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第一章 召喚編
第6話 国王一家との謁見
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今は謁見の間のドアの前。
マー君は騎士団の正装なのか黒地に金色の縁取りの詰め襟の軍服姿。
私はというと、朝着ていた水色のワンピースから子供らしいピンク色のシフォンドレスにお着替え。
半袖の肩はフワッとしたボリュームで二の腕のところはキュッとしまっている。ウエストからふんわりと裾に広がっていてとても可愛いデザインだ。
足元は裾に隠れて見えないけどローヒールの白いパンプスを履いている。
宰相様の末のお嬢さんが一度も袖を通していないドレスらしい。
後でお礼を言わなければ。
ちなみに、一度も着なかった理由は子供っぽいデザインだからだって。
上等じゃないか、私はここで子供としての立ち位置を確立しなければいけないのだ。
子供っぽさを全面にアピールなのだ。
髪の毛はミリアさんが引き連れてきた若い侍女さん2人係で綺麗に編み込んでくれました。
頭の上でピンクのシルクリボンで纏められ唇に薄いピンクのルージュをつけられた。
どこから見ても完璧なご令嬢の出来上がり。
謁見の間のドアの前にいた2人の騎士様が両開きのドアをそれぞれ開けてくれた。
だだっ広い部屋の正面には三段ほどの階段がありその上段に玉座があった。
部屋の両脇には盛装をした数人の紳士とその奥様と思われる淑女が並び、ドア付近の壁には騎士様が20人ほど控えていた。
あまりにも煌びやかなその様子に私は一瞬思考も身体も停止状態。
そんな私にマー君はささやくように言った。
「アヤ、大丈夫俺がついてるから。さあ、行くよ」
そして私の手をとり部屋の中へ進んだ。
とっても頼もしい勇者様です。
どこまでもついて行きますとも。
両サイドの紳士や淑女がザワザワとしているなかをマー君とともに部屋の中央まで進みそこで国王様と王妃様をまつ。
緊張している私の耳に時折、『黒髪、黒い瞳』と言う言葉が入ってきた。
やっぱり、黒髪黒目って珍しいんだ……
そういえば、前に読んだ本で黒髪黒目が不吉の象徴という世界に迷い込んだ主人公がその世界の人達に迫害されるって話があったな~
この世界は大丈夫だろうか?
そういえば、ダグラスさんもディランさんも私を見たとき一瞬驚いた顔してたよね?
ネガティブシンキングに捕らわれていたら、どこからともなく「国王様、王妃様、ならびに王子方おなり!」と声がした。
そのとたん、紳士達は右手を胸にあて頭を垂れ、淑女達はドレスをつまみカーテシーのスタイルを取った。
もちろん、マー君と私もそれにならった。
淑女の嗜みのカーテシー。
私もミリアさんに習って練習しましたよ。
片足を斜め後ろの内側に引きもう片方の膝を曲げる。足の筋力が必要なこの体勢、なかなかにつらい…
衣擦れの音と共に張りのある声が響いた。
「皆の者、楽にして良い」
その一言が合図となりその場にいたみんなが頭を上げた。
玉座に座っている国王様は黒髪に紺色の瞳の美丈夫だった。
黒髪だ!なんだ、国王様が黒髪なら迫害はないな。
それに玉座のある階段のすぐ近くにオリゲール先生がいるのがわかった。
オリゲール先生は私と目が合うと優しく笑った。
安心したら緊張もとけ、私は自然と笑顔になっていた。
国王様の隣りに上品に座っている王妃様は金髪にエメラルドのような緑の瞳でものすごい美女。
国王様と王妃様を挟むように2人の王子様がすわっている。
王子様達はオリゲール先生の従兄弟に当たるんだね。
お二人とも王妃様の髪色を受け継ぎ、国王様の瞳の色を受け継いでいるザ・王子様と言う感じだ。王妃様の隣りは10代後半、国王様の隣りは10代前半くらい?
だとすると、国王様と王妃様はおいくつだろう?ずいぶんお若い感じに見えるけど…
「これは驚きだ。マサキ殿の従姉妹殿は聖女様の可能性があると聞いていたが聖女様ではないな」
ドキッとする鋭い言葉が国王様の口から発せられ私は青くなった。
思わず、隣りにいるマー君を縋るように見上げた。
やっぱり勇者のおまけはいらないって言われちゃうの?
私の不安をよそにマー君はとっても素敵な顔で微笑んだ。
「聖女様ではなく、女神様にソックリではないか!」
へ?女神様?
ここに来て新たなフレーズが出てきたぞ。女神様とはなんぞや?
混乱中の私を置き去りにして会話は進んでいた。
国王様はマー君への労いの言葉をかけ、私達の後見人として名乗りをあげ、周りの貴族の皆さんにも同意させていた。
そしてまた話題は私のことに戻っていた。
「アヤカさん近くに来てあなたの顔をよく見せてちょうだい」と王妃様が綺麗な声で私に言った。
えっと、ど、どうすればいいの?
マー君は私の手を取ると玉座の方へ歩き出し、王妃様の前に私を残すとまた先ほどの場所に戻って行った。
置き去りですか?このピンチを自力で切り抜けろと?
こうなりゃやけだ!
「王妃様、どうぞ私のことはアヤカとお呼び下さい」
「まぁ、ではアヤカさん、もっとこちらへ」
と言って私に手を伸ばした。
引っ張られるように王妃様の目の前に来ると、王妃様は私の顔をまじまじと見て声をかけた。
「本当に女神様に似ていますね。そして私達の娘にも……ねぇ陛下」
「エレノア……そうだな、その黒髪を見ると思い出さずにはいられないな」
どういうことだろう?亡くなった王女様がいるってことかな?
「ええ、本当に……アヤカさん、歳はいくつなの?」
「ちょうど、今日で8歳になります」
「まぁ、8歳? そして今日がお誕生日ということ?」
王妃様は綺麗なエメラルドの目を大きく見開いた。
何故か国王様も2人の王子様達も驚いた顔をしていた。
えっ?なに?8歳に見えないとでも?
戸惑う私の両頬に王妃様は手をあて言った。
「お誕生日のお祝いをしなければいけないわね」
言葉とは裏腹に何故か泣きそうな微笑みが気になる。
両頬に添えられた王妃様の手の平から暖かい愛情が伝わってくるのと同時に小さな生命力の波動を感じた。
あ、赤ちゃんが……
王妃様のお腹を見ると赤ちゃんが発する金色のオーラが嬉しそうにフルフルと揺れた。
それを見たとたん頭の中に誰かの声がした。
『お願い、お母様に伝えてもうお姉様の事で悲しまないで。私がお姉様の分までみんなを幸せにするからって。私はお母様に会えるのを楽しみにしていますって』
えっ?今のって王妃様のお腹にいる赤ちゃんからのメッセージ?
何故か黒髪に緑の瞳の2歳くらいの女の子の映像が目の前の広がった。
これって、お腹の赤ちゃんの成長した姿?
なんにしても、ちゃんと伝えてあげなきゃね。
だって王妃様には悲しそうな微笑みは似合わない。
子供の戯れ言と一笑されないように、この子の優しい思いが届くように。
私は王妃様の手に自分の手を重ね心を込めて言葉を紡いだ。
「王妃様、お腹の赤ちゃんからメッセージをもらいました。『お姉様の事で悲しまないで。私がお姉様の分までみんなを幸せにするから。私はお母様に会えるのを楽しみにしています』と……」
「え…私のお腹に赤ちゃんが?」
知らなかったの?こんなにハッキリとしたオーラが見えるのに。
「はい、女の子です。国王様と同じ黒髪で瞳は王妃様と同じ綺麗な緑色です」
王妃様は「まぁ……」と言って両手でお腹を優しく撫でた。
ことの成り行きを隣で見守っていた国王様が王妃様の手に自分の手を重ねた。
「アヤカ、今の話はまことの話か?嘘や冗談でそのような事を言ってる訳ではないだろうな?」
そうだよね。
こんな事をいきなり言われたらそれが普通の反応だよね。
この場の雰囲気も微妙な空気がただよっている。
王女様~あなたのせいで私、不敬罪で打ち首になっちゃいそうです!
するとまた頭の中で声が響いた。
『ごめんなさい。お父様に伝えて、私が生まれるのは星姫の誕生祭の時期だから、名前は星の妖精にちなんでつけてって、あと、今度はちゃんとお母様のそばにいてあげてって、私が生まれた時にすぐに会いたいからって』
星姫の誕生祭って何だろう?お祭りかな?星の妖精か~見てみたいな。
ちゃんと伝えるね。そう心のなかで返事を返した。
そして私は国王様の目を真っ直ぐ見つめて言った。
「嘘や冗談ではありません。赤ちゃんから国王様あてにメッセージを受け取りましたが、国王様がお疑いのようなのでこれは私の胸にしまっておきます」
と悲しそうに眼を伏せる演技も忘れない。
どうかな?
国王様、好奇心が刺激されません?
「い、いや、これはすまない。アヤカを疑っているわけではないぞ?王女からの私へのメッセージはなんと?」
ヨッシャ! 国王様といえども人の子の親と言ったところか。
ニマニマとしそうな表情筋を必死に押さえる。
「王女様の生まれるのは星姫の誕生祭の時期なので名前は星の妖精にちなんで着けて欲しいそうです。あと、今度はちゃんと王妃様のそばにいてあげて欲しい、自分が生まれた時にすぐに会いたいからだそうです」
それを聞いていた王妃様と王子様達がクスクス笑い出した。
国王様はと言えば、なぜか「うっ」と声を出したかと思えば片手で顔を覆ってしまった。
何だろう?よくわからないけど王族一家が幸せそうだから良いか。
周りの貴族の方達も笑顔だしね。
「アヤカ、私はあなたを信じます。こんなに笑ったのは随分と久しぶりです。
これからは過去に捕らわれず、新しい命を大切にします」
「アヤカ、僕からもお礼を言うよ。母上の笑顔を見たのは二年ぶりだよ。ありがとう」
兄王子様がそう言えば、弟王子様も
「アヤカ、ありがとう。君は僕達の女神様だよ」
と言った。
ザ・王子様スマイルが目に眩しいです。
「お、おい、お前達、私より先に礼を言わないでくれ、私の立場がないじゃないか。アヤカ、改めてお礼を言うよ。ありがとう」
おお、こちらもイケメンスマイル炸裂です。
その後、私はマー君のいるところへ戻った。
マー君の顔を見たら思わず抱きついてしまった。
仲のよい王族一家を見ていたら自分の家族を思い出したからだ。
そんな私をマー君はぎゅっと抱きしめ返してくれた。
うん、やっぱりマー君の腕の中は安心。
癒される~
マー君は騎士団の正装なのか黒地に金色の縁取りの詰め襟の軍服姿。
私はというと、朝着ていた水色のワンピースから子供らしいピンク色のシフォンドレスにお着替え。
半袖の肩はフワッとしたボリュームで二の腕のところはキュッとしまっている。ウエストからふんわりと裾に広がっていてとても可愛いデザインだ。
足元は裾に隠れて見えないけどローヒールの白いパンプスを履いている。
宰相様の末のお嬢さんが一度も袖を通していないドレスらしい。
後でお礼を言わなければ。
ちなみに、一度も着なかった理由は子供っぽいデザインだからだって。
上等じゃないか、私はここで子供としての立ち位置を確立しなければいけないのだ。
子供っぽさを全面にアピールなのだ。
髪の毛はミリアさんが引き連れてきた若い侍女さん2人係で綺麗に編み込んでくれました。
頭の上でピンクのシルクリボンで纏められ唇に薄いピンクのルージュをつけられた。
どこから見ても完璧なご令嬢の出来上がり。
謁見の間のドアの前にいた2人の騎士様が両開きのドアをそれぞれ開けてくれた。
だだっ広い部屋の正面には三段ほどの階段がありその上段に玉座があった。
部屋の両脇には盛装をした数人の紳士とその奥様と思われる淑女が並び、ドア付近の壁には騎士様が20人ほど控えていた。
あまりにも煌びやかなその様子に私は一瞬思考も身体も停止状態。
そんな私にマー君はささやくように言った。
「アヤ、大丈夫俺がついてるから。さあ、行くよ」
そして私の手をとり部屋の中へ進んだ。
とっても頼もしい勇者様です。
どこまでもついて行きますとも。
両サイドの紳士や淑女がザワザワとしているなかをマー君とともに部屋の中央まで進みそこで国王様と王妃様をまつ。
緊張している私の耳に時折、『黒髪、黒い瞳』と言う言葉が入ってきた。
やっぱり、黒髪黒目って珍しいんだ……
そういえば、前に読んだ本で黒髪黒目が不吉の象徴という世界に迷い込んだ主人公がその世界の人達に迫害されるって話があったな~
この世界は大丈夫だろうか?
そういえば、ダグラスさんもディランさんも私を見たとき一瞬驚いた顔してたよね?
ネガティブシンキングに捕らわれていたら、どこからともなく「国王様、王妃様、ならびに王子方おなり!」と声がした。
そのとたん、紳士達は右手を胸にあて頭を垂れ、淑女達はドレスをつまみカーテシーのスタイルを取った。
もちろん、マー君と私もそれにならった。
淑女の嗜みのカーテシー。
私もミリアさんに習って練習しましたよ。
片足を斜め後ろの内側に引きもう片方の膝を曲げる。足の筋力が必要なこの体勢、なかなかにつらい…
衣擦れの音と共に張りのある声が響いた。
「皆の者、楽にして良い」
その一言が合図となりその場にいたみんなが頭を上げた。
玉座に座っている国王様は黒髪に紺色の瞳の美丈夫だった。
黒髪だ!なんだ、国王様が黒髪なら迫害はないな。
それに玉座のある階段のすぐ近くにオリゲール先生がいるのがわかった。
オリゲール先生は私と目が合うと優しく笑った。
安心したら緊張もとけ、私は自然と笑顔になっていた。
国王様の隣りに上品に座っている王妃様は金髪にエメラルドのような緑の瞳でものすごい美女。
国王様と王妃様を挟むように2人の王子様がすわっている。
王子様達はオリゲール先生の従兄弟に当たるんだね。
お二人とも王妃様の髪色を受け継ぎ、国王様の瞳の色を受け継いでいるザ・王子様と言う感じだ。王妃様の隣りは10代後半、国王様の隣りは10代前半くらい?
だとすると、国王様と王妃様はおいくつだろう?ずいぶんお若い感じに見えるけど…
「これは驚きだ。マサキ殿の従姉妹殿は聖女様の可能性があると聞いていたが聖女様ではないな」
ドキッとする鋭い言葉が国王様の口から発せられ私は青くなった。
思わず、隣りにいるマー君を縋るように見上げた。
やっぱり勇者のおまけはいらないって言われちゃうの?
私の不安をよそにマー君はとっても素敵な顔で微笑んだ。
「聖女様ではなく、女神様にソックリではないか!」
へ?女神様?
ここに来て新たなフレーズが出てきたぞ。女神様とはなんぞや?
混乱中の私を置き去りにして会話は進んでいた。
国王様はマー君への労いの言葉をかけ、私達の後見人として名乗りをあげ、周りの貴族の皆さんにも同意させていた。
そしてまた話題は私のことに戻っていた。
「アヤカさん近くに来てあなたの顔をよく見せてちょうだい」と王妃様が綺麗な声で私に言った。
えっと、ど、どうすればいいの?
マー君は私の手を取ると玉座の方へ歩き出し、王妃様の前に私を残すとまた先ほどの場所に戻って行った。
置き去りですか?このピンチを自力で切り抜けろと?
こうなりゃやけだ!
「王妃様、どうぞ私のことはアヤカとお呼び下さい」
「まぁ、ではアヤカさん、もっとこちらへ」
と言って私に手を伸ばした。
引っ張られるように王妃様の目の前に来ると、王妃様は私の顔をまじまじと見て声をかけた。
「本当に女神様に似ていますね。そして私達の娘にも……ねぇ陛下」
「エレノア……そうだな、その黒髪を見ると思い出さずにはいられないな」
どういうことだろう?亡くなった王女様がいるってことかな?
「ええ、本当に……アヤカさん、歳はいくつなの?」
「ちょうど、今日で8歳になります」
「まぁ、8歳? そして今日がお誕生日ということ?」
王妃様は綺麗なエメラルドの目を大きく見開いた。
何故か国王様も2人の王子様達も驚いた顔をしていた。
えっ?なに?8歳に見えないとでも?
戸惑う私の両頬に王妃様は手をあて言った。
「お誕生日のお祝いをしなければいけないわね」
言葉とは裏腹に何故か泣きそうな微笑みが気になる。
両頬に添えられた王妃様の手の平から暖かい愛情が伝わってくるのと同時に小さな生命力の波動を感じた。
あ、赤ちゃんが……
王妃様のお腹を見ると赤ちゃんが発する金色のオーラが嬉しそうにフルフルと揺れた。
それを見たとたん頭の中に誰かの声がした。
『お願い、お母様に伝えてもうお姉様の事で悲しまないで。私がお姉様の分までみんなを幸せにするからって。私はお母様に会えるのを楽しみにしていますって』
えっ?今のって王妃様のお腹にいる赤ちゃんからのメッセージ?
