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甘い
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(※アレク視点です)
うん…完全に酔っ払って出来上がっている。
「へへへぇ…♡ひおちゃん…♡」
無防備な顔を晒し、隣の少女にすり寄る俺の女神。
頬を紅潮させ、ふにゃふにゃニコニコと蕩けた表情が俺の胸を熱く締め付ける。
「いいこね、シシー♡……いいこだから、そのお酒はもう止めましょうね♡」
「えぇ?こりぇ、おしゃけじゃないよ?じゅーちゅだよぉ♡」
果実酒の瓶を大事に抱き締めながらそれをジュースと言い張るシシーに、どうにか瓶を回収しようとしているフィオ。
「…………」
不謹慎だとは思うが…これは可愛いが過ぎる。
率直に言って、可愛い要素しかない。
陶器のような肌がほんのり赤く色づき、なんと綺麗で艶やかな事か…清楚だからこその破壊力がある。
潤んだ緑眼はエメラルドのようにキラキラ光って、彼女をより神秘的に見せている。
はあぁ…かわいい…。
呂律が回ってないところもホントかわいい…。
そう…シシーが飲む姿があまりにも可愛かったため、止めるタイミングを逃してしまったのだ。
あの果実酒は口当たりがジュースかと思うくらい軽いが…実はアルコール度数が高い。
きっと、弱めの酒だと勘違いしたんだな…。
飲んでいたら段々酔ってきて、そのせいでペースが上がり、今は飲むのが楽しくなって止まらなくなってしまった…そんな感じだろう。
「シ、シシーさん!こっちの方が美味しいよ!」
「…?……あ…♡るでぃくんだぁ…かぁいい♡おとうとにしたいなぁ♡」
「へ!?あっ…えっと…な、なりたいけど…!酔ってない時に言って欲しい…!」
どうにか水を飲ませようと興味を誘うが、蕩けた笑顔と甘い声でのカウンターを食らって怯むルディ。
羨ましい…俺にも向けてくれないかな。
「あらあら♡正気に戻ったら慌てると思うけど、きっと本心よ~。シシーは寂しがり屋の甘えん坊なの」
「え、そうなの!?そ、そうなんだ…ホントに……寂しがり屋で甘えん坊のお姉ちゃんかぁ……くっ…へへ…ありだな…スッゴくありだ」
何を妄想したのか…ルディの口角が素直に緩む。
確かに、大ありだが。
そして…シシーにそこまで気を許されているルディが羨ましい。
シシーは臆病で控え目だが、フィオ以外には一線を引いているしっかり者だ。
そんな彼女が、実は寂しがり屋で甘えん坊とか…思わず顔を抑えてしまうくらいの尊さ。
なるほど、きゅんとするとはこういう事か。
「るでぃくん、ぎゅーしていーい?」
「ふえっ!?ぎゅ、ぎゅーって…可愛い……う、うんっ!い、いいよ!」
………本当に羨ましい。
俺にはまだ緊張しているみたいだからな…。
いざ抱き締めていいか聞かれると赤面して動揺するルディだが…それでもチャンスを逃さない姿勢はさすがだ。
「!シシー、それを持っていたらぎゅーできないでしょう?わたしが持っていてあげるわ!」
「ん、あんがとっ」
「ええっ♡……やったわ!」
俺が羨ましがっている間に、こちらもチャンスを逃さなかった。
シシーの意識がルディに行っている内に、フィオが果実酒の瓶を見事回収したのだ。
「はぁ…かぁいい♡」
「んむっ!?」
「シシー、そんなに強く抱き込んだらルディが窒息してしまうわ」
「あっ…ごめんね…だいじょうぶ…?」
「はっ!?え、だ、大丈夫!やわら、じゃなくて…いい匂、じゃなくて…そんなに苦しくないよ!」
「ほんとう…?」
「うん…!」
予告なしに思い切り抱き込んだシシーだったが…フィオに言われて力を緩め、心配そうにルディの顔を覗き込んだ。
ルディ…お前は真っ赤な顔で何を言いかけたんだ?
うん?
ルディにしては珍しく、思考が追い付いていない。
「よしよし…かぁいいるでぃくん…いいこいいこ」
「っーーー」
答えに安心したシシーがまたルディを抱き込み直し、優しく頭を撫で始めた。
あ…ルディ、完全に固まったな。
はぁ…初めて子供に戻りたいと思った。
思わず、深いため息が出てしまう。
「あれ……あれくさん…?」
「!…あ、ああ」
「ためいき…どしたの…?げんき、ない?だいじょうぶ…?」
いきなり意識が俺に向いて驚く。
どうやら…先ほどのため息を聞かれていたようだ。
酔っているからか…普段はルディより線引きしていた俺を素直に心配してくれた。
「大丈夫、元気だよ。ありがとう」
「ほんとう…?つかれた?ねんねする?」
「っ…シ、シシーさん…本当に大丈夫だから…」
尚も心配そうに聞いてくれる彼女。
ねんねって…可愛いなぁ。
シシーは優しいが、誰に対しても…というわけではない。
少しは俺に心を許してくれているんだな。
「ふふっ、アレクもぎゅーして欲しいのかしら?」
「え、いや…」
大丈夫だと伝えようとしたら、フィオから思わぬ爆弾が投下された。
確かに羨ましいとは思ったが…酔っている彼女には気が引ける。
「ぎゅー…?ぎゅーしたいの?でも…あれくさんはそんなこというひとじゃないよ、ひおちゃん」
「あら、そうなの?アレク?」
「……いや、シシーさんとフィオさんならしたいと思うよ」
少し悩んだが…ここで否定しても自分が損するだけだと、素直に答えた。
「ほんとう?じゃあぎゅーしよっ♡」
蕩けた嬉しそうな笑顔で片手を広げ、すぐに俺を受け入れようとするシシー。
シラフでは絶対しないであろう反応だな。
さすがに彼女の胸に飛び込むわけにはいかず、ルディごと上から抱き締めた。
ふわっと、花の香りが優しく香る。
「えへへっ…ふたりとなかよしうれしいなぁ…♡」
「良かったわねぇ♡シシー♡」
「うんっ♡あ…るでぃくん!おねえちゃんといっしょにおふろはいろうねぇ♡」
「へ…お、おふ、おふ、おふろっ!?」
最強に可愛いが、次はシシーが酔わないように気を付けようと強く誓った瞬間だった。
うん…完全に酔っ払って出来上がっている。
「へへへぇ…♡ひおちゃん…♡」
無防備な顔を晒し、隣の少女にすり寄る俺の女神。
頬を紅潮させ、ふにゃふにゃニコニコと蕩けた表情が俺の胸を熱く締め付ける。
「いいこね、シシー♡……いいこだから、そのお酒はもう止めましょうね♡」
「えぇ?こりぇ、おしゃけじゃないよ?じゅーちゅだよぉ♡」
果実酒の瓶を大事に抱き締めながらそれをジュースと言い張るシシーに、どうにか瓶を回収しようとしているフィオ。
「…………」
不謹慎だとは思うが…これは可愛いが過ぎる。
率直に言って、可愛い要素しかない。
陶器のような肌がほんのり赤く色づき、なんと綺麗で艶やかな事か…清楚だからこその破壊力がある。
潤んだ緑眼はエメラルドのようにキラキラ光って、彼女をより神秘的に見せている。
はあぁ…かわいい…。
呂律が回ってないところもホントかわいい…。
そう…シシーが飲む姿があまりにも可愛かったため、止めるタイミングを逃してしまったのだ。
あの果実酒は口当たりがジュースかと思うくらい軽いが…実はアルコール度数が高い。
きっと、弱めの酒だと勘違いしたんだな…。
飲んでいたら段々酔ってきて、そのせいでペースが上がり、今は飲むのが楽しくなって止まらなくなってしまった…そんな感じだろう。
「シ、シシーさん!こっちの方が美味しいよ!」
「…?……あ…♡るでぃくんだぁ…かぁいい♡おとうとにしたいなぁ♡」
「へ!?あっ…えっと…な、なりたいけど…!酔ってない時に言って欲しい…!」
どうにか水を飲ませようと興味を誘うが、蕩けた笑顔と甘い声でのカウンターを食らって怯むルディ。
羨ましい…俺にも向けてくれないかな。
「あらあら♡正気に戻ったら慌てると思うけど、きっと本心よ~。シシーは寂しがり屋の甘えん坊なの」
「え、そうなの!?そ、そうなんだ…ホントに……寂しがり屋で甘えん坊のお姉ちゃんかぁ……くっ…へへ…ありだな…スッゴくありだ」
何を妄想したのか…ルディの口角が素直に緩む。
確かに、大ありだが。
そして…シシーにそこまで気を許されているルディが羨ましい。
シシーは臆病で控え目だが、フィオ以外には一線を引いているしっかり者だ。
そんな彼女が、実は寂しがり屋で甘えん坊とか…思わず顔を抑えてしまうくらいの尊さ。
なるほど、きゅんとするとはこういう事か。
「るでぃくん、ぎゅーしていーい?」
「ふえっ!?ぎゅ、ぎゅーって…可愛い……う、うんっ!い、いいよ!」
………本当に羨ましい。
俺にはまだ緊張しているみたいだからな…。
いざ抱き締めていいか聞かれると赤面して動揺するルディだが…それでもチャンスを逃さない姿勢はさすがだ。
「!シシー、それを持っていたらぎゅーできないでしょう?わたしが持っていてあげるわ!」
「ん、あんがとっ」
「ええっ♡……やったわ!」
俺が羨ましがっている間に、こちらもチャンスを逃さなかった。
シシーの意識がルディに行っている内に、フィオが果実酒の瓶を見事回収したのだ。
「はぁ…かぁいい♡」
「んむっ!?」
「シシー、そんなに強く抱き込んだらルディが窒息してしまうわ」
「あっ…ごめんね…だいじょうぶ…?」
「はっ!?え、だ、大丈夫!やわら、じゃなくて…いい匂、じゃなくて…そんなに苦しくないよ!」
「ほんとう…?」
「うん…!」
予告なしに思い切り抱き込んだシシーだったが…フィオに言われて力を緩め、心配そうにルディの顔を覗き込んだ。
ルディ…お前は真っ赤な顔で何を言いかけたんだ?
うん?
ルディにしては珍しく、思考が追い付いていない。
「よしよし…かぁいいるでぃくん…いいこいいこ」
「っーーー」
答えに安心したシシーがまたルディを抱き込み直し、優しく頭を撫で始めた。
あ…ルディ、完全に固まったな。
はぁ…初めて子供に戻りたいと思った。
思わず、深いため息が出てしまう。
「あれ……あれくさん…?」
「!…あ、ああ」
「ためいき…どしたの…?げんき、ない?だいじょうぶ…?」
いきなり意識が俺に向いて驚く。
どうやら…先ほどのため息を聞かれていたようだ。
酔っているからか…普段はルディより線引きしていた俺を素直に心配してくれた。
「大丈夫、元気だよ。ありがとう」
「ほんとう…?つかれた?ねんねする?」
「っ…シ、シシーさん…本当に大丈夫だから…」
尚も心配そうに聞いてくれる彼女。
ねんねって…可愛いなぁ。
シシーは優しいが、誰に対しても…というわけではない。
少しは俺に心を許してくれているんだな。
「ふふっ、アレクもぎゅーして欲しいのかしら?」
「え、いや…」
大丈夫だと伝えようとしたら、フィオから思わぬ爆弾が投下された。
確かに羨ましいとは思ったが…酔っている彼女には気が引ける。
「ぎゅー…?ぎゅーしたいの?でも…あれくさんはそんなこというひとじゃないよ、ひおちゃん」
「あら、そうなの?アレク?」
「……いや、シシーさんとフィオさんならしたいと思うよ」
少し悩んだが…ここで否定しても自分が損するだけだと、素直に答えた。
「ほんとう?じゃあぎゅーしよっ♡」
蕩けた嬉しそうな笑顔で片手を広げ、すぐに俺を受け入れようとするシシー。
シラフでは絶対しないであろう反応だな。
さすがに彼女の胸に飛び込むわけにはいかず、ルディごと上から抱き締めた。
ふわっと、花の香りが優しく香る。
「えへへっ…ふたりとなかよしうれしいなぁ…♡」
「良かったわねぇ♡シシー♡」
「うんっ♡あ…るでぃくん!おねえちゃんといっしょにおふろはいろうねぇ♡」
「へ…お、おふ、おふ、おふろっ!?」
最強に可愛いが、次はシシーが酔わないように気を付けようと強く誓った瞬間だった。
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