婚約者の断罪

玉響

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4.盗聴大作戦

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「あ、いたわ!何だか、令嬢と優雅にお茶を飲んでいるわね………」

セシリアが、じっと店内を見つめています。
これって物凄く怪しいと思うのですが………。

「待って。同席しているあの令嬢って………マティルダ・イベリス侯爵令嬢?」

マティルダ嬢は、以前からバイロン様の周りでよくお見かけするご令嬢ですが、私に対して冷たい態度を取られる方です。もしかしたらバイロン様が好きだから、私のことを敵視しているのかもしれません。

「何よ、あの顔!まるで恋人同士みたいじゃない。………ここにいては会話が聞こえないわね。ミリー、中に入るわよ!」
「え?見つかってしまいませんか?」
「大丈夫、大丈夫!ほら、早く行くわよ!」

本当に大丈夫でしょうか。私はびくびくしながらセシリアに付いていきました。
可愛らしい内装のお店は、意外とゆったりした造りでした。
私達は、バイロン様達の死角になる、植木を挟んだ隣の席に着席しました。ここなら会話も聞こえそうですが、これは盗み聴きではないでしょうか………?

「いい、ミリー?聞いたことを、この紙に記録しておきなさい。万が一の時にミリーに有利になるでしょう?」

そう言ってセシリアが取り出したのは紙とペンです。用意周到ですね。流石はセシリアです。
私達はケーキとお茶を注文すると、早速バイロン様達の会話に聞き耳を立てました。

「じゃあ、ゼフィランサス侯爵家で半年後にパーティーを開かれるのですか?」
「ああ。勿論君も来てくれるよね、マティルダ?君のような人が出席してくれれば、きっとパーティーに彩りが出るというものだ」

そんな会話が聞こえてきました。

「パーティー?」
「多分、バイロン様がお父様の爵位を継ぐ祝賀パーティーだと思います。ごく内輪で行うと聞いておりますが………」
「なるほど。そんな内々のパーティーに、関係のない令嬢を呼ぶなんて………」

バイロン様にはバイロン様のご事情があるのだと思いますが、バイロン様から聞いていたお話とは少し違いそうですね。

「バイロン様の婚約者のご令嬢は地味でいらっしゃいますし、お気持ちはわかりますわ………でもあの方、陰で私に嫌がらせをしてきますの。パーティーに出席したら、また虐められないか心配ですわ」

あら?バイロン様の婚約者って私以外にいらっしゃいましたかしら?
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