30 / 195
焦燥の章
どう考えたって結果が見えてる
しおりを挟む
門を守護する氷山を超えて、俺達は教室に向かった。
でも、今日は一時間目から数学。氷山の授業だ。すごく気乗りしない。だけど、芙美のおかげで課題についてはばっちりだった。
そして、
「時間だ。五秒で席に着き授業の体制を整えるように。それをしない者は意欲なしと見做す。成績を楽しみにしておくんだな」
現れた氷山は、相変わらず容赦のない冷徹さだった。実際こいつは、叱ったりはしない代わりに、確実に成績という形で評価してくる。それについて、
「私は、君達を叱咤激励するためにここにいるわけじゃない。やる気のない者でも叱咤激励し勉強への意欲を促してくれるのは、中学までだ。高校は義務教育ではない。君らは学習するために自らここに通っているのだということを自覚しなればいけない。自らそれを自覚できない者は、尻を叩かれないと勉強もできないような者は、大人になってからも尻を叩かれないと何もできない者になるだろう。君達はどちらなのか、生涯、誰かに尻を叩いてもらわなければ何もできない者となるか、自ら考え判断し行動する者になるか、ここが分水嶺となるとわきまえたまえ」
そんなことを言っていた。
だけど、授業そのものはものすごく要点がまとめられていて、ちゃんと聞いていれば分かりやすく、課題についても、量は多いが実は順番にこなせばしっかりと繋がっていて意味が理解できるというものらしい。
俺も、芙美と一緒に課題をしてて、『あ、なるほどそういうことか!』って思わされたことが何度もあった。だからちゃんと授業を受けて課題もこなしてる生徒は実際に成績が上がってて、でも、サボってる奴はダメなままって話だった。
そうなんだ。やる気のある奴、頑張ろうとしてる奴には、しっかりと結果が出てるんだよ。
芙美も含めて。芙美も氷山が数学担当になってからすごく成績が上がってて、それにつられてか理系の成績も上がってるらしい。
だからもしかしたら、芙美は氷山のそういうところを認めてて、それであいつなりに尊敬してるからあんな態度をっていう風にも考えられる。
でもそれは同時に、氷山の有能さに芙美が惹かれてるってことでもあるんじゃないかって思えてしまうんだ。
そう考えたら、
『あれ? 俺、勝てる要素ないんじゃないか……?』
という気にもなってしまう。
方や、外見しか取り柄のない高校生。方や、イケメンで有能で外車も乗り回す社会人。
こんなの、どう考えたって結果が見えてるだろ……?
そして授業が終わると、氷山が俺のところにやってきて、
「梁川。志望校については自分が選ぶことだから私は何も言わないが、現状だと難しいぞ。ゆめゆめ忘れるな」
とか言って去っていったのだった。
でも、今日は一時間目から数学。氷山の授業だ。すごく気乗りしない。だけど、芙美のおかげで課題についてはばっちりだった。
そして、
「時間だ。五秒で席に着き授業の体制を整えるように。それをしない者は意欲なしと見做す。成績を楽しみにしておくんだな」
現れた氷山は、相変わらず容赦のない冷徹さだった。実際こいつは、叱ったりはしない代わりに、確実に成績という形で評価してくる。それについて、
「私は、君達を叱咤激励するためにここにいるわけじゃない。やる気のない者でも叱咤激励し勉強への意欲を促してくれるのは、中学までだ。高校は義務教育ではない。君らは学習するために自らここに通っているのだということを自覚しなればいけない。自らそれを自覚できない者は、尻を叩かれないと勉強もできないような者は、大人になってからも尻を叩かれないと何もできない者になるだろう。君達はどちらなのか、生涯、誰かに尻を叩いてもらわなければ何もできない者となるか、自ら考え判断し行動する者になるか、ここが分水嶺となるとわきまえたまえ」
そんなことを言っていた。
だけど、授業そのものはものすごく要点がまとめられていて、ちゃんと聞いていれば分かりやすく、課題についても、量は多いが実は順番にこなせばしっかりと繋がっていて意味が理解できるというものらしい。
俺も、芙美と一緒に課題をしてて、『あ、なるほどそういうことか!』って思わされたことが何度もあった。だからちゃんと授業を受けて課題もこなしてる生徒は実際に成績が上がってて、でも、サボってる奴はダメなままって話だった。
そうなんだ。やる気のある奴、頑張ろうとしてる奴には、しっかりと結果が出てるんだよ。
芙美も含めて。芙美も氷山が数学担当になってからすごく成績が上がってて、それにつられてか理系の成績も上がってるらしい。
だからもしかしたら、芙美は氷山のそういうところを認めてて、それであいつなりに尊敬してるからあんな態度をっていう風にも考えられる。
でもそれは同時に、氷山の有能さに芙美が惹かれてるってことでもあるんじゃないかって思えてしまうんだ。
そう考えたら、
『あれ? 俺、勝てる要素ないんじゃないか……?』
という気にもなってしまう。
方や、外見しか取り柄のない高校生。方や、イケメンで有能で外車も乗り回す社会人。
こんなの、どう考えたって結果が見えてるだろ……?
そして授業が終わると、氷山が俺のところにやってきて、
「梁川。志望校については自分が選ぶことだから私は何も言わないが、現状だと難しいぞ。ゆめゆめ忘れるな」
とか言って去っていったのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる