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3章
都市ヴァロン
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第一迷宮 古の石室、第二迷宮 夢幻の湖畔、第三迷宮 暗夜の樹海、そして第四迷宮 永久の霊峰。それらは突如として姿を消した。そして恐らくそれを突破した彼も帰ってはこなかった。しかしきっと死んではいないのだろう、彼が完全攻略を成し遂げたのだと、みんな本能でそう理解できた。その晩の都市ヴァロンは、過去に類を見ないほど盛り上りを見せた。街中大騒ぎの大宴会。アンナの宿でも酒や料理が振る舞われたそうだ。そんな中、彼女だけは冷静であった。
「彼はきっとこのセカイの真実を知ってしまったのであろう。それ故に人間の世には居られないと判断したのだろう。魔剣ロシュフォールによって知らされたのだ。人間は元は皆等しく魔族であり魔法が使えたことを。このセカイに魔族と人間の区別なんて元々無いのだ。人間の国スレイミーナ、魔族の国ルースミネア、その違いも元々は無い。さて君はこれからどうする?今まで通り流浪の人生を送るのか、それともこのセカイに抗いスレイミーナを滅ぼすか。勇者の仲間であった騎士トルイは滅ぼす選択をしたぞ。その志は半ばで折られたがな。その選択、楽しみにしているとしよう。」
迷宮の跡地の前に立ちながらマライタ・スレイミーナはある一点を見つめている。
「やはり残ってしまったか、この迷宮だけは。第五迷宮……。ふふふ、この都市ヴァロンもまだまだやっていけそうだな。」
第五迷宮、後に英霊遺跡と呼ばれることになる。この迷宮に挑んだ者は誰一人として帰ってこなかったのだ。しかし、挑戦者が途絶えることは無い。我こそはその不可思議を打ち破る初めての存在になるのだと信じて疑わない。それこそが冒険者なのだ。
「決して彼らは諦めない、冒険者は永遠に。」
冒険者よ永遠に 完
「彼はきっとこのセカイの真実を知ってしまったのであろう。それ故に人間の世には居られないと判断したのだろう。魔剣ロシュフォールによって知らされたのだ。人間は元は皆等しく魔族であり魔法が使えたことを。このセカイに魔族と人間の区別なんて元々無いのだ。人間の国スレイミーナ、魔族の国ルースミネア、その違いも元々は無い。さて君はこれからどうする?今まで通り流浪の人生を送るのか、それともこのセカイに抗いスレイミーナを滅ぼすか。勇者の仲間であった騎士トルイは滅ぼす選択をしたぞ。その志は半ばで折られたがな。その選択、楽しみにしているとしよう。」
迷宮の跡地の前に立ちながらマライタ・スレイミーナはある一点を見つめている。
「やはり残ってしまったか、この迷宮だけは。第五迷宮……。ふふふ、この都市ヴァロンもまだまだやっていけそうだな。」
第五迷宮、後に英霊遺跡と呼ばれることになる。この迷宮に挑んだ者は誰一人として帰ってこなかったのだ。しかし、挑戦者が途絶えることは無い。我こそはその不可思議を打ち破る初めての存在になるのだと信じて疑わない。それこそが冒険者なのだ。
「決して彼らは諦めない、冒険者は永遠に。」
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