上 下
15 / 41
けものにおもいをつたえまして

14わ。 (R18ようちゅうい)

しおりを挟む
ゆっくりとカナタの奥へと進む指が、途中で何かを掠めた瞬間にカナタはびくりと大きく体を震わせた。

「…っ、はぁ、ここ、イイのか?」

長い口付けを終わらせ、ガルフがそこを何度もこすりながら、カナタに確かめた。

「うっ、…あ、待って、そこ…変になるっ」

今まで感じたことのない刺激にカナタは戸惑い、腰から下を激しく震わせていた。

「変になっちまえよ、もっと俺で感じればいい…」

慈愛や満足感の中に、嗜虐心が擽られているような表情を笑みに滲ませ、ガルフは指でカナタの感じている所を何度も攻め立てた。

「うああ!まって、ガルフ…ダメっ、ダメだからっ!」

悲鳴のように喘ぐカナタは自分の身体の奥から何かが込み上げてくるのを感じて、必死にガルフを制止しようとするも、乱れるカナタを見下ろすガルフに理性など一片たりとも残っていなかった。
カナタはガルフに攻め立てられるがまま、止まることも出来ずに達してしまい、自身から噴き出る激しい熱と共に、ぐったりと脱力してしまった。

「う…、ガル…フ、あっ…」

宝石を砕いてはいけないと言うガルフの決意は理性と共に、とうに葬られてしまっていて、姿は人でありながらも、「フーッ、フーッ」と荒く呼吸する様は獣そのものだった。
達してしまったカナタの身体を労わるように優しく撫でると、ガルフは自分の下着も脱いでいった。
晒されたガルフの自身はカナタとは比べ物にならないほどの形、質量であって、それが挿入されると思うと、カナタの心には大きな不安と期待が炎のように宿った。

「今から挿入いれっから、つらかったら言えよ?」

「うん…」

不安なのはガルフも同じなんだと、カナタは彼を見上げながら思った。

「(声が震えていて、緊張している…)」

カナタの後孔の存在を確かめるため、そして、そこへ自分が入ることを分からせるために、ガルフは何度も自身をこすりつけては、解そうとした。
本来用意しておくべきの、ガルフとカナタを隔てる薄い壁はなく、直接ガルフがカナタの中で繋がることになる。
カナタの心の準備が出来たことを認めると、ガルフはこすりつけていた自身をつぷり、と後孔へと押し当てて、そのままぐっと腰を押し入れた。

「うぐ…っ、ううっ!」

強い圧迫感を受けたカナタは声が出ず、低い声を喉奥で唸らせた。

「はぁ、っ、はっ、…カナタ、大丈夫か?」

カナタの様子を見て問いかけたガルフは、すぐに引き抜こうとしたが、カナタはガルフの腰に脚を巻き付け、ガルフの肩を掴んで言った。

「止めないでっ、…僕は平気だよ、ガルフ…君のことが欲しいって…言っただろ?」

「でも、つらそうじゃねえかよっ…」

「うん、けど…これは君だけがくれる感覚だから、嬉しくって…もっと、欲しい…」

そう言ってカナタは、余裕なんて無いのにへラッと笑った。
その笑顔にガルフの胸はドキッと高鳴った。

「お前はどこまでも、お人良しで、優しい奴だな」

「それは、お互い様だろ…?」

「へへ、まあな…そう言うお前だから、好きだぜ?…続けるぞ」

ガルフがそう告げると、カナタは優しい笑みへと表情を変えて頷いた。
正直、ガルフにとっても、快楽を求めたい気持ちがある中でカナタに気遣い続けることにはしんどさがあった。
けれど、決して壊したくないという想いだけは守り抜こうと決めていた。
徐々に徐々に、ガルフはカナタの中へと入り込んでいき、カナタのナカはガルフの形へと広がってゆく。
時間の経過がカナタの感じていた圧迫感を無くさせ、ガルフの腰の動きは少しずつ、ぎこちないものから滑らかなものへと変わっていった。
カナタの声も、痛みによる喘ぎから快楽による、甘く艶のある嬌声へと変わっていった。
ガルフはカナタに覆いかぶさって何度も何度も腰を前後させた。
そんなガルフを抱きしめて、カナタはガルフの耳元で甘い声で啼き、ガルフの快楽をより強いものへと染め上げていった。

「はぁ、はぁ…カナタっ」

「ん…んんっ、ガル…フ…」

腰を動かして響く水音と肌の当たる音、互いの息遣いに混ざる甘い声…それだけがこの空間に在った。
もっと奥まで挿し込もうと思えばできたけれど、カナタが壊れてしまわないかという思いから、それ以上は挿入せずにガルフは腰を前後させていた。
やがてビリッと強い刺激がガルフの腰へと走り渡った。

「ぐっ、射精るっ…カナタっ…!」

「うんっ、きて…きてっ、ガルフ!」

ガルフは引き抜いた上で射精そうとしたのだけれど、カナタは自分のナカでガルフをきつく締め付けた上で、両脚を巻き付けたガルフの腰を押さえつけて、自分からぐっと引き寄せて離そうとしなかった。

「うっぐ、…おいっ!…カナタ…うぁ!」

自分の気遣いなど虚しく、ガルフはカナタの中で果ててしまい、どくどくと自身を震わせ、カナタのナカへと何度も精を吐き出してしまった。

「あっ…あぁ…ガルフの熱いのが…僕の、中に…」

自分の中に送り込まれる熱い塊をカナタは幸福感に満ちた表情で受け止めた。

「はぁ…っ…はぁ」

荒く呼吸をするガルフはぐったりとカナタへもたれかかり、そのまま狼の姿へと変わってしまった。


・・・


「なあ、カナタ…」

息も整い、ソファの上でカナタが狼姿のガルフを抱きしめていると、ガルフはそっと名前を呼んだ。

「ん?どうしたの?」

「…街によ、引っ越すか…3人で」

ぽつりと呟かれたガルフの言葉に、カナタは一瞬目を丸くしていたが、すぐにその瞳には輝きが宿った。

「ほんと!?ほんとにいいの!?」

「…あぁ、まだお前とルウへの心配が消えたわけじゃねえ。でもよ、お前が言ったみてえに危険に飛び込まねえと進めねえし…何より、お前のことを抱いたまま狼になっちまうなんて情けねえだろ」

「…ガルフっ!もう!大好き!…ありがとう!」

堪らずカナタはガルフを強く抱きしめた。
例え理由がどんなものであろうと、ガルフが自分から毒の治療に前向きになってくれたことが、カナタには何より嬉しかった。

『ガルフが自由に生きられるために、絶対毒を治す』

カナタの中にはそんな意志があった。

『カナタの側で、人の姿として少しでも長く一緒に居たい』

ガルフの中にはそんな願いがあった。

『兄の毒を純粋に治してあげたい』

そんなルウの願いも一緒に抱え、3人は新しい一歩へと踏み出そうとしていた。



(けものにおもいをつたえまして(完))
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神の宿り木~旅の途中~ジン~

ゆう
BL
風霊に呼ばれて港街に来たリーンは、余命わずかのジンと共に彼の故郷へと帰る。約束どうりに『短い間だけでも一緒にいるよ』静かに二人で過ごせれば良かっただけなのに、ジンの故郷の崩壊が始まりだしていた。 故郷の森の、隣り合わせに暮らす獣人達。 迫る崩壊を止める事が出来るのか。 #ストーリーを先に進めるため、書かなかった~番外編~別にあります。 ジンの過去編を書き出したら本編が進まないので、泣く泣く省いた話です。 ~番外編~に、本編のこぼれ話があります。 ただ、ヤってるだけのような気がしてきました…。 ○リーンの過去編「獣人族の噛みあとは、群れの通行手形」と、何故言うようになったかの話。 ○狼の里にて 『樹木再生』のあと、ロキと狼の里へ行った話。 ○はぐれ獣人 ♠はぐれ獣人と『魔力の交合』をして、さっきまでいた町に戻っていく途中の話。 ♠お風呂。マークが子獣とキリトをお風呂に入れた話。 ♠リーンとロキの『魔力の交合』を見て、欲情したまま部屋に戻ったキリトの話。 *この後は、『神の宿り木~旅の途中~ルーク~』に変わります。(完結) 登場人物が変わり、十数年後の話になります。

