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第二部
第六章 アルバート(inモブ女)、初めての大冒険!!!㉓『ジョナサンの異変』
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二十三
突如、のどかな草原に響いた馬の悲鳴にも似た嘶き。
沢崎直は状況は分からなかったが、とりあえずジョナサンの元に急いだ。
沢崎直が懸命に走る間に、今度はジョナサンの声が響く。
ヒ、ヒヒーン
「ジョ、ジョナサーン!」
ジョナサンの助けを求めているかのような悲痛な声に、沢崎直は居ても立ってもいられず走る速度を上げる。
(は、早く助けないと!!)
遠目では何が起きているか分からなかったが、近づくにつれ状況が少しずつ理解できる。
池のほとりの二頭の馬たちは、自分たちの周りを纏わりつく何かに怯えて悲痛な声を上げていた。
その何かは羽虫のようで、沢崎直は具体的には分からなかったが、何か敵意を持った良くないモノであることは理解出来た。
「ジョナサン!!」
沢崎直が接近すると、ジョナサンたちは縋るような瞳で沢崎直を見つめた。
(今、助けるから!)
仲良しのジョナサンを助けたい一心で、沢崎直は羽虫のようなものを追い払うために必死になる。
まずは、腕を闇雲に振り回して、ジョナサンたちと羽虫のようなモノの間に距離を取るようにして割って入る。
「ジョナサンをいじめるな!!」
威勢のいい声を上げたのは、威嚇の意味も込めてである。
本当は何か分からないそれが怖くて膝が震えだしそうだったが、とりあえず大きな声を上げて勇気を振り絞る沢崎直。
だが、それはそんな沢崎直のちっぽけな勇気をあざ笑うかのように、今度はジョナサンたちと沢崎直の周りを近づいたり遠ざかったりしながら、ぐるぐると回り始めた。
(ど、どうしよう?)
ぐるぐると高速で回るそれの軌跡を目で追うだけで精いっぱいで、それが何かを確認するところまでできない。せめて、飛ぶのを止めたり、飛ぶスピードを緩めてくれたら視認できたかもしれないが、沢崎直の動揺したままの精神と動体視力では、それが何か冷静に見極めることは無理そうだった。
(……ヴィルは、まだ来なそうだし……。)
実力確かなヴィルならば、こんな羽虫みたいなのは赤子の手を捻るよりも簡単に無力化できそうだが、今、そのヴィルは片づけをしていてこの場にはいない。
いつ来るかも分からないヴィルを当てにしていては、ジョナサンたちを守り切れるか分からなかった。
その羽虫に纏わりつかれ、沢崎直は混乱する。
ぶんぶん聞こえてくる飛翔音も耳障りで神経をイラつかせた。
馬たちは悲痛な悲鳴のような声で嘶いて切実さを訴えてくる。
沢崎直はやけくそな気持ちになった。
それと同時に、ジョナサンたちを守らなければという使命感を抱いた。
その二つが沢崎直の心の中で混じり合う。
そして、沢崎直はかっと目を見開くと、適当に推測した虚空に向けて腰だめから正拳突きを放った。
「押忍!!」
気合と怒りが十分に込められた高速の正拳突きが前方へと繰り出される。
その正拳突きは運よく、前方を飛翔していた羽虫のようなモノに一直線に進んでいった。
正拳突きは繰り出されている途中で炎を纏う。
ジュッ
そんな音を立てて、炎を纏った沢崎直の正拳突きは羽虫のようなモノに見事に命中した。
炎に焼かれ、羽虫のようなモノは地面に落ちていった。
自分でやっておきながら沢崎直は何が起きたか分からず、初めのうちは戸惑っていたが、ジョナサンの嘶きで我に返り、ジョナサンの元に急いだ。
突如、のどかな草原に響いた馬の悲鳴にも似た嘶き。
沢崎直は状況は分からなかったが、とりあえずジョナサンの元に急いだ。
沢崎直が懸命に走る間に、今度はジョナサンの声が響く。
ヒ、ヒヒーン
「ジョ、ジョナサーン!」
ジョナサンの助けを求めているかのような悲痛な声に、沢崎直は居ても立ってもいられず走る速度を上げる。
(は、早く助けないと!!)
遠目では何が起きているか分からなかったが、近づくにつれ状況が少しずつ理解できる。
池のほとりの二頭の馬たちは、自分たちの周りを纏わりつく何かに怯えて悲痛な声を上げていた。
その何かは羽虫のようで、沢崎直は具体的には分からなかったが、何か敵意を持った良くないモノであることは理解出来た。
「ジョナサン!!」
沢崎直が接近すると、ジョナサンたちは縋るような瞳で沢崎直を見つめた。
(今、助けるから!)
仲良しのジョナサンを助けたい一心で、沢崎直は羽虫のようなものを追い払うために必死になる。
まずは、腕を闇雲に振り回して、ジョナサンたちと羽虫のようなモノの間に距離を取るようにして割って入る。
「ジョナサンをいじめるな!!」
威勢のいい声を上げたのは、威嚇の意味も込めてである。
本当は何か分からないそれが怖くて膝が震えだしそうだったが、とりあえず大きな声を上げて勇気を振り絞る沢崎直。
だが、それはそんな沢崎直のちっぽけな勇気をあざ笑うかのように、今度はジョナサンたちと沢崎直の周りを近づいたり遠ざかったりしながら、ぐるぐると回り始めた。
(ど、どうしよう?)
ぐるぐると高速で回るそれの軌跡を目で追うだけで精いっぱいで、それが何かを確認するところまでできない。せめて、飛ぶのを止めたり、飛ぶスピードを緩めてくれたら視認できたかもしれないが、沢崎直の動揺したままの精神と動体視力では、それが何か冷静に見極めることは無理そうだった。
(……ヴィルは、まだ来なそうだし……。)
実力確かなヴィルならば、こんな羽虫みたいなのは赤子の手を捻るよりも簡単に無力化できそうだが、今、そのヴィルは片づけをしていてこの場にはいない。
いつ来るかも分からないヴィルを当てにしていては、ジョナサンたちを守り切れるか分からなかった。
その羽虫に纏わりつかれ、沢崎直は混乱する。
ぶんぶん聞こえてくる飛翔音も耳障りで神経をイラつかせた。
馬たちは悲痛な悲鳴のような声で嘶いて切実さを訴えてくる。
沢崎直はやけくそな気持ちになった。
それと同時に、ジョナサンたちを守らなければという使命感を抱いた。
その二つが沢崎直の心の中で混じり合う。
そして、沢崎直はかっと目を見開くと、適当に推測した虚空に向けて腰だめから正拳突きを放った。
「押忍!!」
気合と怒りが十分に込められた高速の正拳突きが前方へと繰り出される。
その正拳突きは運よく、前方を飛翔していた羽虫のようなモノに一直線に進んでいった。
正拳突きは繰り出されている途中で炎を纏う。
ジュッ
そんな音を立てて、炎を纏った沢崎直の正拳突きは羽虫のようなモノに見事に命中した。
炎に焼かれ、羽虫のようなモノは地面に落ちていった。
自分でやっておきながら沢崎直は何が起きたか分からず、初めのうちは戸惑っていたが、ジョナサンの嘶きで我に返り、ジョナサンの元に急いだ。
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