんだから、よっぽどだと思う。
だから、ただの高校教師だと言ってもしっかり社会人として働いてて結果も出しててっていう氷山の方がずっとすげえよ。
でも、そう思えば思うほど、俺に勝ち目がない気がして……
トイレを済ませて芙美と一緒に弁当を食うためにいつもの場所へ。ただ、俺と芙美のいつもの場所も、最近は他の生徒にも知られてしまって、何組かのカップルが弁当食ったりイチャイチャしてたりで、なんだか落ち着かない。
それでも芙美は、
「はい、涼くん、あ~ん♡」
他の奴らの存在なんか歯牙にもかけずに満面の笑顔で俺に手作り弁当を食べさせようとしてる。以前のような<地獄のハイカロリー弁当>じゃなくなっても、やっぱり美味いこいつの弁当は、<地獄のハイカロリー弁当>じゃなくなったからこそ安心して食える。
<地獄のハイカロリー弁当>を俺に食わせようとしてたのは、俺をデブらせて他の女からは見向きもされないようにして独り占めするためだったらしい芙美。
だけど俺が芙美以外の女になんて興味ないってのがようやく伝わったのか、それとも、
『若いうちにあんましデブらせると、中年以降はそれこそ生活習慣病のリスクが高まる』
と誰かに忠告された(どうやらホントにそうらしい)のか、やめてくれた。
「涼くんにはいつまでも元気でいてもらわないとヤだからね。デブってもハゲても私は平気だけど、病気になってほしいわけじゃないから」
そんな風にも言ってたんだ。
俺は、絡んでくる北条を無視して素通りした。そんな俺に対しても、北条は、
「やれやれ、ここまで言われて歯向かってもこないとか、君にはほんとに覇気というものが感じられないね。とんだ腰抜けだよ」
とさらに煽ってくる。けど俺は、もう北条のことなんか気にしてる余裕もなかった。氷山に比べればこいつなんてほんとに雑魚だと思う。実際、こいつは、取り巻きは多いが友達はそんなにいないのが丸分かりだった。いつも取り巻きに囲まれてるから本人は気付いてないかもしれないけど、学校のほとんどの生徒が実はこいつのことはコメディアンみたいに思ってるらしいんだ。
ボンボンキャラを演じてるコメディアン。って感じで。
「北条ってさ、典型的な中身がないイケメンなんだよ。見た目はイケてても、成績だってトップレベルってわけじゃないし、人間性もアレだし、金持ちってもそれは親の金で本人が稼いだわけじゃないじゃん。将来は社長っても、どんなもんなんだか……」
相田がそう言ってた。自分でも『惚れっぽい』って言うくらいの相田がそこまで言うくらいなんだから、よっぽどだと思う。
だから、ただの高校教師だと言ってもしっかり社会人として働いてて結果も出しててっていう氷山の方がずっとすげえよ。
でも、そう思えば思うほど、俺に勝ち目がない気がして……
トイレを済ませて芙美と一緒に弁当を食うためにいつもの場所へ。ただ、俺と芙美のいつもの場所も、最近は他の生徒にも知られてしまって、何組かのカップルが弁当食ったりイチャイチャしてたりで、なんだか落ち着かない。
それでも芙美は、
「はい、涼くん、あ~ん♡」
他の奴らの存在なんか歯牙にもかけずに満面の笑顔で俺に手作り弁当を食べさせようとしてる。以前のような<地獄のハイカロリー弁当>じゃなくなっても、やっぱり美味いこいつの弁当は、<地獄のハイカロリー弁当>じゃなくなったからこそ安心して食える。
<地獄のハイカロリー弁当>を俺に食わせようとしてたのは、俺をデブらせて他の女からは見向きもされないようにして独り占めするためだったらしい芙美。
だけど俺が芙美以外の女になんて興味ないってのがようやく伝わったのか、それとも、
『若いうちにあんましデブらせると、中年以降はそれこそ生活習慣病のリスクが高まる』
と誰かに忠告された(どうやらホントにそうらしい)のか、やめてくれた。
「涼くんにはいつまでも元気でいてもらわないとヤだからね。デブってもハゲても私は平気だけど、病気になってほしいわけじゃないから」
そんな風にも言ってたんだ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


男性向けフリー台本集
氷元一
恋愛
思いついたときに書いた男性向けのフリー台本です。ご自由にどうぞ。使用報告は自由ですが連絡くださると僕が喜びます。
※言い回しなどアレンジは可。
Twitter:https://twitter.com/mayoi_himoto
YouTube:https://www.youtube.com/c/%E8%BF%B7%E3%81%84%E4%BA%BA%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B0%B7%E5%85%83%E4%B8%80/featured?view_as=subscriber
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる