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第三幕 五 「凍神、お前も協力してくれるよな?」
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五
室内に残されたのは、三人の探偵と助手、警部とプロファイラーだ。
仲間意識すら芽生えた室内で、満を持して霧崎がヒョウへと歩み寄る。
「もちろん、凍神、お前も協力してくれるよな?俺は、警部が何と言おうと、お前を頼りにしているんだ。」
自信に満ちた霧崎が、友好の証の握手をしようと手を差し出した。
背後では、警部がぶうぶうと文句を言っている。何が何でも、探偵と警察の輪にヒョウを入れたくないらしい。
しかし、警部の心配をよそにヒョウは霧崎の差し出した手を睥睨すると、霧崎に微笑んだ。
「お断りします。」
だが、霧崎も引き下がる様子はない。手を更に前に差し出して、笑顔をきらめかせる。
「今回も傍観者などと言うつもりか?そう言っておいても、お前は事件解決に動くんだろうが、それならば協力した方がいいだろう?何といっても、相手はあの死の押し売り師だ。」
差し出された霧崎の手を避けるように、ヒョウは一歩後ろに下がると、笑みを消した。
「傍観者と言うつもりはありません。しかし、貴方と協力するつもりもありません。」
きっぱりと断言するヒョウの顔には、拒絶を表明するような酷薄な色が浮かんでいる。
ぞっとするようなサファイアの視線は、射抜くように霧崎を捉えた。
霧崎は、しょうがなく手を引っ込める。
「強情な奴だ。分かった。だが、情報を検討する会議には顔を出してくれないか?お前の意見も聞きたいからな。」
下手に出て、懇願するような霧崎の態度だったが、ヒョウは肩を竦めて見せるだけだった。名声を集める評判の名探偵にこれだけ頼りにされているというのに、ヒョウの顔には迷惑そうな表情しか浮かんでいない。
「行きましょう、リン。」
リンは肯定の鈴の音を響かせる。
二人は、探偵と警察の輪を抜け出すと、これ以上話はないとでも言うように、背中を向けて広間から出て行ってしまった。
ヒョウの黒いスーツの背中には、はっきりと拒絶の二文字が浮かんでいた。
異端分子のような二人が去っていったところで、作戦会議も解散になる。
輪を囲んでいた探偵と警察は、散り散りになり、自分の仕事をするために解散していた。
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自信に満ちた霧崎が、友好の証の握手をしようと手を差し出した。
背後では、警部がぶうぶうと文句を言っている。何が何でも、探偵と警察の輪にヒョウを入れたくないらしい。
しかし、警部の心配をよそにヒョウは霧崎の差し出した手を睥睨すると、霧崎に微笑んだ。
「お断りします。」
だが、霧崎も引き下がる様子はない。手を更に前に差し出して、笑顔をきらめかせる。
「今回も傍観者などと言うつもりか?そう言っておいても、お前は事件解決に動くんだろうが、それならば協力した方がいいだろう?何といっても、相手はあの死の押し売り師だ。」
差し出された霧崎の手を避けるように、ヒョウは一歩後ろに下がると、笑みを消した。
「傍観者と言うつもりはありません。しかし、貴方と協力するつもりもありません。」
きっぱりと断言するヒョウの顔には、拒絶を表明するような酷薄な色が浮かんでいる。
ぞっとするようなサファイアの視線は、射抜くように霧崎を捉えた。
霧崎は、しょうがなく手を引っ込める。
「強情な奴だ。分かった。だが、情報を検討する会議には顔を出してくれないか?お前の意見も聞きたいからな。」
下手に出て、懇願するような霧崎の態度だったが、ヒョウは肩を竦めて見せるだけだった。名声を集める評判の名探偵にこれだけ頼りにされているというのに、ヒョウの顔には迷惑そうな表情しか浮かんでいない。
「行きましょう、リン。」
リンは肯定の鈴の音を響かせる。
二人は、探偵と警察の輪を抜け出すと、これ以上話はないとでも言うように、背中を向けて広間から出て行ってしまった。
ヒョウの黒いスーツの背中には、はっきりと拒絶の二文字が浮かんでいた。
異端分子のような二人が去っていったところで、作戦会議も解散になる。
輪を囲んでいた探偵と警察は、散り散りになり、自分の仕事をするために解散していた。
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