20 / 22
甘い
しおりを挟む
(※アレク視点です)
うん…完全に酔っ払って出来上がっている。
「へへへぇ…♡ひおちゃん…♡」
無防備な顔を晒し、隣の少女にすり寄る俺の女神。
頬を紅潮させ、ふにゃふにゃニコニコと蕩けた表情が俺の胸を熱く締め付ける。
「いいこね、シシー♡……いいこだから、そのお酒はもう止めましょうね♡」
「えぇ?こりぇ、おしゃけじゃないよ?じゅーちゅだよぉ♡」
果実酒の瓶を大事に抱き締めながらそれをジュースと言い張るシシーに、どうにか瓶を回収しようとしているフィオ。
「…………」
不謹慎だとは思うが…これは可愛いが過ぎる。
率直に言って、可愛い要素しかない。
陶器のような肌がほんのり赤く色づき、なんと綺麗で艶やかな事か…清楚だからこその破壊力がある。
潤んだ緑眼はエメラルドのようにキラキラ光って、彼女をより神秘的に見せている。
はあぁ…かわいい…。
呂律が回ってないところもホントかわいい…。
そう…シシーが飲む姿があまりにも可愛かったため、止めるタイミングを逃してしまったのだ。
あの果実酒は口当たりがジュースかと思うくらい軽いが…実はアルコール度数が高い。
きっと、弱めの酒だと勘違いしたんだな…。
飲んでいたら段々酔ってきて、そのせいでペースが上がり、今は飲むのが楽しくなって止まらなくなってしまった…そんな感じだろう。
「シ、シシーさん!こっちの方が美味しいよ!」
「…?……あ…♡るでぃくんだぁ…かぁいい♡おとうとにしたいなぁ♡」
「へ!?あっ…えっと…な、なりたいけど…!酔ってない時に言って欲しい…!」
どうにか水を飲ませようと興味を誘うが、蕩けた笑顔と甘い声でのカウンターを食らって怯むルディ。
羨ましい…俺にも向けてくれないかな。
「あらあら♡正気に戻ったら慌てると思うけど、きっと本心よ~。シシーは寂しがり屋の甘えん坊なの」
「え、そうなの!?そ、そうなんだ…ホントに……寂しがり屋で甘えん坊のお姉ちゃんかぁ……くっ…へへ…ありだな…スッゴくありだ」
何を妄想したのか…ルディの口角が素直に緩む。
確かに、大ありだが。
そして…シシーにそこまで気を許されているルディが羨ましい。
シシーは臆病で控え目だが、フィオ以外には一線を引いているしっかり者だ。
そんな彼女が、実は寂しがり屋で甘えん坊とか…思わず顔を抑えてしまうくらいの尊さ。
なるほど、きゅんとするとはこういう事か。
「るでぃくん、ぎゅーしていーい?」
「ふえっ!?ぎゅ、ぎゅーって…可愛い……う、うんっ!い、いいよ!」
………本当に羨ましい。
俺にはまだ緊張しているみたいだからな…。
いざ抱き締めていいか聞かれると赤面して動揺するルディだが…それでもチャンスを逃さない姿勢はさすがだ。
「!シシー、それを持っていたらぎゅーできないでしょう?わたしが持っていてあげるわ!」
「ん、あんがとっ」
「ええっ♡……やったわ!」
俺が羨ましがっている間に、こちらもチャンスを逃さなかった。
シシーの意識がルディに行っている内に、フィオが果実酒の瓶を見事回収したのだ。
「はぁ…かぁいい♡」
「んむっ!?」
「シシー、そんなに強く抱き込んだらルディが窒息してしまうわ」
「あっ…ごめんね…だいじょうぶ…?」
「はっ!?え、だ、大丈夫!やわら、じゃなくて…いい匂、じゃなくて…そんなに苦しくないよ!」
「ほんとう…?」
「うん…!」
予告なしに思い切り抱き込んだシシーだったが…フィオに言われて力を緩め、心配そうにルディの顔を覗き込んだ。
ルディ…お前は真っ赤な顔で何を言いかけたんだ?
うん?
ルディにしては珍しく、思考が追い付いていない。
「よしよし…かぁいいるでぃくん…いいこいいこ」
「っーーー」
答えに安心したシシーがまたルディを抱き込み直し、優しく頭を撫で始めた。
あ…ルディ、完全に固まったな。
はぁ…初めて子供に戻りたいと思った。
思わず、深いため息が出てしまう。
「あれ……あれくさん…?」
「!…あ、ああ」
「ためいき…どしたの…?げんき、ない?だいじょうぶ…?」
いきなり意識が俺に向いて驚く。
どうやら…先ほどのため息を聞かれていたようだ。
酔っているからか…普段はルディより線引きしていた俺を素直に心配してくれた。
「大丈夫、元気だよ。ありがとう」
「ほんとう…?つかれた?ねんねする?」
「っ…シ、シシーさん…本当に大丈夫だから…」
尚も心配そうに聞いてくれる彼女。
ねんねって…可愛いなぁ。
シシーは優しいが、誰に対しても…というわけではない。
少しは俺に心を許してくれているんだな。
「ふふっ、アレクもぎゅーして欲しいのかしら?」
「え、いや…」
大丈夫だと伝えようとしたら、フィオから思わぬ爆弾が投下された。
確かに羨ましいとは思ったが…酔っている彼女には気が引ける。
「ぎゅー…?ぎゅーしたいの?でも…あれくさんはそんなこというひとじゃないよ、ひおちゃん」
「あら、そうなの?アレク?」
「……いや、シシーさんとフィオさんならしたいと思うよ」
少し悩んだが…ここで否定しても自分が損するだけだと、素直に答えた。
「ほんとう?じゃあぎゅーしよっ♡」
蕩けた嬉しそうな笑顔で片手を広げ、すぐに俺を受け入れようとするシシー。
シラフでは絶対しないであろう反応だな。
さすがに彼女の胸に飛び込むわけにはいかず、ルディごと上から抱き締めた。
ふわっと、花の香りが優しく香る。
「えへへっ…ふたりとなかよしうれしいなぁ…♡」
「良かったわねぇ♡シシー♡」
「うんっ♡あ…るでぃくん!おねえちゃんといっしょにおふろはいろうねぇ♡」
「へ…お、おふ、おふ、おふろっ!?」
最強に可愛いが、次はシシーが酔わないように気を付けようと強く誓った瞬間だった。
うん…完全に酔っ払って出来上がっている。
「へへへぇ…♡ひおちゃん…♡」
無防備な顔を晒し、隣の少女にすり寄る俺の女神。
頬を紅潮させ、ふにゃふにゃニコニコと蕩けた表情が俺の胸を熱く締め付ける。
「いいこね、シシー♡……いいこだから、そのお酒はもう止めましょうね♡」
「えぇ?こりぇ、おしゃけじゃないよ?じゅーちゅだよぉ♡」
果実酒の瓶を大事に抱き締めながらそれをジュースと言い張るシシーに、どうにか瓶を回収しようとしているフィオ。
「…………」
不謹慎だとは思うが…これは可愛いが過ぎる。
率直に言って、可愛い要素しかない。
陶器のような肌がほんのり赤く色づき、なんと綺麗で艶やかな事か…清楚だからこその破壊力がある。
潤んだ緑眼はエメラルドのようにキラキラ光って、彼女をより神秘的に見せている。
はあぁ…かわいい…。
呂律が回ってないところもホントかわいい…。
そう…シシーが飲む姿があまりにも可愛かったため、止めるタイミングを逃してしまったのだ。
あの果実酒は口当たりがジュースかと思うくらい軽いが…実はアルコール度数が高い。
きっと、弱めの酒だと勘違いしたんだな…。
飲んでいたら段々酔ってきて、そのせいでペースが上がり、今は飲むのが楽しくなって止まらなくなってしまった…そんな感じだろう。
「シ、シシーさん!こっちの方が美味しいよ!」
「…?……あ…♡るでぃくんだぁ…かぁいい♡おとうとにしたいなぁ♡」
「へ!?あっ…えっと…な、なりたいけど…!酔ってない時に言って欲しい…!」
どうにか水を飲ませようと興味を誘うが、蕩けた笑顔と甘い声でのカウンターを食らって怯むルディ。
羨ましい…俺にも向けてくれないかな。
「あらあら♡正気に戻ったら慌てると思うけど、きっと本心よ~。シシーは寂しがり屋の甘えん坊なの」
「え、そうなの!?そ、そうなんだ…ホントに……寂しがり屋で甘えん坊のお姉ちゃんかぁ……くっ…へへ…ありだな…スッゴくありだ」
何を妄想したのか…ルディの口角が素直に緩む。
確かに、大ありだが。
そして…シシーにそこまで気を許されているルディが羨ましい。
シシーは臆病で控え目だが、フィオ以外には一線を引いているしっかり者だ。
そんな彼女が、実は寂しがり屋で甘えん坊とか…思わず顔を抑えてしまうくらいの尊さ。
なるほど、きゅんとするとはこういう事か。
「るでぃくん、ぎゅーしていーい?」
「ふえっ!?ぎゅ、ぎゅーって…可愛い……う、うんっ!い、いいよ!」
………本当に羨ましい。
俺にはまだ緊張しているみたいだからな…。
いざ抱き締めていいか聞かれると赤面して動揺するルディだが…それでもチャンスを逃さない姿勢はさすがだ。
「!シシー、それを持っていたらぎゅーできないでしょう?わたしが持っていてあげるわ!」
「ん、あんがとっ」
「ええっ♡……やったわ!」
俺が羨ましがっている間に、こちらもチャンスを逃さなかった。
シシーの意識がルディに行っている内に、フィオが果実酒の瓶を見事回収したのだ。
「はぁ…かぁいい♡」
「んむっ!?」
「シシー、そんなに強く抱き込んだらルディが窒息してしまうわ」
「あっ…ごめんね…だいじょうぶ…?」
「はっ!?え、だ、大丈夫!やわら、じゃなくて…いい匂、じゃなくて…そんなに苦しくないよ!」
「ほんとう…?」
「うん…!」
予告なしに思い切り抱き込んだシシーだったが…フィオに言われて力を緩め、心配そうにルディの顔を覗き込んだ。
ルディ…お前は真っ赤な顔で何を言いかけたんだ?
うん?
ルディにしては珍しく、思考が追い付いていない。
「よしよし…かぁいいるでぃくん…いいこいいこ」
「っーーー」
答えに安心したシシーがまたルディを抱き込み直し、優しく頭を撫で始めた。
あ…ルディ、完全に固まったな。
はぁ…初めて子供に戻りたいと思った。
思わず、深いため息が出てしまう。
「あれ……あれくさん…?」
「!…あ、ああ」
「ためいき…どしたの…?げんき、ない?だいじょうぶ…?」
いきなり意識が俺に向いて驚く。
どうやら…先ほどのため息を聞かれていたようだ。
酔っているからか…普段はルディより線引きしていた俺を素直に心配してくれた。
「大丈夫、元気だよ。ありがとう」
「ほんとう…?つかれた?ねんねする?」
「っ…シ、シシーさん…本当に大丈夫だから…」
尚も心配そうに聞いてくれる彼女。
ねんねって…可愛いなぁ。
シシーは優しいが、誰に対しても…というわけではない。
少しは俺に心を許してくれているんだな。
「ふふっ、アレクもぎゅーして欲しいのかしら?」
「え、いや…」
大丈夫だと伝えようとしたら、フィオから思わぬ爆弾が投下された。
確かに羨ましいとは思ったが…酔っている彼女には気が引ける。
「ぎゅー…?ぎゅーしたいの?でも…あれくさんはそんなこというひとじゃないよ、ひおちゃん」
「あら、そうなの?アレク?」
「……いや、シシーさんとフィオさんならしたいと思うよ」
少し悩んだが…ここで否定しても自分が損するだけだと、素直に答えた。
「ほんとう?じゃあぎゅーしよっ♡」
蕩けた嬉しそうな笑顔で片手を広げ、すぐに俺を受け入れようとするシシー。
シラフでは絶対しないであろう反応だな。
さすがに彼女の胸に飛び込むわけにはいかず、ルディごと上から抱き締めた。
ふわっと、花の香りが優しく香る。
「えへへっ…ふたりとなかよしうれしいなぁ…♡」
「良かったわねぇ♡シシー♡」
「うんっ♡あ…るでぃくん!おねえちゃんといっしょにおふろはいろうねぇ♡」
「へ…お、おふ、おふ、おふろっ!?」
最強に可愛いが、次はシシーが酔わないように気を付けようと強く誓った瞬間だった。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説


蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる