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第二章 ついに二学期(ゲーム)スタート!!⑨
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九
ガラガラ、ドサドサッ
大きな音がして、明人は驚いた。
「何だ?」
音がしたのは明らかにこの生徒会室の室内で、今この部屋には明人しかいないはずだ。
どれだけ心臓が飛び出そうなほど驚いたとて、水嶋シュウの面の皮は厚いため、仏頂面にしかならない。
なので、ひどく落ち着いた様子にしか見えない調子で、明人は音の発生源へと歩き始めた。
元来た道を戻り、先程まで作業していた室内までやって来る明人。
すると、そこには明人以外の人間が存在していた。
いや、それだけではなく、大きな音がした原因の結果とも言うべき惨状が広がっていた。どうやら、入り口付近で大量の荷物がぶちまけられたようだった。
「っ!!」
明人の存在を認識し、闖入者は息を短く吸い込む。
どこのバカが何の目的でやって来たのかは分からないが、この惨状がぶちまけた荷物の中で息を吸い込んだ闖入者の仕業だということは明人にも容易に想像できた。
「何をしている?」
冷酷さを兼ね備えたドスを効かせたような声音で詰問する明人。
闖入者がびくっと怯えた反応を示したのが、ぶちまけた荷物の中でだというのに見て取れた。
(人の仕事の邪魔しやがって……、どこのどいつだ?)
ぶちまけた荷物はどうやら入り口付近に積み上げられた段ボールと書類のようであるらしい。ちなみに、入り口付近に適当に積み上げた犯人は会長のスオウで、積み上げた時に明人が片づけろと言ったにもかかわらず片づけられることはなく、今までそのままになっていた。
それでも、生徒会メンバーならそんなトラップのような荷物にも引っ掛かることなく当たり前のように出入りしていたはずだ。ということは、この闖入者というのは、生徒会メンバーではないだろう。というか、生徒会メンバーなら、もし運悪くトラップに引っかかって荷物をぶちまけることがあったとしても(会長のスオウならやりかねない)詰問されるのを待つこともなく、迅速に片づけ始めるはずだ。
「何をしていると聞いている?」
地を這うような声音で詰問を重ねる。
ぶちまけた荷物の段ボールを被ったままなので、闖入者の顔を見ることはできない。
闖入者は震えているようだった。
(……脅し過ぎたか?)
外見は鬼畜だが中身は凡人の明人なので、それ以上相手を責め立てる気にもなれず、口調を和らげることにした。そうでもしないと、この闖入者は荷物の片づけどころか一歩もそこから動けなさそうだったからだ。
「誰かは知らんが、生徒会室に何の用だ?」
明人の口調が和らいだことを感じ取ったのかは分からないが、闖入者はまだ若干震えながらではあるが、被っていた段ボールをおずおずと脱ぎ始めた。
(……これで話が出来るな。)
明人がそう思ったのも一瞬で、闖入者の顔を確認した途端、今度は明人が驚きのあまり固まった。
「……あの。」
消え入りそうなほど弱々しい声で口を開く闖入者。
明人は卒倒しそうなほど驚いて言葉を失っている。だが、表面には全くそれが現れず、闖入者を見下ろしながら無言で立っているだけにしか見えない。
闖入者の角度からは、メガネのレンズが反射で光っていて、明人の姿は酷薄な鬼畜メガネそのものにしか見えなかった。
ガラガラ、ドサドサッ
大きな音がして、明人は驚いた。
「何だ?」
音がしたのは明らかにこの生徒会室の室内で、今この部屋には明人しかいないはずだ。
どれだけ心臓が飛び出そうなほど驚いたとて、水嶋シュウの面の皮は厚いため、仏頂面にしかならない。
なので、ひどく落ち着いた様子にしか見えない調子で、明人は音の発生源へと歩き始めた。
元来た道を戻り、先程まで作業していた室内までやって来る明人。
すると、そこには明人以外の人間が存在していた。
いや、それだけではなく、大きな音がした原因の結果とも言うべき惨状が広がっていた。どうやら、入り口付近で大量の荷物がぶちまけられたようだった。
「っ!!」
明人の存在を認識し、闖入者は息を短く吸い込む。
どこのバカが何の目的でやって来たのかは分からないが、この惨状がぶちまけた荷物の中で息を吸い込んだ闖入者の仕業だということは明人にも容易に想像できた。
「何をしている?」
冷酷さを兼ね備えたドスを効かせたような声音で詰問する明人。
闖入者がびくっと怯えた反応を示したのが、ぶちまけた荷物の中でだというのに見て取れた。
(人の仕事の邪魔しやがって……、どこのどいつだ?)
ぶちまけた荷物はどうやら入り口付近に積み上げられた段ボールと書類のようであるらしい。ちなみに、入り口付近に適当に積み上げた犯人は会長のスオウで、積み上げた時に明人が片づけろと言ったにもかかわらず片づけられることはなく、今までそのままになっていた。
それでも、生徒会メンバーならそんなトラップのような荷物にも引っ掛かることなく当たり前のように出入りしていたはずだ。ということは、この闖入者というのは、生徒会メンバーではないだろう。というか、生徒会メンバーなら、もし運悪くトラップに引っかかって荷物をぶちまけることがあったとしても(会長のスオウならやりかねない)詰問されるのを待つこともなく、迅速に片づけ始めるはずだ。
「何をしていると聞いている?」
地を這うような声音で詰問を重ねる。
ぶちまけた荷物の段ボールを被ったままなので、闖入者の顔を見ることはできない。
闖入者は震えているようだった。
(……脅し過ぎたか?)
外見は鬼畜だが中身は凡人の明人なので、それ以上相手を責め立てる気にもなれず、口調を和らげることにした。そうでもしないと、この闖入者は荷物の片づけどころか一歩もそこから動けなさそうだったからだ。
「誰かは知らんが、生徒会室に何の用だ?」
明人の口調が和らいだことを感じ取ったのかは分からないが、闖入者はまだ若干震えながらではあるが、被っていた段ボールをおずおずと脱ぎ始めた。
(……これで話が出来るな。)
明人がそう思ったのも一瞬で、闖入者の顔を確認した途端、今度は明人が驚きのあまり固まった。
「……あの。」
消え入りそうなほど弱々しい声で口を開く闖入者。
明人は卒倒しそうなほど驚いて言葉を失っている。だが、表面には全くそれが現れず、闖入者を見下ろしながら無言で立っているだけにしか見えない。
闖入者の角度からは、メガネのレンズが反射で光っていて、明人の姿は酷薄な鬼畜メガネそのものにしか見えなかった。
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