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1章
夢幻の湖畔
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夢幻の湖畔、一番に目に飛び込んできたのは巨大な湖であった。霧が深く、湖がどこまで続いているかは見当もつかない。まさに「ゆめまぼろし」のような光景である。私は怪我を癒すため半月ほどを休息に充てた。そして今日冒険者として復帰したのである。ついに二つ目の迷宮へ挑むことができた。この迷宮は、巨大な湖を核にして広がるように構成されているようだ。この湖の水はとても透き通っていて、どこまでも下が見下ろせる。思わずこの光景に見とれてしまいそうだ。そんなことを思いながら湖を眺めていると霧の中心に何かを見つけた。ソレが何かは分からないのだが、確かに目と目が合うのを感じた。次の瞬間であった、霧の中心のソレから何かがこちらに射出されたのだ。射出された霧の塊のようなものは地面に着弾し、そこからモヤモヤとした物体が膨らんできた。
「我は眷属。湖の主の手足となり、侵略者を排除する。」
モヤモヤとした物体は甲冑に槍を装備した騎士の姿になっていった。「眷属」というこの存在がおそらく夢幻の湖畔での魔物なのだろう。今まで見たことがない脅威に対しては、本来ならば一度撤退して情報を集めてからでも遅くないのかもしれない。しかし私は運がいい、今私が立つ場所は迷宮の入り口のすぐ近く。負傷をしてもすぐ拠点に帰ることができる位置だ。これはチャンスだ、自分の手で敵の能力を詳細に知るチャンスだ。こんなチャンスは二度と来ないだろう。銀の弾丸で殺すことができるのは分かりきっている。ならば通常の攻撃がどこまで通用するのか、またどのような効果が期待できるのか。ここで調べさせてもらおう。
「眷属」の攻撃はとても速い。ここまで剣を交えた結論、私が先手を取ることは極めて難しい。眷属が持つ槍は見かけ倒しではなく、しっかり殺傷能力も持ち合わせている正真正銘の槍であった。そしてこの騎士に対して部位への攻撃は全く意味をなさない。霧から生まれた存在な故かもしれない。腕を斬ってもすぐさま霧が患部を包み始め、霧が晴れる頃には傷は無くなっていた。しかし負傷した一瞬は腕が使えなくなったのは事実、何かに使えるかもしれない。
「我は眷属。湖の主の手足となり、侵略者を排除する。」
言葉を話しているのであればコミュニケーションが取れるのではと思ったが断念。この決まり文句以外を発する様子は見られない。眷属という名前なだけあって、「主」を守るために動くロボットのような存在だと考えられる。よし、次は脚を狙ってみよう。私は左足を狙って斬り上げる。しかし、私の狙いは僅かに逸れ、下腹部に巻いているベルトの宝石に攻撃が当たってしまった。すると驚くべきことが起きた。
「ぐぬぅ、ここまでか……」
眷属は肉体を保つことができず崩壊して霧となっていった。これはなんということだろうか。銀の弾丸を使うことなく迷宮の魔物を仕留めることができてしまった。もしかしたらこれはあまり多くの冒険者が知らない情報なのではないだろうか。
「我は眷属。湖の主の手足となり、侵略者を排除する。」
モヤモヤとした物体は甲冑に槍を装備した騎士の姿になっていった。「眷属」というこの存在がおそらく夢幻の湖畔での魔物なのだろう。今まで見たことがない脅威に対しては、本来ならば一度撤退して情報を集めてからでも遅くないのかもしれない。しかし私は運がいい、今私が立つ場所は迷宮の入り口のすぐ近く。負傷をしてもすぐ拠点に帰ることができる位置だ。これはチャンスだ、自分の手で敵の能力を詳細に知るチャンスだ。こんなチャンスは二度と来ないだろう。銀の弾丸で殺すことができるのは分かりきっている。ならば通常の攻撃がどこまで通用するのか、またどのような効果が期待できるのか。ここで調べさせてもらおう。
「眷属」の攻撃はとても速い。ここまで剣を交えた結論、私が先手を取ることは極めて難しい。眷属が持つ槍は見かけ倒しではなく、しっかり殺傷能力も持ち合わせている正真正銘の槍であった。そしてこの騎士に対して部位への攻撃は全く意味をなさない。霧から生まれた存在な故かもしれない。腕を斬ってもすぐさま霧が患部を包み始め、霧が晴れる頃には傷は無くなっていた。しかし負傷した一瞬は腕が使えなくなったのは事実、何かに使えるかもしれない。
「我は眷属。湖の主の手足となり、侵略者を排除する。」
言葉を話しているのであればコミュニケーションが取れるのではと思ったが断念。この決まり文句以外を発する様子は見られない。眷属という名前なだけあって、「主」を守るために動くロボットのような存在だと考えられる。よし、次は脚を狙ってみよう。私は左足を狙って斬り上げる。しかし、私の狙いは僅かに逸れ、下腹部に巻いているベルトの宝石に攻撃が当たってしまった。すると驚くべきことが起きた。
「ぐぬぅ、ここまでか……」
眷属は肉体を保つことができず崩壊して霧となっていった。これはなんということだろうか。銀の弾丸を使うことなく迷宮の魔物を仕留めることができてしまった。もしかしたらこれはあまり多くの冒険者が知らない情報なのではないだろうか。
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