何故か黒髪に緑の瞳の2歳くらいの女の子の映像が目の前の広がった。
これって、お腹の赤ちゃんの成長した姿?
なんにしても、ちゃんと伝えてあげなきゃね。
だって王妃様には悲しそうな微笑みは似合わない。
子供の戯れ言と一笑されないように、この子の優しい思いが届くように。
私は王妃様の手に自分の手を重ね心を込めて言葉を紡いだ。
「王妃様、お腹の赤ちゃんからメッセージをもらいました。『お姉様の事で悲しまないで。私がお姉様の分までみんなを幸せにするから。私はお母様に会えるのを楽しみにしています』と……」
「え…私のお腹に赤ちゃんが?」
知らなかったの?こんなにハッキリとしたオーラが見えるのに。
「はい、女の子です。国王様と同じ黒髪で瞳は王妃様と同じ綺麗な緑色です」
王妃様は「まぁ……」と言って両手でお腹を優しく撫でた。
ことの成り行きを隣で見守っていた国王様が王妃様の手に自分の手を重ねた。
「アヤカ、今の話はまことの話か?嘘や冗談でそのような事を言ってる訳ではないだろうな?」
そうだよね。
こんな事をいきなり言われたらそれが普通の反応だよね。
この場の雰囲気も微妙な空気がただよっている。
王女様~あなたのせいで私、不敬罪で打ち首になっちゃいそうです!
するとまた頭の中で声が響いた。
『ごめんなさい。お父様に伝えて、私が生まれるのは星姫の誕生祭の時期だから、名前は星の妖精にちなんでつけてって、あと、今度はちゃんとお母様のそばにいてあげてって、私が生まれた時にすぐに会いたいからって』
星姫の誕生祭って何だろう?お祭りかな?星の妖精か~見てみたいな。
ちゃんと伝えるね。そう心のなかで返事を返した。
そして私は国王様の目を真っ直ぐ見つめて言った。
「嘘や冗談ではありません。赤ちゃんから国王様あてにメッセージを受け取りましたが、国王様がお疑いのようなのでこれは私の胸にしまっておきます」
と悲しそうに眼を伏せる演技も忘れない。
どうかな?
国王様、好奇心が刺激されません?
「い、いや、これはすまない。アヤカを疑っているわけではないぞ?王女からの私へのメッセージはなんと?」
ヨッシャ! 国王様といえども人の子の親と言ったところか。
ニマニマとしそうな表情筋を必死に押さえる。
「王女様の生まれるのは星姫の誕生祭の時期なので名前は星の妖精にちなんで着けて欲しいそうです。あと、今度はちゃんと王妃様のそばにいてあげて欲しい、自分が生まれた時にすぐに会いたいからだそうです」
それを聞いていた王妃様と王子様達がクスクス笑い出した。
国王様はと言えば、なぜか「うっ」と声を出したかと思えば片手で顔を覆ってしまった。
何だろう?よくわからないけど王族一家が幸せそうだから良いか。
周りの貴族の方達も笑顔だしね。
「アヤカ、私はあなたを信じます。こんなに笑ったのは随分と久しぶりです。
これからは過去に捕らわれず、新しい命を大切にします」
「アヤカ、僕からもお礼を言うよ。母上の笑顔を見たのは二年ぶりだよ。ありがとう」
兄王子様がそう言えば、弟王子様も
「アヤカ、ありがとう。君は僕達の女神様だよ」
と言った。
ザ・王子様スマイルが目に眩しいです。
「お、おい、お前達、私より先に礼を言わないでくれ、私の立場がないじゃないか。アヤカ、改めてお礼を言うよ。ありがとう」
おお、こちらもイケメンスマイル炸裂です。
その後、私はマー君のいるところへ戻った。
マー君の顔を見たら思わず抱きついてしまった。
仲のよい王族一家を見ていたら自分の家族を思い出したからだ。
そんな私をマー君はぎゅっと抱きしめ返してくれた。
うん、やっぱりマー君の腕の中は安心。
癒される~
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