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序章
迷宮の脅威
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私は古の迷宮の入り口に再びやって来た。あれからこの迷宮についての情報を集めた。どうやらこの迷宮にある小さい部屋は全てワープで繋がっているようだ。どことどこがワープで繋がっているのか教えてくれた冒険者もいた。だが、アンナが一つ忠告をしてきた。
「他人からの情報を全て鵜呑みにしてはいけないよ。間違いの情報一つで命を落とすのが迷宮だからね。」
自分の命をかけている事実を忘れてはいけない。先人の教えも大事ではあるがそれを活かすのは自分なのだ。仮に嘘を信じてしまっても誰も責任は取ってくれない。百聞は一見に如かず、まずは自分でやってみよう。私は入り口に足を踏み入れた。
「シュウウウウウン……」
さて、どうしようか。まずは前回の探索時に発見した床を再度確認してみよう。前回と同じ挙動をするのだろうか。地図を見ながら恐る恐るその床を踏んでみた。見事ワープは成功したようだ、行き先も前回と変わりがない。ということはワープ先は床によって固定なのだろう。おおよそ酒場で得た情報通りの結果を得ることができた。そしてもし、酒場の情報が正しいのであればこれもまた真となる。
「古の石室には亡霊が住んでいる。」
私は突如として転んだ、何もないところで。上を見上げるとふわふわとした何かが浮かんでいた。亡霊だ。「銀の弾丸でしか仕留めることはできない。倒そうとは思うな逃げを基本と思え。」ここで私は先人の情報を思い出す。弾丸は二発今はあまりにも序盤、まだ使わない方が良いであろう。私は逃げを狙う。
「ぐああぁっ…っ。」
逃げようとした脚を亡霊の一撃が掠めた。直撃は当たらなかったため致命傷は間逃れた。甘い、考えが甘い。どうしたら逃げれるのか考えろ。今の攻撃は掠り傷で済んだが次は許してはくれないだろう。この前は何故逃げることができた。狼の時と今は何が違う。迷宮は考える暇を与えてくれない、亡霊は一目散に私に向かってくる。
「パァンンッ!!」
銀の弾丸は亡霊に命中した。亡霊の腕に僅かに命中しただけであったがそれで十分だった。亡霊の身体は崩れていき霧散。
古の石室の探索を続けながら私はある考えに至った。あの時狼から逃げることができたのは、私の攻撃が狼の脚に当たったからである。その結果、狼の移動速度が落ち、逃げる私の先を回り込むことができなくなった。そして先ほど、私は脚に攻撃を食らった。無我夢中で銀の弾丸を撃ち込んだため無自覚であったが、私の脚は逃げることができる状態ではなかった。これはとても有益な事実だと思う。銀の弾丸を使わずとも、魔物の脚を奪ってしまえばたちまち機動力が失われ、私の逃走確率が飛躍的に向上する。そしてこれは自分にも同じことが言える。脚に攻撃を被弾すればそれすなわち退路を断たれると同じこと。銀の弾丸は逃走手段を失ったときのための切り札にしてもいいかもしれない。そんなことを考えながら探索を続けていると、不思議な石を見つけた。ほんのりと青色に光る丸い石である。水晶玉くらいの大きさになる。試験の時には同じようなモノが鍵として機能していたことを思い出した。鞄にしまっておいて損はないか。安心した隙を突かれた。亡霊の奇襲は私の脚に直撃する。銀の弾丸は残り一発、逃走は望めない。そして、入り口からはあまりにも離れすぎてしまった。
「他人からの情報を全て鵜呑みにしてはいけないよ。間違いの情報一つで命を落とすのが迷宮だからね。」
自分の命をかけている事実を忘れてはいけない。先人の教えも大事ではあるがそれを活かすのは自分なのだ。仮に嘘を信じてしまっても誰も責任は取ってくれない。百聞は一見に如かず、まずは自分でやってみよう。私は入り口に足を踏み入れた。
「シュウウウウウン……」
さて、どうしようか。まずは前回の探索時に発見した床を再度確認してみよう。前回と同じ挙動をするのだろうか。地図を見ながら恐る恐るその床を踏んでみた。見事ワープは成功したようだ、行き先も前回と変わりがない。ということはワープ先は床によって固定なのだろう。おおよそ酒場で得た情報通りの結果を得ることができた。そしてもし、酒場の情報が正しいのであればこれもまた真となる。
「古の石室には亡霊が住んでいる。」
私は突如として転んだ、何もないところで。上を見上げるとふわふわとした何かが浮かんでいた。亡霊だ。「銀の弾丸でしか仕留めることはできない。倒そうとは思うな逃げを基本と思え。」ここで私は先人の情報を思い出す。弾丸は二発今はあまりにも序盤、まだ使わない方が良いであろう。私は逃げを狙う。
「ぐああぁっ…っ。」
逃げようとした脚を亡霊の一撃が掠めた。直撃は当たらなかったため致命傷は間逃れた。甘い、考えが甘い。どうしたら逃げれるのか考えろ。今の攻撃は掠り傷で済んだが次は許してはくれないだろう。この前は何故逃げることができた。狼の時と今は何が違う。迷宮は考える暇を与えてくれない、亡霊は一目散に私に向かってくる。
「パァンンッ!!」
銀の弾丸は亡霊に命中した。亡霊の腕に僅かに命中しただけであったがそれで十分だった。亡霊の身体は崩れていき霧散。
古の石室の探索を続けながら私はある考えに至った。あの時狼から逃げることができたのは、私の攻撃が狼の脚に当たったからである。その結果、狼の移動速度が落ち、逃げる私の先を回り込むことができなくなった。そして先ほど、私は脚に攻撃を食らった。無我夢中で銀の弾丸を撃ち込んだため無自覚であったが、私の脚は逃げることができる状態ではなかった。これはとても有益な事実だと思う。銀の弾丸を使わずとも、魔物の脚を奪ってしまえばたちまち機動力が失われ、私の逃走確率が飛躍的に向上する。そしてこれは自分にも同じことが言える。脚に攻撃を被弾すればそれすなわち退路を断たれると同じこと。銀の弾丸は逃走手段を失ったときのための切り札にしてもいいかもしれない。そんなことを考えながら探索を続けていると、不思議な石を見つけた。ほんのりと青色に光る丸い石である。水晶玉くらいの大きさになる。試験の時には同じようなモノが鍵として機能していたことを思い出した。鞄にしまっておいて損はないか。安心した隙を突かれた。亡霊の奇襲は私の脚に直撃する。銀の弾丸は残り一発、逃走は望めない。そして、入り口からはあまりにも離れすぎてしまった。
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