【長編版がAmazonベストセラー1位になりました】虐げられ人生から契約婚⋯のはずが溺愛ですか?『お飾り妻ですが家族になれました』

美咲アリス
BL
「俺のお飾りの妻になってほしい」「はい?」ある日突然、貧乏オメガ令息のユリアは美貌のヴィクトル騎士団長に声をかけられた。どうやら騎士団長はある理由があって結婚相手を探しているらしい。いとこ家族に虐められていたユリアは契約結婚を受け入れる。豪華な屋敷での快適なお飾り妻生活が始まるが、なぜかびっくりするほど激しい溺愛がスタートして⋯⋯? 真面目なオメガ令息と、世界最強の騎士団長。キュン&ハッピーなすれ違い異世界ラブストーリー。※この『お飾り妻ですが家族になれました』は、長編異世界オメガバース『お飾り妻と溺愛騎士団長』の元になった短編です。長編版はAmazonで書籍化して頂きました(追記・ベストセラー入りしています。2024.4/20現在BLランキング)

男娼ウサギは寡黙なトラに愛される

てんつぶ
BL
「も……っ、やだ……!この、絶倫……!」 ・・・・ 獣人の世界では、過去にバース性が存在した。 獣としての発情期も無くなったこの時代に、ウラギ獣人のラヴィはそれを隠して男娼として生きていた。 あどけなくも美しく、具合の良いラヴィは人気があった。 でも、人気があるだけ。本気でラヴィを欲しがる者はいない事を、彼は痛い程知っていた。 だけどそう――たった一度だけ自分を抱いた、あのトラ獣人だけは自分に執着を示していたのだ。 干支BL。 オメガバ事前知識有前提のゆるい設定です。 三が日の間に完結したいところ。

獅子帝の宦官長

ごいち
BL
皇帝ラシッドは体格も精力も人並外れているせいで、夜伽に呼ばれた側女たちが怯えて奉仕にならない。 苛立った皇帝に、宦官長のイルハリムは後宮の管理を怠った罰として閨の相手を命じられてしまう。    強面巨根で情愛深い攻×一途で大人しそうだけど隠れ淫乱な受     R18:レイプ・モブレ・SM的表現・暴力表現多少あります。 2022/12/23 エクレア文庫様より電子版・紙版の単行本発売されました 電子版 https://www.cmoa.jp/title/1101371573/ 紙版 https://comicomi-studio.com/goods/detail?goodsCd=G0100914003000140675 単行本発売記念として、12/23に番外編SS2本を投稿しております 良かったら獅子帝の世界をお楽しみください ありがとうございました!

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

【完結】帝王様は、表でも裏でも有名な飼い猫を溺愛する

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
 離地暦201年――人類は地球を離れ、宇宙で新たな生活を始め200年近くが経過した。貧困の差が広がる地球を捨て、裕福な人々は宇宙へ進出していく。  狙撃手として裏で名を馳せたルーイは、地球での狙撃の帰りに公安に拘束された。逃走経路を疎かにした結果だ。表では一流モデルとして有名な青年が裏路地で保護される、滅多にない事態に公安は彼を疑うが……。  表も裏もひっくるめてルーイの『飼い主』である権力者リューアは公安からの問い合わせに対し、彼の保護と称した強制連行を指示する。  権力者一族の争いに巻き込まれるルーイと、ひたすらに彼に甘いリューアの愛の行方は? 【重複投稿】エブリスタ、アルファポリス、小説家になろう 【注意】※印は性的表現有ります

騎士さま、むっつりユニコーンに襲われる

雲丹はち
BL
ユニコーンの角を採取しにいったらゴブリンに襲われかけ、むっつりすけべなユニコーンに処女を奪われてしまう騎士団長のお話。

幼なじみに毎晩寝込みを襲われています

西 美月
BL
恭介の特技は『一度寝ると全然起きない』こと、 『どこでも眠れる』こと。 幼なじみとルームシェアを始めて1ヶ月。 ある日目覚めるとお尻の穴が痛くて──!? ♡♡小柄美系攻×平凡受♡♡ ▷三人称表記です ▷過激表現ご注意下さい

処理中です...