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第二部
第六章 アルバート(inモブ女)、初めての大冒険!!!㉝『豪快な所長』
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三十三
「まあ、モンスターの詳細は分からんからな。そのうち、調査依頼は出すことになるだろうが……。」
そんな依頼を出されても、沢崎直は絶対に受ける気はないが、せっかく気に入ったあの場所でしばらく薬草採取が出来ないのは沢崎直にとっては痛手だ。できれば、実力確かな人が早めに確認して、早めに倒して、元の平和でのどかな場所に早めに戻してほしい。でないと、モンスターが出るかもしれない場所になど、おっかなくて沢崎直は足を踏み入れることすら出来そうにない。もし間違えて迷い込んでしまい、運悪く遭遇したら自分の運の悪さを嘆くしかなくなる。
沢崎直は運の悪さには自分でも自信を持っていた。
このままでは、次の依頼を受けることが出来るかどうかは分からない。
薬草採取に希望を見出していた沢崎直は、モンスター出現の情報に目の前が真っ暗になった。明日から、どこで薬草を探せばいいのだろうか?それとも、沢崎直に薬草採取以外の依頼をこなすことができるのであろうか?
モンスター出現で必要以上にショックを受けて落ち込んでいる様子の沢崎直に気付き、所長と呼ばれた壮年の職員が眉を上げる。
「そう落ちこむな。モンスターが出たら倒せばいいだろ?」
(…そんなもん出来たらやっとるわぁぁ!!)
明らかに格上の威圧感増し増しの壮年の男性にそう面と向かって言えるほど沢崎直は肝が据わっていないので、内心で叫んだ。
落ち込んだまま、小さな声で今の意見をギュッとささやかにしたものにしてぽつりと零す。
「……へっぽこ剣しか使えないので、倒せないです。」
「はははは。ん?そういや、お前さん、剣も下げてないのか?」
目ざとく帯剣していないことを発見し、素直な沢崎直の告白を壮年の男性は快活に笑った。
だが、眼の前の沢崎直のどんより度が更に増したので、笑うのを止めて元気づけるように肩を叩き始めた。
「なに、その後ろの護衛の兄ちゃんに頼めば問題ないだろ?そっちは、そこそこ使えそうだ。坊主がへっぽこ剣を振るより、安全だ。」
ヴィルを見て、そこそこと言えるほどにはこの壮年の男性も実力者であるのだろう。
ヴィルは何も言わず、ただ沢崎直の背後に控えていた。
「……私はモンスターがいないとこがいいです。」
代わりに沢崎直がぼやいた。
だが、目の前の豪快な壮年の男性は取り合う気はないようだ。
鷹揚に微笑んだまま、話を進めていく。
「まあ、この魔石がそのモンスターが落としたモノだという線もある。そっちの兄ちゃんに聞きたいんだが、気づかずに倒してたなんてことはないか?兄ちゃんの腕なら、邪魔なもんを斬ったくらいの感覚で倒せるかもしれねえ。」
ヴィルにも一応確認する壮年の男性。豪快な性格ではあるが職務には勤勉そうだ。
ヴィルは首を振って否定した。
「いえ。俺はあの場所で何も斬っていません。」
目の前の壮年の男性の豪快さと実力をもってすれば、邪魔だからちょっと斬ったくらいでモンスターが倒せるかもしれないが、他の人には無理だ。ヴィルは実力からすればモンスターは倒せるのだろうが、生真面目な性格なので斬って覚えていないなどということはないだろう。
そして、ついでのように一応、壮年の男性は沢崎直も見つめた。
「お前さんが、剣も持たずにモンスターを倒して気付いてないなんてことはありえないよな?」
聞いてはいるが、そんな可能性はゼロだと言わんばかりの口調で壮年の男性は一応という感じで尋ねてきた。
もちろん、沢崎直にそんな芸当はできるはずもなく、沢崎直は自信を持って答えた。
「そんなことありえません。無理に決まってます!」
「だろうな。はっはっはっは!」
壮年の男性は実に愉快そうに快活な笑い声を響かせたのだった。
「まあ、モンスターの詳細は分からんからな。そのうち、調査依頼は出すことになるだろうが……。」
そんな依頼を出されても、沢崎直は絶対に受ける気はないが、せっかく気に入ったあの場所でしばらく薬草採取が出来ないのは沢崎直にとっては痛手だ。できれば、実力確かな人が早めに確認して、早めに倒して、元の平和でのどかな場所に早めに戻してほしい。でないと、モンスターが出るかもしれない場所になど、おっかなくて沢崎直は足を踏み入れることすら出来そうにない。もし間違えて迷い込んでしまい、運悪く遭遇したら自分の運の悪さを嘆くしかなくなる。
沢崎直は運の悪さには自分でも自信を持っていた。
このままでは、次の依頼を受けることが出来るかどうかは分からない。
薬草採取に希望を見出していた沢崎直は、モンスター出現の情報に目の前が真っ暗になった。明日から、どこで薬草を探せばいいのだろうか?それとも、沢崎直に薬草採取以外の依頼をこなすことができるのであろうか?
モンスター出現で必要以上にショックを受けて落ち込んでいる様子の沢崎直に気付き、所長と呼ばれた壮年の職員が眉を上げる。
「そう落ちこむな。モンスターが出たら倒せばいいだろ?」
(…そんなもん出来たらやっとるわぁぁ!!)
明らかに格上の威圧感増し増しの壮年の男性にそう面と向かって言えるほど沢崎直は肝が据わっていないので、内心で叫んだ。
落ち込んだまま、小さな声で今の意見をギュッとささやかにしたものにしてぽつりと零す。
「……へっぽこ剣しか使えないので、倒せないです。」
「はははは。ん?そういや、お前さん、剣も下げてないのか?」
目ざとく帯剣していないことを発見し、素直な沢崎直の告白を壮年の男性は快活に笑った。
だが、眼の前の沢崎直のどんより度が更に増したので、笑うのを止めて元気づけるように肩を叩き始めた。
「なに、その後ろの護衛の兄ちゃんに頼めば問題ないだろ?そっちは、そこそこ使えそうだ。坊主がへっぽこ剣を振るより、安全だ。」
ヴィルを見て、そこそこと言えるほどにはこの壮年の男性も実力者であるのだろう。
ヴィルは何も言わず、ただ沢崎直の背後に控えていた。
「……私はモンスターがいないとこがいいです。」
代わりに沢崎直がぼやいた。
だが、目の前の豪快な壮年の男性は取り合う気はないようだ。
鷹揚に微笑んだまま、話を進めていく。
「まあ、この魔石がそのモンスターが落としたモノだという線もある。そっちの兄ちゃんに聞きたいんだが、気づかずに倒してたなんてことはないか?兄ちゃんの腕なら、邪魔なもんを斬ったくらいの感覚で倒せるかもしれねえ。」
ヴィルにも一応確認する壮年の男性。豪快な性格ではあるが職務には勤勉そうだ。
ヴィルは首を振って否定した。
「いえ。俺はあの場所で何も斬っていません。」
目の前の壮年の男性の豪快さと実力をもってすれば、邪魔だからちょっと斬ったくらいでモンスターが倒せるかもしれないが、他の人には無理だ。ヴィルは実力からすればモンスターは倒せるのだろうが、生真面目な性格なので斬って覚えていないなどということはないだろう。
そして、ついでのように一応、壮年の男性は沢崎直も見つめた。
「お前さんが、剣も持たずにモンスターを倒して気付いてないなんてことはありえないよな?」
聞いてはいるが、そんな可能性はゼロだと言わんばかりの口調で壮年の男性は一応という感じで尋ねてきた。
もちろん、沢崎直にそんな芸当はできるはずもなく、沢崎直は自信を持って答えた。
「そんなことありえません。無理に決まってます!」
「だろうな。はっはっはっは!」
壮年の男性は実に愉快そうに快活な笑い声を響かせたのだった。
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