98 / 187
第二部
第五章 イケおじ師匠とナイショの特訓!!!⑬『自分会議、終結』
しおりを挟む
十三
「我々は推し相手にいい恰好がしたくて、でも出来なくて空回っていたと言っても過言ではありません。でも、みなさん。一度、冷静になってください。我々は何であったか思い出してください。そうして、今後の事も考えた場合、どうしたらいいか?」
そこで、たっぷりと間をおいて、会議の参加者全員に思考を促す。
かなりの時間を要した後、発言者の沢崎直は皆を見渡して宣言するように言い切った。
「残念でいいんです!むしろ、そうでなくてはならないんです!イケメンとして肩肘張ったところで、すぐにボロが出るに決まっています!」
「そうだ!」
「そうだそうだ!」
議場は一体感を増し、不思議な昂揚感に包まれていく。
「モブ女には、そこにこだわるプライドなどないでしょう?剣が使えないのは大いに結構。残念なのだって、どんとこいです!」
「いいぞ。」
「もっと、言え!」
「剣を落っことしたからといって何です?すっ飛ばしたって、推しに全く当たらずに飛んでいくのだから何も問題ありません。私たちは生まれながらのイケメン貴公子・アルバートではないんですよ!他者の嘲笑など、その程度のモノ、犬にでも食わせればいいんです!」
「うぉー!」
「食わせろ!食わせろ!」
会場中が発言者の沢崎直への賛美に溢れ、発言者の沢崎直はとどめのように言葉を放った。
「そして、残念を極めた暁には……、婚約だって破談になるかもしれませんよ!マリア嬢が、あんまりに残念なアルバート(in沢崎直)に愛想を尽かす可能性も大いにあります!皆さん、どうですか?」
「そうだ!」
「最高だ!」
「残念万歳!」
歓喜に包まれる議場。
その中で、満足げな議長の沢崎直は、手に持っていた木槌を振り下ろした。
コンコン
「では、満場一致で、今後は残念イケメン街道を驀進するということで、みなさんいいですね?」
「賛成!」
「では、本日の会議はこれで終了です。解散!」
拍手に包まれ、歓喜の中、沢崎直の自分会議はこうして幕を閉じたのだった。
以上が、先日行われた『沢崎直・脳内自分会議』の全容である。
御承知の通り、あの日、沢崎直は、ものすごく暇だったのだ。
脳内で自分会議を白熱させてしまうほどには、時間を持て余していた。
(まぁ、結論は出たから……。)
そういうことで、沢崎直は自分を慰めることにした。
どうせ、今後の異世界生活における当面のスローガンは『残念イケメン・驀進中』であるのだから。
自分会議を経て、沢崎直はしっかりと開き直りが完了していた。
(……さぁ、そうと決まれば……。後で、鍛練室で無様に剣でも振ってこようかな?)
開き直ることによって立ち直ったモブ女は、つい先日とは全く違う気軽さで鍛練室へ向かう予定を立て始めていた。
「我々は推し相手にいい恰好がしたくて、でも出来なくて空回っていたと言っても過言ではありません。でも、みなさん。一度、冷静になってください。我々は何であったか思い出してください。そうして、今後の事も考えた場合、どうしたらいいか?」
そこで、たっぷりと間をおいて、会議の参加者全員に思考を促す。
かなりの時間を要した後、発言者の沢崎直は皆を見渡して宣言するように言い切った。
「残念でいいんです!むしろ、そうでなくてはならないんです!イケメンとして肩肘張ったところで、すぐにボロが出るに決まっています!」
「そうだ!」
「そうだそうだ!」
議場は一体感を増し、不思議な昂揚感に包まれていく。
「モブ女には、そこにこだわるプライドなどないでしょう?剣が使えないのは大いに結構。残念なのだって、どんとこいです!」
「いいぞ。」
「もっと、言え!」
「剣を落っことしたからといって何です?すっ飛ばしたって、推しに全く当たらずに飛んでいくのだから何も問題ありません。私たちは生まれながらのイケメン貴公子・アルバートではないんですよ!他者の嘲笑など、その程度のモノ、犬にでも食わせればいいんです!」
「うぉー!」
「食わせろ!食わせろ!」
会場中が発言者の沢崎直への賛美に溢れ、発言者の沢崎直はとどめのように言葉を放った。
「そして、残念を極めた暁には……、婚約だって破談になるかもしれませんよ!マリア嬢が、あんまりに残念なアルバート(in沢崎直)に愛想を尽かす可能性も大いにあります!皆さん、どうですか?」
「そうだ!」
「最高だ!」
「残念万歳!」
歓喜に包まれる議場。
その中で、満足げな議長の沢崎直は、手に持っていた木槌を振り下ろした。
コンコン
「では、満場一致で、今後は残念イケメン街道を驀進するということで、みなさんいいですね?」
「賛成!」
「では、本日の会議はこれで終了です。解散!」
拍手に包まれ、歓喜の中、沢崎直の自分会議はこうして幕を閉じたのだった。
以上が、先日行われた『沢崎直・脳内自分会議』の全容である。
御承知の通り、あの日、沢崎直は、ものすごく暇だったのだ。
脳内で自分会議を白熱させてしまうほどには、時間を持て余していた。
(まぁ、結論は出たから……。)
そういうことで、沢崎直は自分を慰めることにした。
どうせ、今後の異世界生活における当面のスローガンは『残念イケメン・驀進中』であるのだから。
自分会議を経て、沢崎直はしっかりと開き直りが完了していた。
(……さぁ、そうと決まれば……。後で、鍛練室で無様に剣でも振ってこようかな?)
開き直ることによって立ち直ったモブ女は、つい先日とは全く違う気軽さで鍛練室へ向かう予定を立て始めていた。
22
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
もう彼女でいいじゃないですか
キムラましゅろう
恋愛
ある日わたしは婚約者に婚約解消を申し出た。
常にわたし以外の女を腕に絡ませている事に耐えられなくなったからだ。
幼い頃からわたしを溺愛する婚約者は婚約解消を絶対に認めないが、わたしの心は限界だった。
だからわたしは行動する。
わたしから婚約者を自由にするために。
わたしが自由を手にするために。
残酷な表現はありませんが、
性的なワードが幾つが出てきます。
苦手な方は回れ右をお願いします。
小説家になろうさんの方では
ifストーリーを投稿しております。
実家が没落したので、こうなったら落ちるところまで落ちてやります。
黒蜜きな粉
ファンタジー
ある日を境にタニヤの生活は変わってしまった。
実家は爵位を剥奪され、領地を没収された。
父は刑死、それにショックを受けた母は自ら命を絶った。
まだ学生だったタニヤは学費が払えなくなり学校を退学。
そんなタニヤが生活費を稼ぐために始めたのは冒険者だった。
しかし、どこへ行っても元貴族とバレると嫌がらせを受けてしまう。
いい加減にこんな生活はうんざりだと思っていたときに出会ったのは、商人だと名乗る怪しい者たちだった。
騙されていたって構わない。
もう金に困ることなくお腹いっぱい食べられるなら、裏家業だろうがなんでもやってやる。
タニヤは商人の元へ転職することを決意する。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる