国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

260.離婚成立

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ベルナルドに促され、アルフォンシーナは椅子へと腰を下ろした。
向かい側には、ベルナルドが座ると、場所こそ違えど、一ヶ月前と全く同じ光景が完成する。
窓からは柔らかな陽の光が差し込んでいて、時折庭の木々が風にさざめくのが見えた。

「………体調でも、崩していたのか?」

座ったままアルフォンシーナをじっと見つめていたベルナルドが、唐突に呟いた。
その言葉に、ってアルフォンシーナは咄嗟に喉元を隠す。
おそらくベルナルドは、アルフォンシーナが一ヶ月前に比べて痩せた事に気がついたのだろう。

「い、いえ………。………その、ただ少し…………食欲がなかっただけなので、ご心配なく…………」

本当は離婚したくなくて、食事も睡眠も満足に摂っていなかったという真実を伝えたら、彼はどんな顔をするだろうか。
一瞬、そんな考えが頭に浮かんだが思い直し、綺麗な作り笑いを貼り付けると尤もらしい理由を口にした。

(離婚に同意しておきながら、今更嫌だなんて未練がましいことを言ったら、酷く惨めなだけだわ………)

そう。自分自身に言い聞かせると、アルフォンシーナは、そっと首を隠していた手を、膝の上へと戻した。

「………そう………そうか。………それならば良いが………」

何故か少し戸惑ったように視線を泳がせたベルナルドは小さく呟くと、溜息をついた。

「………時間が掛かってしまって悪かった。手紙でも伝えた通り、ようやくフェルディ…………いや、国王陛下から離婚の許可が下りた」

アルフォンシーナはベルナルドの顔を直視できず、膝の上に行儀よく重ねられた手に視線を落とした。

国王から離婚許可が下りたということは、正式に離婚が成立したということだ。
分かりきっているのに、アルフォンシーナにはその言葉が、死刑宣告のように聞こえた。

「…………そう、ですか………」

それだけ答えるのが、精一杯だった。
真っ白になった手の甲をじっと見つめる。
下を向いているせいか、涙が零れそうになる。
それを何とか堪らえようとして、瞬きの回数が増えていく。

「………これであなたは晴れて自由の身だ」

ベルナルドの声が、静かにそう告げるのを聞くと、アルフォンシーナは全てを諦めたように、ゆっくりと目を伏せた。
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