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アホの子を選んで

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トパーズ侯爵邸で、アリステア様の帰りを待っている時だった。

侯爵様に挨拶をするため、執務室のドアをノックしようしたら、ドアが少し開いていた。

侍従長さんと、何かお話している。

そしてその時ーーー私は聞いてしまった。

『ローズ・クリスタル男爵令嬢は、アリステア様の他に、サファイア公爵令息様や、他の高位貴族のご令息様方に声をかけ、怪しい動きを見せております』

『ふむ…やはり、狙われているのはアリステアだけではなかったか…』

私は、気づいたら馬車に乗り込んで、来たばかりなのに…御者さんへアクアマリン邸に帰る様に言っていた。

嫌な汗と、嫌なドキドキが止まらない…。


ローズ・クリスタル…。

頭の中に、ピンクの髪がトレードマークの、スレンダーで小柄なちょいエロ可愛い系ヒロインが浮かぶ。

ゲーム『宝石の薔薇』の、ヒロインの名前…!
それじゃあ…ヒロインが現れている…?

狙われてるって………ヒロインが、アリステア様や他の方にちょっかい出してるって事…?

しかも、サファイア公爵令息って…ゲームのメインヒーローのディラン・サファイア公爵令息様の事…?

他の高位貴族のご令息様って…もしかして、他の攻略対象の方々…?

え…でも、ヒロインと攻略対象が出会うのは時間軸的にまだ先なはず…。

アリステア様はゲームより若いし…『ゲームのシナリオ』が仮にあるとして、スタートするにしても早すぎる。

ゲームは、全攻略対象と初対面からスタートする。
だから『ゲーム通り』なら、ヒロインとの交流はないはず…。

だけど、アリステア様と私がラブラブになれた事を考えると…シナリオが本当にあるなら、逆らって書き換える事は可能…。

ヒロインはそんなにガツガツ声をかけるタイプじゃないし…シナリオによっては出会わない攻略対象もいる。

そのヒロインが色んな方に声をかけて狙っているって事は…まさか……。

逆ハーレム狙いの、転生者の可能性が…?

転生者じゃなければ、男爵令嬢がこんな無謀な事しないよね…。

「……………」

ヒロインがこのタイミングで攻略対象の前に現れて、ゲームと違う動きが出来てるって事は、よくある『ゲームの強制力』はないと思う…。

内容は良く覚えてないけど……恋愛イベントは、『初対面』だから『知り合っていく』段階だからこそ成り立つものが多かった気がするから…。
テーマの、不倫っぽさを出したかったんだと思う…。

でもっ!
もし…もしっ…!

攻略対象たちが、ヒロインに惹かれてしまったら…?

ど、どうしよう…十分に考えられる…。
アリステア様が、アリステア様がっ…ヒロインに盗られちゃうかもしれないっ…!

アリステア様が、ジア以外のおまんこにおちんちんを入れるなんて……。

やっ…そんなのやだよ…。
アリステア様は、ジアだけの旦那様なのっ…。
ジアだけの、おちんちんなのぉ…。

私の頭は、どうしようもない不安に支配される。

だ、だめ…!
こんな時こそしっかりしないとっ…!
何とかっ、何とかしないとっ…!

まず、アリステア様には、アリステア様がジアの『もの』という自覚を持ってもらえる様に頑張ろう…!

一方的にジアだけがアリステア様のものなのずるいもん…!

よしっ…!
アリステア様のハートとおちんちんを、ジアだけのものと言ってもらえる様に頑張るぞ…!


***


昨日…会う約束をしていたのに、僕の帰りを待たず、ジアが帰ってしまったらしい。

礼儀正しいジアが、父上にも挨拶をせず、いきなりだそうだ。
使用人たちは『急にご様子が…』と言っていたので、理由がわからない。

まさか…あの男爵令嬢がジアに何かしたのか?



「ちゅっ、ちゅっ…♡ん、あっ…じゅっ♡」

「んっ…」

そう心配して、アクアマリン伯爵邸に行くと…ジアに滅茶苦茶キスされていた。

ジアは、彼女の部屋で二人っきりになると、すぐに僕の膝に乗ってきて、キスをねだってきた。

向かい合う形で、僕の体に可愛いおっぱいを押し付けて、おまんこでペニスを小さく擦ってくる…。

しかも、首元にキスマークを付けられた…!

「んっ…♡」

「ふふっ…♡綺麗についたぁ…♡」

「ジア…?急にどうしたの?」

「んとねっ…アリステア様は、ジアのものって自覚が足りないと思うのっ♡もうっ、めっ♡」

「え…そう、なのかな…?」

「だからマーキング♡ジアの印つけちゃった…♡」

「っ!」

え、それって…独占欲…?
ジア、何かに嫉妬でもしたの? 

僕、ジアの独占欲を煽る様な事したかな…。
今日はいつにも増して積極的なんだけど…言葉が強めの、攻撃的なジア…新たな一面だ。

わ、何これ、かなりドキドキする…。

「ねぇ♡アリステア様は、誰のものかなぁ?♡」

「…っ、僕は、ジアのものだよ…♡」

言い方はいつもの可愛い言い方なのに、何処と無く感じる圧にゾクゾクする。

「えへっ…♡おちんちんも…?具体的に聞きたいなぁ♡」

「!」

こ、これは…。
今日のジアは本当に攻めの姿勢だな…悪くない…いや、かなり良い。

「えっと…僕のペニ……いや、おちんちんは、ジアのもの……ジアのおまんこ専用のおちんちんだよっ」

あえて、ジアの好きな言葉使いをして、雰囲気に酔ってみると、予想以上にゾクゾクして興奮した。

「そうだよっ♡アリステア様のおちんちんは、ジアのおまんこ専用って、ちゃんとしっかり自覚しとかないとダメだからねっ♡わかった?♡」

「っ!…わかった♡ごめんね…♡」

「うんっ♡アリステアさま♡えらいえらい♡とっても、いいこ♡」

「わっ」

ジアはそう言うと、僕をギュッと抱き締めて頭を撫でてきた。

…三年前も、似たような事があったな。
ジアに頭を撫でられるのは好きだ……安心するし、幸福感が胸にじんわり溶けていく。

はぁ…ホント、もうジアなしでは生きていけないよ。

そんな事を思っていると、頭を撫でながら、ジアは静かに話し始めた。

「ジアしか好きにならないで」

「?…ならないよ」

「ジアしか…見ないで」

「ジアしか見えてないよ…どうしたの?」

僕は優しくジアに問いかけた。
すると、ジアの抱き締める力が強くなった。

……君が何を考えているか、教えて?

「…ジアね、アリステア様を独占したいのっ」

「ジア…?」

「アリステア様を誘惑しようとする人を見ると、どろどろした気分になるの…」

「…………………………」

…知らなかった。
ふわふわ優しいジアが、こんな情熱的で激しい感情を持っていたなんて…。
嫉妬してくれていたなんて…。

「だから…アリステア様は『ジアのものだよ』ってアピールしたいんです…」

「…死にそうなくらい嬉しいよ」

彼女も同じ事を思っていたのか。
ジアに独占されたいし、独占したい。

「アリステア様は、ジアのおっぱいとおまんこしか知らなくていいのっ…」

もうっ……真面目な話したいのか、えっちな話したいのかどっちだよ…。
まあ…でも、嬉しいよ。
凄く嬉しい。

僕もジア以外知りたくない。
ジアも僕のペニスしか知らなくていいからね?

「僕も君以外なんて嫌だよ。君のおっぱいに敵う女なんていないし」

「ーーー!ホント…?」

「うん。……ジア?」

ジアは下を向くと黙り込み、ぷるぷると震えている。
あっ、これ、嬉しがってるな。

「良かったぁ…♡あ、あのね?アリステア様のために用意したものがあるのっ♡ちょっと待ってて♡」

「ーーーえ」

この流れは…凄く既視感があるぞ。


***


「アリステアさまぁ♡似合いますかぁ?♡」

「っーーー!……………………おっぱい…」

「はいっ♡アリステア様、おっぱい好きだから…ジアに、もっと夢中になって欲しくて…♡」

「……うん、女神だと思うくらい可愛いよ」

思わず両手がおっぱいに伸びる…。
くにゅうっ…と先っぽを強調する様に掴み、先っぽをコリコリしながら揉みしだいた。
おっぱいって言うのに、抵抗がなくなったくらい、ジアのおっぱいが大好きだ。
僕…ジアの影響を本当に受けているな…。

「あんっ…♡アリステアさまたらっ…♡ジアのおっぱい、ホントに大好きなんだね…♡嬉しい…♡」

ジアは今、わざわざ着替えて『おっぱい丸出しの、丈があり得ないほど短いチャイナドレス』を着ている。

意図的に胸部分がくり貫かれたやつだ。
丈もお辞儀したら、ショーツが丸見えだ……いや、もうスリットから見えている…。 
白の…ほぼ紐のやつか。

ぷるんぷるんと揺れて誘惑してくるおっぱい。
胸部分には布はないが、胸周りには布があり、おっぱいが固定され、とても強調されている。

服を着ているのに大事な部分が隠れていないアンバランスさが、背徳的で変態的なエロさがある。
ジアのおっぱいが綺麗で穢れを知らない様に見えるから、余計に卑猥に見える。

もうっ…本当にこの子は…。
困るけど、こういうの大好き…と、キレ気味に思う。

「アリステアさまぁ…ジアね、おっぱいもみもみさわさわされるの大好きなの…♡ねっとり見詰められるのも好きだし…先っぽをしつこいくらい『いいこいいこ』されるのも大好きなのっ♡いっぱいされたいのっ♡」

「う、うんっ!?」

「だから…ジアと二人っきりの時は…えっちな空気じゃなくても…もみもみして欲しいなぁ♡」

「……………はあああっ!?」

「とりあえず!今から温室でおっぱいもみもみしながらお散歩しましょ?♡ね?♡」

「ええぇ…」


ーーーそれから…お茶をする時、馬車に乗る時、たまにジアのおっぱいを揉みながら、普通に会話する様になった…。
たまにだよ…?
たまに。
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